DESIGNWORKS Vol.17
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3Riku Future Design Project ~Green Field Program~ 木のループによる「もりのくに」ブランド創造栗原智一・高浜洋平(プロジェクト開発推進本部)3Riku(自然の恵みの3つのフィールドと考え、水産業・林業・鉄産業を産業再生の柱として、仕組みづくり・問題解決・ブランディングに取り組む)のうち林業にスポットを当てた「Green Field Program」。東北だけでなく日本の課題である「林業復興」を通じて、地元の雇用や地域の自立的な経済活動の柱をつくり、震災から立ち上げる「もりのくに」ブランドを創造する。[ブランド想像のための3つのプログラム]1. 高い高齢化率、担い手の減少という根本的な産業構造の課題に対して、林業等に携わる人材の育成を行う「もりのくに森林大学校」を創設。2. 木を愛する文化育成のため、長寿命品質の木造建築を、新設するまちづくりエリアの中核ゾーンに設け、安心・安全の機能とともに「デザインコード」としてまちなみ形成を狙う。3. まちづくりエリアの中核ゾーンをみんなでシェアすることで、一人では限界のある事業を仕組み化し、地域で支えるまちづくりモデルを構築する。また、不動産だけでなく、自動車や農機、漁船もシェアしていく。「なゐ」と「つなみ」とともにいきるまち -高床式人工地盤免震のある街つくり構想-関光雄(エンジニアリング本部)地震と津波は古くから「なゐ」、「つ(の)なみ」と短く記され、日本特有の自然現象との共生感が見てとれます。それは建築にも、地震から逃れられる石場立て基礎や、出水に対応できる高床式に知恵の痕跡が残っています。提案は、高台居住アイデアの一つとしてある人工地盤案について、現代技術を改めて古来の知恵で読み直し、自然に抵抗するのではなく、自然と共にある日本固有の在り方を再考し、1000年先を見つめたものです。再生エネルギーの活用、コンパクトに集約したまちつくりにも構想を広げ、今すぐ実現可能な提案としてます。この提案が、東北の被災者の方々への将来復興、日本の復興に少しでもお役立に立てば幸いです。セッションC:大都市圏のまちづくり高速道路高架下に誕生する新たな都市防災拠点 阪神高速道路高架下に建設する、大阪の都市防災機能を強化するための大阪府庁移転構想三和盛彦・青木和雄・二宮卓也・吉田幸正・山本俊司・前川元伸・北濱亨・待永崇宏・五十嵐賢・加藤美稲(大阪本店 設計部)これまで想定されてこなかった地震や津波等の外乱に対して都市防災機能を強化することは、大阪にとって緊急課題である。この提案は、新たな構造システムにより都市の未利用空間である阪神高速道路の高架下に大阪府庁を挿入し、未曾有の災害に対しても都市防災機能を保持させるものである。計画建物は、すべり支承を用いた免震建物で高架橋とストッパーロッドで連結する構造であり、想定外の外乱に対して建物と高架橋が構造的に相互補完し、互いの安全性を向上させる。災害時には、高速道路の上部空間が人々の一時避難場所となると共にネットワークを活かした流通拠点という役割を有する。下部の庁舎ユニットはエネルギー的に独立・分散配置した災害復興拠点となり、上下互いの機能を補完することで全体として建築・構造に加え、都市機能そのものの安全性と冗長性が高まる。28Topic
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