DESIGNWORKS Vol.15
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Special Issue竹中環境コンセプトモデル建築コンペティション2010「省エネ・省CO2と同時に長期資産価値を高めるオフィスの改修提案」竹中工務店は「省エネ・省CO2と同時に長期資産価値を高めるオフィスの改修」をテーマに社内コンペを実施した。実在する建物や街区を対象に、これからの数年で実現可能な、革新的あるいは普及推進型の改修提案を求めたものである。全店から48作品の応募があり、2010年7月2日に開催した「環境シンポジウム」の中で、社外審査員による第2次公開審査を行った。当社は2010年7月、「人と自然をつなぐ」という環境メッセージを制定し、2050年を目指した環境コンセプトを、「人の感性や創造性を高め、自然を活かし、ゼロカーボン建築からカーボンニュートラルな都市への実現を目指す」と定めた。また、社内外に発信するためのパンフレット「環境コンセプトブック2050年を目指して」を発刊した。その活動の一環として行われた環境コンセプトモデル建築コンペ、環境シンポジウムは昨年に続いて2回目の開催である。シンポジウム当日は、東京本店を主会場に全国7本・支店をTV会議システムで結んで約400人が参加し、一次選考に残った17作品についてプレゼンテーションが行われた。審査員には小玉祐一郎 神戸芸術工科大学教授、田辺新一 早稲田大学教授、本田広昭 ㈱オフィスビル総合研究所 代表取締役の3名を迎え、当社の渡邊暉生副社長、門川清行専務を含めた5名の審査員と各プレゼンターとの活発な議論が展開された。公開審査では17作品の代表者による熱心なプレゼンテーションが行われ、審査員との質疑で活発な議論が交わされた後、公開の選考が行われた結果、最優秀賞1点、優秀賞5点が表彰された。いる本田氏、ながらく室内環境の快適性・健康性をテーマとし、最近は知的生産性の研究にも取り組んでいる田辺氏である。地に足がついていない傾向がある私に比べると、両氏は現実主義者としても定評がある。海外を含む本店、支店から寄せられた提案は50点。いずれのチームもデザイン、エンジニアなどからなるインハウスの混成チームである。アイデア先行の提案もなかったわけではないが、大方は混成チームらしく各分野でよく練られたあとがうかがえる力作ぞろいだった。社内の一次審査で選ばれたのは17点。そのあとは、外部審査員を加えた5人の審査員による公開審査が行われた。17チームのプレゼンテーションと質疑の後、審査員ごとに6作品を投票推薦。それぞれ述べられる推薦理由を巡って意見交換の後、もう一度の投票。今度は各自6点をもって、傾斜配分が可能な投票とした。最優秀賞に選ばれた「Floating Ring」は、審査員5人中4人から2ポイントずつの高得点を獲得した。一般的なオフィスの改修とはイメージが違うけれども、これからのオフィスのひとつの方向を示す着眼点は鋭い。木場という時代の役割を終えた場所には、水面というランドスケープとこれを囲む多くの空き倉庫がある。東京のウォーターフロントに残されたストックの特性を生かして、オフィスにコンバージョンし、近未来型のオフィスのありかたを提案しようとするもの。広大な空き倉庫の中に、「入れこ」のように数多くのオフィススペースをゆったりと分散的に配置し、周辺には、デザインスタジオや工房、展示場、集総評審査委員長:小玉祐一郎リアルな視点とデザインの洗練省エネルギー・省資源はこれからの持続可能な社会における建築の必須条件である。それをどのように達成するか、関連分野での技術の進歩は著しい。設備機器システムの効率化もそのひとつであるが、一方では既存の建築パラダイムの中で高効率化を競うのではなく新しいパラダイムを構築し、そのなかで新しい性能、空間、建築を提案しながら問題解決をめざす試みもされるようになってきた。省エネルギー・省資源の方法はますます多様化してきたのである。2回目になる社内コンペの今年度の課題は、「省エネ・省CO2と同時に長期資産価値を高めるオフィスの改修」。長いテーマにいくつものキーワードが挟み込まれている。この時代、低環境負荷は当然としてもオフィスとしての付加価値・高機能がなければならない。また、既存ストックを活用する社会的要請に応える一方で短期的な経済性を無視できず、さらに長期的な資産価値も高めておきたい。盛りだくさんの課題が込められている。世の中に環境意識が定着しつつあるゆえに、そのリアリティも問われるようになったという認識であろう。テーマを整理すると次の3つ。1)長期資産価値を高める2)知的生産性の向上3)地球環境負荷の低減今年はふたりの外部審査員に加わっていただいた。オフィスの経営的視点はもちろん、近未来のオフィスのありかたを幅広く追求して「Floating Ring」Special Issue
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