DESIGNWORKS Vol.17
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セッションE:避難所・日本・世界FLIP OVER ACCORDION 折りたたみ式シェルターにより避難所生活にやすらぎを与える佐分和久・奥健一・Peter Mulik・Kabelova Tereza・Jan Regal・Ladislava Dvorakova・Marta Sobotkova・Ales Bartousek・Michal Zoubek・Vaclav Sobolik・Filip Havrda(ヨーロッパ竹中 チェコ支店)あの、ひどい災害のあとの日本に、どのような提案を我々はできるのか…?メンバー全員による議論を経て得た結論は、ある種の「やすらぎ」を与える提案がしたい、でありました。我々の提案は、Flip over(サっとひっくり返せる、起き上がる)することで、迷うことなく、簡単に設置できるシェルターです。妻側には合板等を、壁側にはアコーディオンのように伸縮可能な半透明膜を採用し、簡易ながらもシェルターとしての機能を十分に果たします。折りたたんで収納することにより省 スペースがはかれます。例えば、平時に体育館の床に敷き詰めておくことが可能で、非常時に床材をFlip overするだけで仮設の避難所ができます。もし日本の47県のなかの3県がドラスティックなツナガリを築いたら 3県間で普段からのツナガリを構築しておくことで、災害時の相互支援にも備える迫麻里絵・原田慧・藤川敏行(プロジェクト開発推進本部)47都道府県を3県ずつ15組にグルーピングし、普段から人や物、産業、文化などの交流を意識的に行うことでお互いのツナガリを構築してゆき ます。通常時からツナガリを築いておくことで、災害時にもお互いが自然に意識し合い、相互避難や援助、復旧支援などの対応を迅速に行うことができます。通常時は、官民の境なく人材の交流や文化交流、地域産業の相互活性、環境活動等に取り組みます。それぞれが第二・第三の故郷、もうひとつの職場、わがまちを持つ、というイメージです。そのツナガリを持っておくことが災害時に大きな力を発揮します。四川大地震では被災地の省と無事だった省でペアを設定して復興を支援 しましたが、災害直後の物資や医療などの短期 支援にとどまったのに対し、本提案では普段からの信頼関係が構築されているため、いざという時の迅速な対応だけでなく、長期的な復興支援にもお互いを支え合いながら取り組むことが可能です。Re-Branding JAPAN「防災大国・災害支援国 日本」の確立 世界の持続的発展を支援する防災ポテンシャル創造型のまちづくり東村壮裕・木村祐太・野中広斗(プロジェクト開発推進本部)自然災害による被害軽減は国際社会の重要な課題となっている。日本は東日本大震災により多大な被害を受け、また同時に世界中から様々な形での支援を受けた。今後、日本は世界への「恩返し」として、防災や被災地支援により世界の持続的発展を支える「新しい支援の形」を世界に向けて 提案する。①全世界の防災力を高める支援システムの構築日本各地に被災地を支援する「災害時特別連担支援地区」を整備し、国内・世界各国の災害時には、各地区が連携し被災地支援を行う体制を整える。 ②防災ポテンシャル創造型のまちづくり災害時特別連担支援地区の速やかな整備と災害支援における民間資源活用のため、各地区で民間企業が主体となった自立型の運営モデルを構築する。事業継続性と防災CSRをテーマにした新しい価値創造型のまちづくりを展開する。[渡邊暉生氏コメント] 東日本大震災で全世界から支援を受けた我が国にとって、民間が国・地方自治体と協力して、全世界の防災力を高める支援体制とまちづくりを行う構想が必要だと再認識した。世界の持続的発展を考えたこの発想そのものを高く評価した。31Topic

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