DESIGNWORKS Vol.15
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老朽化し更新の必要な2棟スキマを介した空間の連結スキマへのデバイスの挿入異種用途を組み合わせた効率的な設備計画隙間ディバイス2光ダクト隙間ディバイス3ドラフトシャフト優秀賞ニコイチ 棟間連結によるビルリノベーション鈴木貴紀・小杉嘉文・伊藤貴弘・田邉昌基・柳澤隆・横並努・森田和也・金子研・宮崎貴士・脇田正成・望月綾子(名古屋支店)講評———オフィスビル総合研究所HPの公表データによると新耐震基準(1981年施行)以前の設計で1983年以前に竣工したビルは、東京都心3区(千代田・中央・港):44.8%/大阪市:46.1%/名古屋市:50.4%/仙台市:44.8%/札幌市:48.6%…世界第2位の経済大国は地震の危険にさらされているのである。TOKYOの経済圏を構成する広域首都圏(一都三県)には、約3万5千棟・6千万平米(1,800万坪)を越える賃貸オフィスビル(諸官庁・物販飲食専門ビル・ホテルを除く)があり、その内旧耐震構造ビルの可能性(1983年以前完成)は、11,679棟2,000万平米(600万坪)でおおよそ100万人がその危険にさらされている。以上のデータが示すように、ニコイチ棟間連結によるビルリノベーションは、短期間で耐震都市を構築できる価値ある提案として評価した。�(本田 広昭)都心にある、建て替え困難で放置されている小規模オフィスビルのように、どこにでもあるケースを想定し、隣接するビル同士を連結して建物の価値を高める提案である。ビルの隙間に着目し、制振装置、光ダクト、ドラフトシャフトのディバイスを挿入することを技術提案の骨子とし、棟間の「スキマ」を介在させながら連結された空間を魅力的な複合施設として再生させる。2棟を1棟化する「ニコイチ」化と住宅とオフィスの複合化により、設備容量の平準化や排熱の再利用などの効果が確実に見込めるローコスト型の省CO2提案とした。本田 広昭(ホンダ ヒロアキ)1949年北海道生まれ株式会社オフィスビル総合研究所代表取締役、三幸エステート株式会社特別顧問、京都工芸繊維大学大学院非常勤講師著書「定期借家法ガイダンス」「次世代ビルの条件」「都市の記憶Ⅰ・Ⅱ」「新・次世代ビルの条件」「都市の記憶を失う前に」「オフィスビルの戦略的改修企画(BELCA)」などSpecial Issue

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