強固な鋼板が蔦のように建物を包む「Steel Ivy耐震補強工法」を初適用した3物件が竣工

2015年2月25日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:宮下正裕)は、「ニッケ四ツ橋ビル」「育英高等学校」および「コクヨ本社本館ビル」の耐震改修工事に、同社が開発したSteel Ivy耐震補強工法※を採用しました。

一般的な耐震補強工法には、鉄骨ブレースを柱梁のフレーム内に増設する「鉄骨ブレース補強工法」や、鉄筋コンクリート造の柱梁を増設する「外付けフレーム補強工法」などがあります。
「鉄骨ブレース補強工法」は、一般的には安価ですが、斜め材による使い勝手の悪さや美観の問題があります。また、外壁より柱が少し内側に入った建物では、部屋の面積が小さくなるなど事業性の問題が発生します。
「外付けフレーム補強工法」は、建物の外周部に十分な敷地の余裕が必要であり、市街地などでは適用できない場合も多くあります。また、鉄筋コンクリート造なので重量が重くなり、基礎への影響が無視できず適用が難しい場合も発生します。さらに、在来工法で施工する場合は騒音が大きく工期も長くなり、プレキャスト(PCa)工法で施工する場合はコストが高くなるといったデメリットがあります。

Steel Ivy耐震補強工法は、上記のような既往の耐震補強工法のデメリットを改善する目的で開発されました。美観や使い勝手に最大限配慮し、鉄筋コンクリートによる補強を減らして、鉄骨を主体とした短工期でデザイン性に優れた耐震補強工法です。

■Steel Ivy耐震補強工法の概要

強固な鋼板が蔦(アイビー)のように建物を安全に包んで、耐震性能を向上させます。

  1. 鋼板を耐震要素とし、デザインを一新
    建物の外側に鋼板でできた耐震要素を設置します。内部の有効面積の減少を最小限に抑え、外観デザインを一新し、強くて、魅力的な建物への改修が可能です。
  2. 「スクエアタイプ」と「ランダムタイプ」の2種類のタイプ
    壁面全体に均質な補強を行う「スクエアタイプ」と用途、保有耐震性能、外観デザインにあわせて、必要な階に補強を行う「ランダムタイプ」から、選択が可能です。

■Steel Ivy耐震補強工法のメリット

  1. 省スペースで設置可能なため、使用性・収益性への影響が小さい
  2. 居ながらの工事ができるので、業務・生活への支障が少ない
  3. 既存建物との接合部が見えないため、意匠の自由度が高い
  4. 軽量であるため、基礎構造への影響が小さい

1960年~1970年代に建設された建物の多くは、現行の耐震基準に適合していません。耐震改修工事を実施して耐震性を向上させると同時に、ビルとしての競争力を強化することが事業性に大きく関わってきます。当社は、当技術がこれらのビルに新たな価値を生み出す手段になると考え、既存ビルの再生に取り組みたいと考えています。今後は、当社の数ある耐震補強工法のラインナップの一つとして、適用を拡大していく予定です。

  1. Steel Ivy耐震補強工法は特許出願済み 及び 商標登録出願済み

■適用プロジェクトの工事概要
1.スクエアタイプの実施事例①

建物名称 ニッケ四ツ橋ビル
建築主 日本毛織株式会社
建築地 大阪市西区新町1-4-26
建築用途 貸事務所
既存建物 1973年竣工
工期 2013年10月1日~2014年9月30日
全体工期12ヵ月
構造規模 RC造 10階建
建築高さ 27.91m
建築面積 883.55m2
延床面積 7,496.12m2
特徴 テナントビルとしての競争力向上のため、耐震性の向上に加えてデザイン性の向上を目指し、Steel Ivy(スクエアタイプ)を採用。

2.スクエアタイプの実施事例②

建物名称 育英高等学校本館
建築主 学校法人武井育英会
建築地 神戸市長田区長尾町2-1-15
建築用途 学校
既存建物 1960年竣工
工期 2014年5月1日~2015年3月1日
全体工期11ヵ月
構造規模 RC造 4階建
建築高さ 13.85m
建築面積 920.58m2
延床面積 3,685.36m2
特徴 男子校から共学化するにあたって、建物のデザイン性向上も目指し、Steel Ivy(スクエアタイプ)を採用。

3.ランダムタイプの実施事例①

建物名称 コクヨ本社本館ビル
建築主 コクヨ株式会社
建築地 大阪市東成区大今里南6-1-1
建築用途 事務所
既存建物 1969年竣工
工期 2013年11月15日~2014年11月30日
全体工期12ヵ月
構造規模 SRC造 8階建
建築高さ 30.85m
建築面積 2,510m2
延床面積 16,175m2
特徴 建物既存梁へ均等に地震力を伝えるため市松状の配置を採用。
Steel Ivy(ランダムタイプ)の一部にバルコニーを設け、窓の開け易さ、庇効果など環境面にも配慮。

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