DESIGNWORKS Vol.02
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・第1の集合(20戸) コミュニティーの基本・最小単位(各住戸)・第2の集合(50~100戸)・第3の集合(300戸) 共用階セミパブリックの 連続が生む集合・第4の集合(600戸) 異種建設主体の混合配置で オープンスペースを形成・第5の集合=全体(3384戸) 社会生活施設を配置芦屋浜高層住宅:集合のシステム公社公団県営民間ます。当時は黄河を中心に400km×500kmの範囲に1,000万人が住み、1都10邑5里25家の都市の仕組みまで決めていました。そこでは都市とは何かというと、文字通り「雅び」と「商い」今でいうと「文化」と「経済」、これがあってはじめて都市であるとし、なお文化が先だとしています。文化のないものは都市とはいわなかったのでしょう。今、損得ばかりの経済最優先のようですが、ちょっと見直すべきときでしょうね。もうひとつパリの言葉に「人が住んではじめて、花の都」とあります。大阪でいえば「人が住んではじめて、水の都」でしょう。人が住んではじめて、まちの文化は生きるともいわれています。ともかく、人口とその構成は、都市居住の原点といえる尺度でしょう。昭和4年に和辻 哲郎は名著「風土」で都市を論じ、西欧で展開されている都市像を語っています。ここでは平坦なスプロールから脱却し、密度の高いコンパクトシティを勧めているのです。可住面積で人口密度をみると、欧州で最も高密度のオランダの4倍も高い日本ですから、他国にない日本独自の方式がいると考えねばなりませんね。日本の住宅は、戦後荒廃した国土復興のため、応急住宅6.25坪、2.5間角の20万戸からはじまりました。しかし、首都ロンドンに同様の損害をうけた英国は、5間角の本格住宅25.0坪からはじめたんです。英国首相のチャーチルは「我々は住まいをつくる。そして住まいは我々をつくる」として応急住宅の提案を退けて、広い本格住宅を採用しました。なにかを考えさせられる事実ですね。敗戦日本としての施策は止むを得ないことであったのでしょうが、経済回復後も住まいの広さの現状は未だしといえます。また、昨今社会の乱れがいわれますが、住まいもその一因といえると思います。コミュニティのあり様も論じられますが、ここにも原点に家族と家の問題があるのではないでしょうか。家族が家に帰ってきても、わからない。そんなの家とはいえません。家族団欒ができるような、自然に挨拶が生まれるようなプランが必要ではないでしょうか。例えば、リビングアクセスでみんなが顔を合わせて、それからそれぞれの部屋にわかれるようなプランです。余談ですが、公団晴海高層アパート(前川國男/1958)には、部屋の間仕切壁の上部に欄間がありました。閉じられたふすま越しに声が聞こえ、見えないけれど欄間によって気配が感じられるようになっていました。そういう住まいでは、大きな声をださないようにしようとか、家族同士の思いやりが生まれてくるわけでしょう。住まいへの社会的要求は時代と共に変遷するものですが、住まいづくりに携わる我々は、「住まいは家族をつくる」という認識が必要です。また、良い住まいをつくるためには3つのP、Plan・Place・Price、とりわけ現役の皆さんには、Plan 平面と計画のあり方を大切にしてもらいたいです。都市居住の可能性———ところで、最近都市の空洞化ということが問題になっています。山中 そのとおりですね。いわゆる都市の外延化スプロールに伴い、人口空洞化や人口構成のひずみ、コミュニティの崩壊などの問題が生まれ、都市活力の減退をまねいています。元気なニューヨークの都心ウォール街は100haに40万人が働き、2万人が住んでいます。ところが大阪の都心、北船場※2は同じ100haに15万人が働きながら、常住は2千人ですしその60%の世帯は1人世帯です。同じ広さの東京 丸ノ内は、24万人が働いていますが、常住人口はありませんね。都市の活性化のためにも、早急に対策をたてなければなりません。それもただ、単に数を増やすので無く、家族構成など質的変化も見据えた新しい施策が必要でしょうね。———山中さんは、文字通り戦後の復興期から現在に至るまで、日本の住宅を見てこられたのですが、これからの日本の住宅に関して、どのようにお考えですか?山中 戦後1945年1,300万戸の住宅から始まった住宅整備は、60年を経て現在5,500万戸のストックとなっています。この間の住宅建設は6,500万戸、年100万戸をこえるハイスピードです。しかし、この間に滅失した住宅は2,300万戸、ストック重視といわれながら、まだフローの状態を脱していません。この住宅建設も、限られた資材と資金で実施されたもので、永持ちするものではありませんでした。満足度も55%で欧米の70%に比べると未だしですね。この現状を改善するこれからの住宅は、ゆとりある空間をもつ、永持ちする性能が大事と思っています。Interview

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