有機系太陽電池一体型ルーバーの実証実験を技術研究所で開始~オフィスビル・工場等の外装で日射のコントロールと発電の両立狙う~
2013年11月1日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け三菱化学(社長:石塚博昭)が開発中の“有機系太陽電池一体型ルーバー”を用い、当社技術研究所(千葉県印西市)にて本年10月より2年間の予定で実用化に向けた実証実験を行います。
さらなる低炭素化に向けて、建築に求められる「省エネ」と「創エネ」はより高度化していくと考えられます。
「省エネ」の観点から、建築の外部ルーバーは窓面への日射をコントロールし、冷房負荷の原因となる過剰な直達光を抑えつつ、適度な明るさを室内に取り入れる機能を担います。
一方、「創エネ」の観点からは、特に高層ビルにおいて建物の表面積の大半を占める鉛直面での太陽光発電が望まれます。
“有機系太陽電池一体型ルーバー”はこれらの両立が可能なものとして期待されます。
本実証実験では、建築の外装材としての実用化のため、次のような検証を行います。
- ・有機系太陽電池のルーバーへの接着方法、接着剤の選定
- ・風荷重等を勘案した構造計算
- ・デザイン性を高める意匠設計
- ・「省エネ」「創エネ」のためのサイズ、配置、角度制御の最適化
有機系太陽電池の外装材への適用を目指した実証実験は日本初となります。本年度は熱・光と発電量を最適化するための実験を室内に設置した試験体を使って実施し、来年度は外部環境に耐える構造・材料の仕様について検討し、その性能を屋外実験にて確認する予定です。今後は三菱化学とともにデータ蓄積と改良を続け、将来的には、外壁面だけでなく屋根面等への設置、既存建物の改修、曲面など多様な意匠への対応など幅広い適用を視野に入れた開発を進め、低炭素化社会へ貢献してまいります。
【有機系太陽電池とは】
有機系太陽電池には大きく「色素増感太陽電池」と「有機薄膜太陽電池」があり、実証実験では後者を使用します。発電層として軽くて曲げに強い有機材料を使用しており、その層がきわめて薄いため、現在主流の無機系太陽電池(結晶シリコン系)に比べ、軽量かつ形状がフレキシブルなことが大きな特長です。ある程度のカラーバリエーションにも対応し、半透明にもできます。将来は印刷技術の応用等で大幅にコストダウンされ、急速に普及すると見込まれています。