DESIGNWORKS Vol.10
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燃料電池日光水田へ戻る光合成葉緑素葉緑素雨水水田へ水田水素生成プランクトン土中バクテリア30 cm稲わら冬季の地中潜熱利用都市エタノール電力・熱燃料電池玄米稲わら・籾殻保存用ピットバイオエタノール生産システムコジェネレーションシステム土中バクテリア燃料電池H2O2H2OCO2H2OH2OCO2最優秀賞Local Energy Station -30cm over the rice fi eld-向井浩一・安藤雅彦・小澤宣行・久保田敦・佐藤圭太・平岡麻紀・山岡晃・若林秀喜(東北支店)講評̶̶̶食料自給率が落ちている日本で、コメの生産が見直されている。その圃場は「稲わら」というバイオエネルギーの大きなポテンシャルをも持つ。そこに着目し、食糧増産と地域のエネルギー自立の両立を目指した大きな構想だ。稲わらを燃やす熱電供給や発酵によるエタノール精製などを行うエネルギープラントが巨大なドームに覆われて田んぼに点在する。このドームの構造も植物由来の新材料からなり、外力を自在に受け流す一種のインテリジェント構造だ。それ自体が光合成をおこないながら、地球バクテリアの力を借りて水素を供給する装置でもある。さらに、このドーム構造が生み出す大きな室内空間は、農業学校や農業体験教室として活用され、人と農業の交流の基地となる。環境制御や新エネルギー生成の機構が構造体と統合されたスキンは、新しい建築の誕生を予感させる。総合知識産業としてのゼネコンの新領域開拓としての評価も高かった。(小玉)水田が広がる地方都市における、Local Energy Stationを中心とした「もの・エネルギー・人」の地産地消サイクルを通して、都市と田園が永続的に共存する姿を提案した。水田の表層30cmにある「稲わら」という生物資源に秘められたバイオエネルギーに着目した発電システムと農業に携わる人々が集まる学校を水田の傍らに配置し、緑の屋根で覆った。風に凪ぐようなしなやかな構造をもった屋根は、季節の移り変わりに呼応して、新しい田園風景となっていく。水田の表層30㎝の水と土壌に潜在するバイオエネルギーを用いた新たなエネルギー供給システムエネルギーチューブ・稲わらコジェネレーション等を組合わせることで、一年を通した発電が可能となる04Special Issue
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