DESIGNWORKS Vol.13
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東京都の認可保育園の設計監理を終えて、高齢者と子どもについて考える機会がありま した。どちらも基本的には個人が起点の施設です。基本は一人の人で、それは小さな子どもでも高齢者でも変わらない。その個人という単位をどうプランニングしていくかということが主題だと思います。そしてその際にはやはり管理側の考え方に大きく左右される。しせい大地の家の、8人ずつの2ユニットで中央に共有の管理スペースを設けて、それぞれ緑が豊かな東と南に開くというプランニングは、少ない人数である一定の人たちを見守っていくという管理の視点という意味で合理的です。そして個人の生活の起点となる居室については、2人のユニットが基本となっていて、 可動の間仕切りをはずすと、それを4人で使えるようになっています。一方で2人の単位を1人ずつに分けるという視点も、特に高齢者や子供の施設などでは大事になってきますが、それを居室の中で解決するのではなく、相談室というオルタナティブスペースをつくることにより解決するという配慮がされています。一方でメインのコンセプトになっている「大地のデッキ」はまちと個をつなぐ位置付けになると思いますが、実際に拝見してまちとデッキと個の独立性が強い印象を持ちました。デッキと居室ゾーンは玄関でのみ繋がっていて戸建住宅地の在り様に近い。もう少し緩やかなつながりがあっても良いとも思ったのですが、管理上、安全上はきちんと線引きをしなければならない。そのあたりが難しい部分ですね。———今回は医療の空間もいくつか掲載しています。島田総合病院は、80年近く建て替えを続けているプロジェクトで、昨今需要が増えてきている予防医療などを扱う施設です。佐々木 医療福祉施設の場合、施設基準が 頻繁に変更され、それに対応していくのが大切になります。そのため物理的な耐久性だけではなく、機能的な耐久性も求められる。将来的な用途の変化などにも耐え得るスケルトンとしての質をいかに確保するかが大切です。一方で今回紹介されている島田総合病院のように市街地の中にはまり込んでいるタイプの病院では、病院の稼動率を落とさないままでの改修、拡張などが要求されるため、かなり先を見据えた用地取得構想と、その用地取得の状況に応じて柔軟に変化可能なマスタープランの組み立てが重要になります。その点、島田病院は長期にわたり竹中工務店がかか わり、螺旋上の増改築プロセスなど周辺市街地環境と親和する病院コンプレックスを実現しているように思いました。就寝空間の質を考える———医療福祉施設の場合、管理上や法規の制約が多いとは思いますが、エンドユーザーの視点に立った住宅的なとらえ方が重要になってくるのでしょうか。佐々木 医療福祉施設は、施設なのか住宅なのかという議論はよくあります。私がもともと医療福祉施設を手掛けるきっかけになったのは、長野県松本市にある全室個室の介護老人保健施設だったのですが医療福祉施設ではなく普段、住宅や集合住宅を設計している人にしせい大地の家島田総合病院 全体模型撮影:堀内広治設計を頼みたいというものでした。このような場合、住宅と施設の違いは往々にして内装の趣向のようなものに矮小化されてしまうことがほとんどなのですが、そうではなくて住宅のスケールとか、住宅におけるベッドと水廻りの関係とか、建築の空間の組み立ての問題として考え得るさまざまな主題を含んでいるのです。ただ補助金の基準になるような施設基準は住宅のスケールなどにフィットしないものも少なくないのでその辺りの改編まで踏み込んだ議論が必要になってくると思います。今後、療養型病床が規模的に縮小され、医療福祉環境としての住宅、住宅としての医療福祉施設などの拡充も起きてくるでしょう。ただ、その時に一番大切なのは「維持する環境」なのか「治す環境」なのかをきちんと見極めることだと思います。先程の施設の住宅化の話ではないのですが、病院は基本的には治療効果に特化するべきだと思っています。家としての居心地の良さではなく、治す空間としての居心地の良さというものが大事になると思います。一方で住宅については、例えば最近、高齢者向けに作ったコレクティブ・ハウジング※1を、若い人が楽しみはじめているという現象があります。現在の高齢者は、人や地域にもよるとは思いますけど、今まで共同生活の経験が多くない。そのような状況の中で複数の個が反応して融和していくのはそんなに簡単ではありません。一方で今の若い人はその点すごく柔らかくて軽やかで、付かず離れずの共住のマナーを持っている。だから彼らは年を取ってもずっとコレクティブをしているのだと思います。ただそこには個を軸にした建築の形式のようなものは間違いなくあって、その形式が Interview

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