DESIGNWORKS Vol.22
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現在、大阪府と大阪市によって御堂筋の大改造が検討されている。高さ制限の規制緩和による従来のスクラップアンドビルトのまちづくりではなく、既存のオフィスビル躯体を基盤とし、既存躯体への影響を最小限にした軽量な木造住宅をビル屋上に新築する。地上31mの木造住宅地は、隣接するビル同士を空中で連結することで、地下・御堂筋・地上31mを結ぶ立体的回遊性を持った都心を生み出す。住宅とオフィスの境目には、双方を補完する用途(カフェ、幼稚園、フィットネスなど)を導入し、入居率の下がった高層階のオフィスにも新たな魅力を創出する。また、この木造の住宅は、オフィスの日射負荷を低減し、住宅にはオフィスの排熱を利用したコジェネレーションシステムを供給するなど、ビル上の環境装置としての役割も持っている。この地上31mの新たな地平は、淀川の氾濫や津波による浸水被害のない安全な地平であり、木造建築ならではの様々な特長を活かした、人・環境・街にやさしい安心・安全なまちづくりである。屋上木化によって、軒線の連続する御堂筋の美しい街並みを取戻し、地上31mの地平に都心居住型の新たな御堂筋スタイルを提案する。講評 木材の利活用の場が国内の課題となる中で、不揃いになっているスカイライン、空室率の増加など大阪のメインストリート「御堂筋」の抱えている様々な問題点を、屋上に増築する「木造建築」で解決し、都市景観まで繋がる優れた提案である。新技術「燃エンウッド」を活用した実現性の高いものであり、ぜひ、早期に実現したい提案と言える。坂本貴仁・寺村雄機・中川総一郎(大阪本店)最優秀作品屋上木化 -地上31mの木造住宅地-各パース背景写真出典:Re-urbanization ~大阪再都市化~04Special Issue

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