働き方・生産性改革
改正労働基準法における時間外労働時間の上限規制が2024年4月から建設業にも適用されます。
このような現在及び将来の社会変化と働き方改革へ対応し、お客様のニーズに応え新たな価値を生みだすことが、私たちが目指す新しい建築生産のかたちです。
労働時間等の適正な労働条件の担保
適正な工期と人員の確保
作業所閉所目標達成率
4週8閉所31.1%(目標:4週8閉所 100%)
建設業の働き方について「工期」に着目した改革が国家レベルで進められています。国交省は改正建設業法(2020年10月施行)により、発注者・受注者双方の責任のもとに適正な工期を確保することを法制化しました。日本建設業連合会は「建設現場の週休2日」を掲げ(2018年4月着手)、2023年度末4週8閉所100%達成を目指しています。現状、当社実績は30%ですが、閉所率向上に向けて、フロントローディングの推進やBIMを中心とした業務スタイルを定着させるなどの自助努力に加え、お客様の適正工期に対するご理解がより一層、不可欠となっています。
一方、人員確保に向け「受注と生産のバランス」を重視して活動を進めています。個人の働き方についてはタイムマネジメントを重視し、バリアブル勤務や振替休日の取得、現場業務のアウトソーシングや会議時間の短縮などを推進しています。また、建設技能者の確保に向けては、協力会社と一体となった学校訪問説明会や技能体験会などを開催し、魅力をアピールしています。
持続可能で生産性の高い建設プロセスの追求
工業化や高効率構工法の設計取り込みによる労務工数の削減
高効率構工法の早期施工計画反映とオフサイト化(工業化等)による労務工数削減
工業化や高効率構工法の設計取り込みによる労務工数の削減
施工高管理効率(新築領域:作業所施工管理系の業務効率)
10.4万円/人・時間(目標:12.0万円/人・時間)
施工高効率(新築領域:技能労働者の業務効率)
1.87万円/人・時間(目標:1.84万円/人・時間)
当社では2020年より「竹中新生産システム」として計画段階から施工に至る建設プロセス全体にわたる業務の効率化を目指し、生産性向上活動を展開しています。その実現には着工までのつくり込みが重要であり、BIMをはじめとしたデジタル技術を効果的に活用し、生産性向上はもとよりお客様とともにプロジェクトの課題解決に取り組んでいます。
多様な人々の健やかで働きがいのある環境の実現
WLB推進による多様な働き方の実現
従業員満足度
3.45(目標:3.70以上)
2017年にスタートしたWLB(ワークライフバランス)向上活動は、社長を委員長とする「抜本的全社生産性向上によるWLB向上委員会」の下で、多様性を尊重しながら生産性向上と「働きがい」や「やりがい」を高めることを目的としています。喫緊の課題として、2024年4月から建設業にも適用される、時間外労働の上限規制に照準を合わせた活動を継続しています。2022年は、上限規制下での働き方を体感して、課題や工夫を抽出し、改善につなげる「WLB実践トライアル」を開始しました。全職場で将来の働き方を体感し、それを実現するためにはどうするのか、何を変えれば実現できるのかを掘りおこして、新しい仕組みや制度の普及につなげ、従業員一人ひとりが社会環境やライフステージの変化に対応できる、柔軟な働き方が実現可能な職場を目指します。その実現の土台となる生産性向上のための竹中新生産システムやBIMを推進するとともに、作業所の働き方改革推進体制を強化して業務負荷軽減施策も進めています。
若手の本音を引き出すワークショップを開催
ダイバーシティ(多様性)の促進
女性管理職比率
5.10%(目標:5.5%以上)
当社では性別、国籍、年齢、障がいの有無などに関わらず、誰もが活躍できる職場環境の実現を目指しています。男性社員の比率が高いとされる建設業界において、近年では当社の新卒採用における女性比率が20%以上を占めています。多様性の中でも女性活躍の促進・職域拡大に取り組み、けんせつ小町工事チームの活動促進など、作業所での女性活躍環境づくりを継続的に行っています。育児と仕事の両立支援においては、2020年に育児・介護のための在宅勤務及び短時間フレックスタイム制度の導入、また作業所勤務者を対象にバリアブル勤務の導入、全社員を対象に時間単位年次有給休暇の導入など、フレキシブルな働き方を可能にしました。その他にも、シニア層の豊富な経験とスキルを活かした活躍を目的として2022年4月より65歳定年延長を導入し、全世代の社員が活躍可能な仕組みを構築しています。
日建連「けんせつ小町サミット2023」にて、けんせつ小町工事チームの活動を紹介
健やかな心身を育む健康経営の促進
健康経営度調査総合評価点
実績:574点(目標:500点以上)
2016年から千葉大学と共同で、健康に働けるオフィス環境づくりの調査研究を開始し、2018年からは東京本店においてリニューアル後のオフィス環境が従業員の健康や働き方に及ぼす影響について実践的な検証を実施しています。また、従来から行っている健康診断・ストレスチェックの結果を総合的に判断し、当社で働く者の心とからだの健康のPDCAサイクルを回す仕組みを検討しています。これらの取り組みの結果、「健康経営優良法人2022」に選定されています。
東京本店KOMOREBI
差別とハラスメントの撲滅
ハラスメントの環境調査・教育啓蒙の実施
教育実施率
100%(目標:100%)
当社では、働きやすい職場環境の実現に向けて、ハラスメント等の不当な扱いを行わないことを会社の方針に掲げハラスメント防止の促進に取組んでいます。職場の実態を把握するために全従業員を対象に定期的に「職場環境調査」を実施しており、その結果を受けて、特にパワーハラスメントの行為者になり得る優位的立場にある全ライン長を対象に、パワーハラスメント防止研修(管理職編)を実施し、その後も引き続いて、新任ライン長を対象にした研修を毎年実施しています。また、ハラスメントについての正確な知識を習得するために、全従業員を対象にeラーニングを実施し、健全な職場環境の維持及び従業員の心身の健康維持に取組んでいます。
人材の確保と育成・定着
【従業員】環境変化に応じた若年層社員教育の見直し
新卒者離職率(入社3年時点)
5.3%(目標:3.0%以下)
当社では、入社後1年間、深江竹友寮(新社員専用寮/神戸市)で生活しながら複数部門のOJTなどを経験することで、人間としての成長と、当社の伝統的精神、プロフェッショナルとしての知識や心構えを身につける教育を実施しています。2019年には深江竹友寮の建替と新社員教育プログラムの刷新を行い、ハード・ソフト両面の充実を進めています。また、若年・中堅層社員教育制度を全面的に見直し、2022年4月よりキャリア開発プログラムを導入し、業務遂行による経験学習と、中長期のキャリアを見据えた自律的な学習の推進により、早期育成を図っています。
新入社員研修状況
【協力会社】
協力会社と一体となった入職活動と労務賃金見直し技能労働者の育成・技能継承施策の展開
新規入職技能労働者数
1,629人(目標:720人)
当社では、毎年協力会社と共に高校生を対象とした技能体験会や作業所見学、高校訪問等を実施しており、工事の進め方や専門工事会社の仕事など建設業の魅力を学生の皆さんや先生方にお伝えし、専門工事会社への入職を促進しています。近年は、新型コロナウイルス感染症の影響で予定どおりに開催できないことが多い中、当社と協力会社で協業して制作した入職者向けパンフレットの活用や学校訪問のWEBでの実施等により、継続的に入職活動を行っています。
また、当社では当社作業所で就労いただいている優良な職長や技術者を認定し報奨を行う竹中マイスター制度を運用しています。モチベーション向上に寄与することはもとより作業所内で様々な役割を担っていただき、技能労働者の育成や後進への技術の伝承を推進しています。