写真:堀内広治写真:小川重雄写真:佐々木育弥InterviewCOCONO SUSUKINOD-LIFEPLACE札幌狸上るビルバウンドで大きく様変わりしてしまって、市民の居場所がなくなったという印象です。モノを消費するにはいいけど、場とか時間を消費する場じゃなくなってしまいました。建築オーナーである札幌の老舗不動産会社の社長は、このセットバック空間で自ら太鼓を叩くパフォーマンスをしている。街を活性化するためには、建築とそのオーナーが何をするべきなのかを自ら表現している。このような価値観が、商店街の他のオーナーにも連鎖したら面白いと思います。「COCONO SUSUKINO」は、四つ筋空間を劇的に変えたという印象です。札幌都心の交差点は不思議な地型をしていて、交差点に隅切があります。そのため、交差点に対して隅切った壁をつくり、それがビルファサードになっている建物が多いです。この建物はそこの部分を上側に対してオープンにして、壁ではなく階段状の外部空間で奥側に引き込んでいる。旧道庁前の再開発プロジェクト赤レンガテラスでは、公開空地を内部化して容積率ボーナスをもらっています。「COCONO SUSUKINO」では外部化されている隅切り部分から上にのびる屋外広場を容積率ボーナスの対象としてつくっていて、開発手法をどんどん進化させていますね。内部であれば居心地がよいのかもしれないけど、アクティブに外部にさらされているところでも居場所としては大丈夫なんじゃないかと考え、融雪ヒーターを実装するなど、冬季のパブリックスペースの使われ方に対して新しいチャレンジをしているという印象です。また、夜行くと全然違うのが分かりますが、すすきの交差点まわりの地上部は人でごったがえしています。上に隅切り壁がないので、多くの人を安全に収容できるスペースをつくり上げています。交差点に面する上空部分の大きな壁面にデジタルサイネージを設置したり、内照式サイン入って奥が明るく見えているのも、入りやすさの重要なポイントですね。チ・カ・ホは運営してくださる札幌駅前通まちづくり株式会社さんがこの吹抜け空間でも積極的にいろんなイベントを仕掛けていて、生きた使われ方をしています。イベントにもよりますが、上から見てる人と、全然関係なくなにかしている人とが微妙なレベル差で混在しているところが面白いです。その辺の「自由度」も大事なのかもしれません。セレモニアルな市庁舎前の広場とか、ヨーロッパにあるような公共空間では、まちの重要な儀式をしたりしますよね。そういう使われ方ではなく普段使いだけど、いろんな人たちの活動がその中に放り込まれていて、それに対しての距離感を参加している人が自由に設定できる。その「自由度」がつくれるのは、レベル設定や壁の角度を変えたり、位置関係を変えたりした結果でしょうか。ちょっとした「たまり」があるのは、多分ひとは気持ちいいんでしょうね。設えをどうつくるかが、パブリックスペースのデザイン方法論としては重要だと考えます。「狸上るビル」は、狸小路アーケードに対してセットバックして、外光が建築敷地まで届いたり、そこに階段やテラスがついており、半外部の空間がアーケードに接続する特異な空間構成をした事例です。新しいアーケードとの接続効果を目に見えるようにしたことが、とても大きなことだったと思います。今後の狸小路のいい意味での変わり方を促すようなパイロットモデルになったら、面白いですね。間口が狭い敷地に建築物を建て替える方法に関しても様々なアイデアを検討したり、素材の使い方についてもさまざま提案していて、大きな空間構成とディテールのバランスもうまくできており、エスプリのきいた建築になっていると思いました。狸小路は、インプロジェッティスタとして「みんなの場所」を仕掛ける本号は、大規模再開発プロジェクトや商業施設において、公共性のある作品を取り上げています。「D-LIFEPLACE札幌」「狸上るビル」「COCONO SUSUKINO」を視察いただき、まちに対して建築が担うべき役割についてお話を伺いました。からとても印象的なつくられ方だと思っていまよって魅力的な四つ筋の角をつくり上げようとしています。地下から吹抜けを見て、地下歩行大きな地上とのつながりができたプロジェクト用意されているので、訪れる方がそれぞれ自分の好きなところを見つけて、ドリンクを飲んだり、パソコンをいじったり、待ち合わせしたり、そういうことが行われていて、滞在空間としての魅力的な状態ができていると思います。居場所、もっと言うと「みんなの場所」ということになるのかも領域がつくられていて、非常に快適なスペースが出来上がっていると思いました。地下から地上に繋がる空間を大きく開きたいというのは元々の地下歩行空間をつくるときの大事なコンセプトだったと思いますので、13年経ってやっと実現天井高さが低くなっていることがかえって良い小篠隆生先生(元北海道大学工学系研究院准教授)に札幌中心部の設計施工の近作である 視察いただいた感想をお聞かせください。小篠 「D-LIFEPLACE札幌」は、つくっているころした。パネルの大きさやスリット状の開口部、オーバーハングしていくような柱の備え方に空間(チ・カ・ホ)ができて以来、初めてとなるになったのではないかと感じました。吹抜け空間には、様々な断面レベルで座れる場所がしれませんが、何とも言えない独特の中間的なして、感無量です。チ・カ・ホとの接続の関係で、効果を生み出し、吹抜け部分に入ると外光が小篠隆生氏に聞く02Interview
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