音声・文字認識AI制御システム「ツイートREMO(リモ)」を開発~体の不自由な方でも、音声・文字のみで病院や福祉施設内の設備機器を操作~
2019年3月7日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、神田通信機株式会社(社長:神部雅人)と共同で、音声・文字認識AI制御システム「ツイートREMO」を開発しました。本システムは病院や福祉施設に加えオフィスでの使用も想定したもので、スマートスピーカーやスマートフォンを介した音声・文字をAIが認識・解析することにより、体の不自由な方でも空調や照明などの設備機器を操作することを可能にします。
従来の音声・文字認識AI制御システムは、個々の設備機器としか連係することができなかったため、住宅などの用途に限られていました。これは大量の設備機器が設置される建物において、AIが認識・解析した言語指令を各設備機器へ連携する仕組みが構築されていなかったためです。
このたび開発した「ツイートREMO」は、大量の設備機器が設置されるオフィス・病院・福祉施設などの建物内において、文字・音声による設備機器の操作を可能にするものです。スマートスピーカーやスマートフォンを介した音声・文字を、クラウド※1上のAI(Google Assistant)が認識・解析した後、Dialog flow※2で操作指令に変換しBACnetゲートウェイ※3(特許出願済み)から各設備機器に操作指令を送信します。
- ※1クラウド:
インターネット経由で、コンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションをはじめとしたさまざまな ITリソースを、オンデマンドで利用することができるサービスの総称。 - ※2Dialog flow:
言語解析の複雑な処理を行う、自然言語対話プラットフォーム - ※3BACnetゲートウェイ:
決定された指令コマンドをクラウドWebアプリケーションより受取り、BACnet通信へ変換するゲートウェイ。
本システムは病院や福祉施設に適用することで、個室などのパーソナル空間で体の不自由な方や声が出しづらい状況でも、空調や照明などの設備機器を自分で操作することが可能になります。
当社は今後、本システムを病院や福祉施設を中心に様々な建物に展開し、音声・文字のみで設備機器を操作することを求める人へ、さらなる利便性・快適性を提供していきます。
「ツイートREMO」の概要
本システムの構築に際し、3つの技術を開発しました。
開発① 音声・文字指令通信ロジックの開発
スマートスピーカーやスマートフォンなどのパーソナル媒体により音声信号をクラウドに送信し、クラウド上で音声認識AIが音声を設備制御信号※4に変換する技術を開発しました。また、スマートフォンからの文字(テキスト)による入力についても、クラウド上のAIにより設備制御信号への変換が可能です。
- ※4設備制御信号:
音声やテキストデータより「場所」「制御対象」「制御内容」を抽出し、開発② BACnetゲートウェイへ通知する信号。
開発② BACnetゲートウェイの開発
制御信号については、クラウドから新規開発したBACnet対応のゲートウェイを経由して建物内の各設備機器に送信され、遠隔からの操作を可能とする仕組みを開発しました。
開発③ 位置検出アプリケーションの開発
パーソナル媒体からの制御に対応するため、操作の対象室を特定する位置検出アプリケーションを開発しました。各部屋に設置したBeacon発信装置が発するBluetooth信号をパーソナル媒体が受信し、BACnetゲートウェイに情報を送信することで、位置検出を行います。これにより、例えば「照明をつけて」という音声や文字を入力するのみで、操作対象室内の照明点灯を可能としました。位置検出システムの構築により、対象室以外の設備機器が誤動作することのないシステムを実現しています。