DESIGNWORKS Vol.07
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であるがゆえにこの建物に要求されている様々な条件による課題を解いていると思い ます。そのなかでシンプルに、インフィルを作ってらっしゃる。インフィルの作り方も、厚化粧したゴテゴテのプロダクトをカタログ設計的にした訳ではない。しかしながら、実質的な価値を持っている。ただ結果としては簡素にしたために、相対的には躯体のほうのコスト比はインフィルのコスト比よりも重い。インフィル部分の予算配分が一般の分譲マンションの厚化粧と比べると薄い。フロンテージが大きい、かつシンプルだけども実質的であるという意味で新たな価値を実現してらっしゃる。シンプルであるからこそ中央のヴォイドを利用した自然換気も見える技術として存在しているものだと思う。そういう意味では竹中の実力を改めて今日は見せて頂いたなという感想を持っています。エンジニアリングの価値と伝える言葉———フラッツ東陽では生産の合理性、エアロボイドによる自然換気といった環境技術、それにスケルトン・インフィル※1的な将来の可変性までを含めてサステナビリティ※2が追及されていました。野城 ただですね、そういう竹中のエンジニアの方々がつくりあげた価値というのが、なかなか市場価値に反映してないというのは建築界全体の問題だと思うのです。そこは工夫の余地があると思います。これだけのことをやっていながら世の中の人から見ると、普通のビル、普通の住宅として扱われてしまう。力を持っているのです。つまり、製造番号何番の製品がいつ出たかという記録はとっておけるだけの仕組みを持っているわけです。あと、メンテナンスを一旦請け負う機会があれば、それ以降はそれぞれずっとメンテナンスレコードをとっていくような仕組みを持っていらっしゃる。そういう違いを最初に売るときに活かしていかないと、類似品が作れる人たちとお金の叩き合いになっていきます。そんな果てしないことをするより、エンジニアリングが生み出す価値を顧客に提供するようにしたらいい。それは、もはや製品単体を売る、買うということだけじゃなくて、インストールした後、いかにトレーサビリティを保証できるのかということが重要で、そういうことを価値化していかないといけないのではないでしょうか。———トレーサビリティということについては、最近食品の安全性で問われているように、調達段階でも重要となるものですね。野城 建材でも同じようなことが起きますよ。素性がわかるように、こういう情報を出してくださいと、それだったら買いますと、そうじゃないものはそもそも比較検討の対象にしない。そういうことを施主の代行者として竹中がやる。そういう鑑識眼を持っているということが価値化されればエンジニアの能力を活かせるじゃないですか。竹中が買ったのなら信用できるという、それくらいのこだわりがエンジニアリングのもっている価値だと 思うのです。竹中工務店がエンジニアリング会社なのかコントラクターなのかっていうことで考えた場合、見せていただいた仕事は明らかにエンジニアリング会社だからこそできる仕事です。でも多くの会社のトレンドっていうのがコントラクターとして自分たちを位置付けて本業回帰とか言っているものだから、せっかく作り上げている価値がますます見えにくくなっています。自ら生み出すというエンジニアリングの価値、そういうものによって会社の比較優位性を出し、かつそれをエンドユーザーに届けていこうという意志を経営者から従業員まで徹底しなければいけない。———価値を明らかにするということに関連して、建材の情報化ということに取り組んでいらっしゃいますね。野城 はい。そういう世の中全体のロジスティックス※3ということからいくと、竹中も大口購買者だけれども、かといって竹中が買うか買わないかで世の中全体の建材マーケットが動くわけではないですよね。ただ、メッセージは出せますよね。設計上でこうやってつくったりしている作品、たとえば北海道洞爺湖サミット国際メディアセンターのような機会—そうした時に建築に関するロジスティックスをこうすると、こんな大きな社会的な意味があるのだというメッセージを出すこともできると思うのです。というのは今、建材屋さんも果てしない安さ競争に疲れ始めているところがあるのです。ですが大きな建材メーカーいうのは建材のトレーサビリティ※4をメンテナンスできるInterview

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