DESIGNWORKS Vol.15
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Scrap & Build & RenewalMass Renewal & Value 老朽・陳腐化した街区既存建物の改修(耐震・設備)狭小敷地を合せて建替え超高層ビルによる再開発街区全体をつなぐ改修中に吹抜けをもつ休憩スペース会議室渡り廊下外に吹抜けをもつ休憩スペースワークスペースワークスペースミーティングスペースミーティングスペースVIPワークスペースワークスペース太陽熱ソーラーコレクター屋上緑化(太陽熱集熱器)隙間を介して光や風、視線が行き来する風ダンパーカフェ余分な設備や側壁を除去することで明るく広大な執務空間を生み出す。共用ラウンジ大きな会議室は街区でシェアエレベーターを集約。スキマのブリッジで打ち合わせ。街区内の一部を住居へと改修し、都心部における超職住近接を実現。建物間を自由に行き来できるブリッジが地震時のエネルギーを吸収します。設備スペースを集約建物のアイデンティティと街の歴史を尊重し既存の外壁を積極的に残します。スキマの空間に新しいエントランスを設ける。側壁を取り除きガラス開口とすることで風と光を取り入れる。優秀賞オフィスアーバニズム合田靖・高橋賢・藤本健太郎・坂口佳史・大倉栄志・九嶋壮一郎・江藤忠人・永野浩一(大阪本店)講評———建築単体の提案が多い中で、都市の視点からの大きなスケールの提案を評価した。安土町という太閤下水がまだ残る大阪の街区を対象としたオフィスと住居の複合提案であり、この街区が持つ特徴をうまく活かして計画、隙間をつなぐ、壁を共有化するなどの手法が提案されている。1+1が2以上になるというマスリニューアルの手法などは現状の権利関係の複雑さからすると障壁も多いと思われるが、意欲的な発想である。スマートメーターなどの近代的な手法も取り入れられている。オフィスの冷房排熱を住宅に利用する等の計画は有効であろう。事業化に関して、具体的な裏付けがあるとさらに望ましいと感じた。ハードだけでなく祭りなどの明るいソフト的な要素が提案には入れられていたことが入選に繋がった。�(田辺 新一)大阪の中心市街地において、改修の進まない中・小規模の既存ビルの隣接建物間のスキマ(太閤下水跡)を利用し、お互いを空間的、構造的、設備的に繋ぎ、機能を街区として集約・共有し、アメニティ性の向上、省CO2化、通信情報の共有化を図る。都市の財産であるビルディングストックを活かしながら多機能複合街区として、競争力・資産価値を向上させる改修提案である。隙間空間をつなぎ、共有することで、街区全体を活性化し、競争力・資産価値を向上させ、ひいては街並み自体の魅力再生を図る提案である。田辺 新一(タナベ シンイチ)/工学博士1958年福岡県生まれ1984年早稲田大学大学院博士前期課程修了1989年アメリカ暖房冷凍空調学会R.G.Nevins賞1996年日本建築学会奨励賞(論文)1999年空気調和・衛生工学会賞デンマーク工科大学暖房空調研究所、カリフォルニア大学バークレー校留学。ローレンスバークレー国立研究所研究員、デンマーク工科大学客員教授、お茶の水女子大学助教授を経て、2001年早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科教授2002年日本建築学会賞(論文)Special Issue
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