温室効果ガス削減に向け促進が求められる既存建物のネット・ZEB※化実用~オフィスを新しいワークスタイルのネット・ZEBオフィスに改修~
2016年5月31日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、現在当社東関東支店として使用している2003年竣工の一般的なオフィスビルにおいて、執務を続けながら、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング化を目指した改修を行いました。今回の改修は、住宅等より床面積当たりの消費電力が大きいとされる実用オフィスにおいて、実験的なZEBから“本当に使える“ZEBをめざすもので、今後多くの建物を省エネ化するのに必要な方策や効果を検証する先端的なモデルプロジェクトといえます。
4つのコンセプトを掲げ、新しいワークスタイルの提案や、各種省エネ技術の導入によりZEB化を図るとともに、災害時に備えたBCPの向上や快適性の向上など更なる付加価値を追求しています。
今後は建物の運用を通じて、年間のエネルギー収支の検証と省エネ並びに快適なオフィス環境を両立した「ウェルネスオフィス」の実現に向けた検証を行っていきます。
当プロジェクトに導入した開発技術の効果検証や運用で得られた知見をもとに、ネット・ZEB化に限らず広義のZEB化(Nearly ZEB/ZEB Ready)を推進するお客様のニーズに的確にお応えできる提案をしていきます。
- ※ネット・ZEB(Net Zero Energy Building): 年間の一時エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物
- ①再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減
- ②再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減
(経済産業省資源エネルギー庁定義)。
背景
2015年12月COP21の採択で、日本は「2030年度までに温室効果ガスを2013年度比26%減らす」ことが国際公約となりました。
日本では、オフィスビルなどを中心とする業務その他部門のエネルギー消費が高止まりする傾向にあることから、同部門の削減目標は40%と省エネ化推進の中でも大きな役割を担っています。エネルギー消費の少ない新築オフィスの普及はもちろんですが、オフィスビルの約98%を占めるといわれる既存建物をどう省エネ化していくかが喫緊の課題となっています。また、2016年4月より、「省エネ性能表示制度」がスタートするなど、建物の資産価値の格付けに省エネや環境性能が重視されています。
ZEB化改修の4つのコンセプト
- ①快適性の考え方を変える
温度、湿度を一定に保つことだけが快適の条件ではなくなってきています。そよ風を感じる、光が変化するなど、多様な環境の変化が人の快適性の幅を広げ、同時に熱負荷の大幅な削減につながります。 - ②スーパー省エネビルを作る
超高性能断熱、ダブルスキン、ブラインド自動制御、自然通風の自動制御、調光LED、デシカント空調、地中熱利用、放射空調、太陽光発電等の数々の先端技術を導入した上でこれらを統合制御し、プラスエネルギービルを実現します。 - ③スマートな働き方を考える
ワークごとに最適な執務環境を整えることで生産性を向上させつつ、シェアリングによって共用空間やファイリング空間を生み出し、事務機器や端末の共有化を図ります。今まで点け放しにしていたコンピュータ、空調、照明を見直し、必要な場所で、必要な時に、必要な分だけ使うメリハリのあるワークスタイルに転換することにより、結果的にエネルギー消費量を削減します。 - ④災害にも強くなる
①②③を行うことで、少ないエネルギーで建物を稼働できるようになり、災害時にライフラインが喪失しても、太陽光発電、蓄電池の活用によりオフィスとしての機能を長く維持できます。
ZEB化を成立させる技術
「竹中工務店東関東支店」建築概要
建物用途 | 事務所 |
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建築地 | 千葉市中央区 |
建物規模/構造種別 | 地上2階/RC,S造 |
敷地面積 | 1,432m2 |
延床面積 | 1,318m2 |
設計・施工 | 竹中工務店 |
工事期間(改修) | 2015年10月~2016年3月 |