DESIGNWORKS Vol.24
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日本の18歳人口の推移と予測(出典:文部科学省「学校基本調査」,国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」より文部科学省作成)今回は、教育本部教育グループの堀千太郎氏をお呼びしました。近年開学した2つの先進的な取り組みを行っている中学校・高等学校を見学して頂き、設計者の方を交えながら、教育環境を取り巻く社会的な変容と、これからの新しい学校建築についてお話を伺いました。 まず初めに、中学校・高等学校における教育環境の社会的な変容についてお聞かせ下さい。堀 社会的な環境変化としては、少子高齢社会、知識基盤社会、情報化社会と大きく三つの変化の要因となる方向性があると思います。少子化の進行により学年当たりの人口は今後に減り続けることが予測されています。18歳人口が1990年頃には200万人近くいましたが、2013年では120万人程度となり、現状は横ばい傾向ですが、さらに2020年以降に減少が進み、100万人を切ることが予測されています。その結果、中学校や高等学校においても学校間競争が激しくなっており、ソフト・ハード両面における生き残り策として、新校舎整備など学校関連投資は増加傾向にあります。今日のような知識基盤社会においては、「イノベーション」が重要度を増しています。イノベーションを創造していくには、個人だけではなくチームでの活動が基本となり、そのチームを率いるリーダーを育てなければならない、そのような社会的要請により社会で必要とされる能力が変化しており、文科省では「生きる力」と総称しています。既に大学では個人・グループ学習や学生参加型学習のために「ラーニングコモンズ」や「アクティブラーニング」といった学びのコンセプトが見えてきています。そのような、グループでの課題解決能力を高める教育として、学生同士が協力して能動的に考えたり学んだりする場が、中学校・高等学校においても求められつつあります。また、情報化社会という点では、ICTを活用した事例として、パソコン、インターネットを利用したeラーニングのように、先生と生徒が直接会わなくても授業が出来るという形式が増えると予想されます。既に予備校では活用されており、今後、知識伝達的な学習はeラーニングを利用して行い、実際の授業はディスカッション、プレゼン中心の体験的な学習となることが予想されます。また、安全性の追求という点で、学校の耐震化は必須の条件となりつつあります。公立学校では2015年度末までに耐震改修を完了する目標を挙げており、私立学校も同様の課題を抱えています。また、東日本大震災を契機に、天井材落下の耐震性能が問題視されています。特に体育館のような大空間は災害時に避難施設として機能することが期待され、行政からも強い要請を受けており、学校施設の安心・安全確保は重要な課題となっています。 「ラーニングコモンズ」や「アクティブラーニング」といった新しい学びの場に関して、今回見学された京都産業大学附属中学校・高等学校(以下、京産大)と、東大谷高等学校泉ヶ丘校舎(以下、大谷学園)でどのような建築的取り組みがなされたのでしょうか。梅田(京産大 設計者) 京産大は全体として、ゆったりとした空間作りを目指しました。京都市街にありながらも、まるで大きな「家」にいるように、学校で終日過ごしても快適な空間をイメージしています。教室単位としては標準的な形式でまとめていますが、広い廊下や中庭やデッキテラスなど、教室と教室との間に様々な居場所を確保しました。そのような、生徒同士あるいは生徒と先生との共有スペースを随所に設けることで、能動的なグループ活動を促しています。建物の構成としては、建築主様は先進的な決断をされました。堀 従来の学校では、教室が教育・学習の場の中心でしたが、最近の学校では、教室以外の場で行われる生徒や先生との多様な学習の役割が注目されていますが、そのような共有スペースは、実際にどのように考えて創られ、活用されていますか?増田(京産大 設計者) 放課後に先生が教室で生徒に話しかけたり、生徒が先生に質問をしたり、生徒達だけで学び合うということは、従来からあったコミュニケーションの形ですが、それを更に活性化させるために空間的に顕在化させることを、設計者からご提案しました。梅田 京産大では、教員室の周囲にコミュニケーションスペースを設けており、放課後に質問に来た生徒と先生が利用したり、あるいは生徒同士が教えあったりと積極的な活用がされているようです。堀 今日の傾向として、「生きる力」を育むことを目的として読書を習慣づけるためにエントランスの近くに図書室を配置するケースがみられます。登校時に自分の好きな本を選んで、朝の読書の時間に教室で読むよう義務付けている学校もあります。京産大ではどうですか。瀬山(京産大 設計者) メインエントランスの横に図書室を計画しましたが、生徒たちの 座談会:中・高等教育のための新しい学校建築京産大 デッキテラス 写真:古川泰造京産大 エントランス 写真:古川泰造京産大 廊下 写真:市川冶澄 Round TableRound Table04050100150200250専門学校入学者数短大入学者数大学入学者数元高校等卒業者数510152025303539年200万人120万人100万人▲2013年▲2020年▲1992年万人

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