大臣認定取得で2種類の多機能オイルダンパーが免震構造へ適用可能に
~風揺れ防止や免震層変位修正など免震建物の多様なニーズに対応~
2013年10月9日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、多様化する免震建築のニーズに対応するため、カヤバシステムマシナリー(社長:廣門茂喜)と共同で①「パッシブロックダンパー」と②「ジャッキ&ロックダンパー」2種類の多機能オイルダンパーを開発しました。
それぞれ、免震材料として国土交通大臣認定※1を取得しており、一般免震構造への適用が可能となりました。
※1 | カヤバシステムマシナリーが取得 |
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■両ダンパーの特長
地震時の揺れを抑える 「減衰機能※2」 |
風時の揺れを止める 「ロック機能※3」 |
残留変形※4を戻す 「ジャッキ機能」 |
特長 | |
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① パッシブロックダンパー | ○ | ○ (常時作動) |
― | ロック機構に電力が不要。停電に左右されない高い信頼性 |
② ジャッキ&ロックダンパー | ○ | ○ (適時作動) |
○ | 台風接近時など必要に応じてロック機能のオンオフが可能 |
※2 | ダンパーの基本的機能であり、地震時に大きく変形する免震層の動きを抑える機能。 |
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※3 | 日常の強風に対して不快な揺れや変形を発生させないよう免震層の動きを拘束する機能。 一般的に鋼材系・すべり系ダンパーにこの機能を期待することが多い。 |
※4 | 地震後の免震層に生じる元の位置からのズレ。 鋼材系・すべり系ダンパーを使用した場合、風に対する拘束力は高いが残留変形が生じやすい。 |
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①「パッシブロックダンパー」について
■特長
「減衰機能」、「ロック機能」の2機能を併せ持っています。電力を必要としない機械式のロック(パッシブロック)としたことで、常時作動させておくことが可能となり、従来必要であった電源設備が不要となるため、維持管理負担の低減が図れます。かつ災害時の停電にもロック機能が失われないという高い信頼性を有しています。
■「パッシブロックダンパー」採用に適した免震建物
建物を支持する支承材として天然系積層ゴムを用いた免震建物は、地震後の免震層の残留変形は生じにくい一方、風時には免震層が動き易くなります。本ダンパーと組み合わせることで不快な揺れを抑え、維持管理が容易で風対策も万全な高性能免震建物を実現することが可能です。
なお、現在施工中の(仮称)ラクレイス地行新築工事(福岡市中央区地行2丁目 構造:RC造 地上29階 延床面積20,020.08m2)他、2件の工事に適用が決まっています。
②「ジャッキ&ロックダンパー」について
■特長
「減衰機能」、「ロック機能」に加え「ジャッキ機能」の3機能を併せ持っています。免震材料認定を取得した初めてのジャッキ機能を有するオイルダンパーです。ジャッキ機能は併設される油圧ユニットと接続することで発揮されます。
■「ジャッキ&ロックダンパー」採用に適した免震建物
中間階に免震層がありエレベーターシャフトが貫通している建物では、免震層の残留変形がエレベーター運転に支障を与えることがあります。また、2013年4月には日本免震構造協会(JSSI)より「免震エキスパンションジョイントガイドライン」が示され、免震エキスパンションジョイント部の残留変形が建物利用者の安全性に支障を及ぼすことが無いよう求められています。従来の仮設ジャッキによる残留変形の修正作業では、資材の搬出入などに多くの時間を要しますが、本ダンパーを用いることで、迅速に残留変形を解消することが可能となります。
当社では、多様化する免震建物のニーズに応えるべく、「パッシブロックダンパー」、「ジャッキ&ロックダンパー」の積極的な展開を行っていきます。
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