安全衛生管理

Ⅰ.安全衛生方針

1. 安全衛生方針

災害、事故の撲滅を図り 安全で快適な職場を実現する

活動指針

  1. 1.従業員、協力会社一丸となった安全衛生管理活動に徹する
  2. 2.労働安全衛生に関する法規、社内例規を遵守する
  3. 3.品質保証体系に基づき確実な安全衛生管理を実施する
  4. 4.教育の実施により従業員、協力会社の安全衛生意識の向上を図る

2. 安全モットー

安全がすべての仕事に優先する

安全衛生管理の意義は、人命尊重を基本理念とし、生産活動において発生する災害を未然に防止し、全従業員の安全と健康を確保することにあります。
当社の安全衛生活動は、1927(昭和2)年のデリック倒壊による死傷事故の反省から「竹中安全デー」「災害防止要項」を制定したことに始まります。
しかしながら、その後も事故災害は無くならず、1954(昭和29)年、改めて安全管理の徹底を決意し、"安全はすべての仕事に優先する" という「モットー」を制定し、安全に対する社内意識の向上と各種施策を実施しています。

3. 安全衛生に関する管理体制

当社では、分担副社長を委員長とした安全衛生管理中央委員会を設置し、年2回安全衛生及び公衆災害防止に関する事項を審議しています。
また、本支店においては、本支店長を委員長とした安全衛生管理委員会を毎月開催し、従業員及び作業所で働く労働者の安全及び健康を確保するための協議を行っています。
期中に発生した事故及び労働災害については社内緊急連絡体制に従い、速やかに社内で情報が共有され、発生した事象についてのフォローを行っています。

安全衛生管理体制
安全衛生に関する管理体制
社内緊急連絡体制
社内緊急連絡体制

4. 労働安全衛生マネジメントシステム

当社の災害防止活動は、わが国の「全国安全週間」が創設された同じ年である昭和3年1月、毎月の「安全デー」及び「災害防止要項」の制定に始まります。店主自ら「作業の安全を期し」「今後一切の災害を吾等の現場より除去するように努める」ことを宣言しました。
以来、戦後間もない昭和29年から、社長メッセージを毎年、年頭及び全国安全週間に際して発行して安全管理の決意を表明するとともに、生産活動の原点に「深い人間愛に徹した安全活動への精進」を置き、「安全がすべての仕事に優先する」を安全衛生理念として定めました。当社はこの理念をさらに確固としたものとするため、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)を導入し、運用を推進しています。

労働安全衛生活動
労働安全衛生活動

Ⅱ.安全衛生への取り組み

当社は1928年1月、毎月の「安全デー」及び「災害防止要項」を制定し、社長自ら「作業の安全を期し」「今後一切の災害を吾等の現場より除去するように努める」ことを宣言しました。1954年からは、社長メッセージを毎年年頭と全国安全週間に発行することで安全管理の決意を表明し、社内及び協力会社への周知を行っています。
2000年からは労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)を導入、運用を始め、安全衛生方針である「災害、事故の撲滅を図り安全で快適な職場を実現する」の具現化を図っています。経営理念を実現するために、当社はTQMを経営活動の基盤に置き、OHSMSをISO9001やISO14001と同様、TQMに包含される当社の安全衛生活動の仕組みとして位置付けています。現在の具体的な取り組みとして、墜落・転落災害防止を最重点課題とし、労働災害の撲滅を目指しています。

1. 安全衛生を確保するために

安全衛生について社外から高い評価を受けています

全国安全週間に際して、安全衛生成績が極めて高い水準に達し、他の模範として認められる優良事業場または企業に対して、厚生労働大臣および地方労働局長が表彰を行います。当社の作業所は、2023年に11件受賞し、2019年以降では累計68件を受賞しています。また、2021年には、建設業としては日本で初めて安全功労者内閣総理大臣表彰を受賞しています。

全国安全週間厚生労働大臣賞受賞作業所数の推移
全国安全週間厚生労働大臣賞受賞作業所数の推移

安全成績及び度数率の推移

2022年の度数率については、0.19と例年と比較して大幅に向上するとともに、協力会社の死亡者数については0を達成しました。

安全成績の推移
安全成績の推移
度数率の推移
度数率の推移
  • 度数率:100 万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数
    全産業、建設業は休業1日以上、当社は休業4日以上

2. 教育・研修

従業員と協力会社に対して安全衛生教育を行っています

作業所の労働環境が多様化・複雑化する中、安全衛生管理水準の維持・向上を図るため、行政動向や安全衛生管理の最新情報を中心に、従業員や協力会社の責任者に対する安全衛生教育を実施しています。
従業員に対しては、階層別・職能別に、安全衛生に関する関係法令・社内諸規定などの基本研修や統括安全衛生責任者の職務、計画届作成、工事用機械電気の専門知識など、作業所の実務に合った研修により、安全衛生管理に必要な知識・ノウハウを修得させています。また、協⼒会社で構成される、安全衛⽣協⼒会と連携して、新規取引会社研修、職長・安全衛生責任者教育、各種作業に関する特別教育・技能講習、災害再発防止研修などを実施し、協力会社作業員一人ひとりにいたるまでの安全意識向上を図っています。

災害再発防止研修風景
災害再発防止研修風景

見て・触れて・体得する体験型の安全研修を開講

―「竹中技術実務研修センター 想(おもい)」(兵庫)―
建設工事では、重篤な災害につながる墜落•転落災害が繰返し発生しています。当社では、若手社員に対し、座学が中心の墜落災害防止研修を毎年継続的に行っていましたが、2012 年 1月から、「竹中技術実務研修センター 想」で、実際の現場での安全に対する感性を磨く体験型の新たな墜落災害防止研修をスタートさせました。墜落災害を体感することを柱としたカリキュラムを組み、安全管理の基本の「型」を身につけ、現業に活かすことができる人材の育成に力を入れています(表 2)。

「竹中技術実務研修センター 想」の外観
「竹中技術実務研修センター 想」の外観
サンドバッグをつかった水平ネットの効力の体験
サンドバッグをつかった水平ネットの効力の体験
安全帯ぶら下がり体験
安全帯ぶら下がり体験

表2:体験型墜落災害防止研修の内容

1. 墜落衝撃確認 サンドバッグを床に直に落とし落下衝撃を体感し、高所から落ちると重篤な災害につながることを実感する。
2. 親綱落下試験 親綱に掛けた安全帯着装のサンドバッグを落下させ、親綱と安全帯の有効性を体感する。
3. 水平ネット落下試験 仮設ステージに張った水平安全ネットにサンドバッグを落下させ、水平ネットの効力を実感する。
4. 安全帯ぶら下がり体験 受講者が、安全帯着装位置による身体への負担の違いを体感し、正しい着装方法を指導できるようにする。
5. 足場施設の点検実習 足場施設の不備を探し、足場施設点検のチェックポイントを学ぶ。

安全先取り計画の推進/多様化する作業員の知識・意識の向上

―「竹中技術実務研修センター 想(おもい)」(兵庫)―
当社では、年初に定める全社安全衛生管理指針により、全店共通で安全活動を推進しています。特に重篤な災害につながる墜落・転落災害については、危険作業事前打合せを必ず実施し、作業計画及びリスクアセスメントを実施した作業手順書を事前に確認することにより、安全先取り計画を推進しています。
また、東京本店では、2016年江東区新砂に開設した体感訓練センター(Safety Active Training-Center 通称、SAT-C)にて、協力会社・グループ会社の外国人技能実習生を対象とした教育を行っており、多様化する作業員に対する知識及び意識を向上させることにより公衆災害や労働災害のない作業所の実現に取り組んでいます。

外国人技能実習生による体感訓練
外国人技能実習生による体感訓練

3. 作業所での取組み

安全衛生パトロールの実施状況

建設工事現場では、様々な専門工事会社の多くの技能労働者を元請会社が統括管理しながら、建物を完成させていきます。
安全衛生管理では、それぞれの工事に伴う特有のリスクを事前に抽出し、当社の社員と各協力会社の技能労働者が密にコミュニケーションをとりながら、日々労働災害防止に努めています。
更に、作業所支援部門である内勤の関係者、技能労働者を雇用する各事業主の代表者が作業所と三位一体となった安全巡回を実施することで、お互いに忌憚のない意見を交わすことのできる「作業所風土づくり」に力を入れ、安全意識の向上を図っています。
また、女性社員による安全衛生パトロール隊を編成し、女性の目で見た労働災害の防止や快適な職場の実現を推進しています。

熱中症対策の取り組み

―健康管理と防止対策―
熱中症は、夏場の高温•多湿な環境下で発生しやすく、軽度の症状から短時間で重症化し、死に至ることもあると言われています。建設工事では、躯体工事をはじめ屋外での作業が多く、例年熱中症が多発しており、予防への取り組みが課題となっています。
当社では、熱中症の発生が増える6月に先立ち、作業所に対して熱中症対策の徹底を呼び掛ける文書などを発行しています。作業所においては、①大型の送風機やミストコーナーの設置、②休憩室用のスポーツドリンク類の自動販売機や製氷器の設置、③保護帽 の防暑たれやネックガードの着装、④休憩時間や水分補給時間の設定、⑤熱中症対策ポスターの掲示、⑥体調確認を行う声掛け、などのハードとソフトの両面から、内外勤が一体となり徹底した対策を講じています。

熱中症による休業4日以上の推移
熱中症による休業4日以上の推移
出典:厚生労働省HP
令和4年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)
地下水を利用したミスト散布
地下水を利用したミスト散布
作業員へスポーツドリンクを配布
作業員へスポーツドリンクを配布
ヘルメットに防暑たれ着装
ヘルメットに防暑たれ着装

墜落・転落災害の防止及び健康状態の把握

当社では、建設業で労働災害の発生頻度の高い「墜落・転落」災害の防止と熱中症予防を安全衛生管理活動の重点項目に位置付けています。
高さ2m以上からの墜落災害については、安全帯フックを掛けて行うべき作業においての安全帯未使用及びダブルフック安全帯の掛け替えが不徹底により発生しています。可搬式作業台等の高さ2m未満からの転落災害については、昇降時における踏み桟の踏み外し及び床端部からの転落により発生しています。
その要因として「不慣れ」「油断」などによる不安全な行動や、「誤認」「思い込み」などによるヒューマンエラーにより発生しています。
作業員が確実に安全帯フックの掛け替えが出来るように、朝礼時に安全帯の掛け替えトレーニング、及び可搬式作業台の踏み外し防止として、作業台の昇降訓練を推進しています。また、その日の健康状態が災害発生や熱中症発症に影響すると考え、朝礼時に平均台歩行による平衡感覚を確認することで健康状態を把握しています。その成果として、立馬からの墜落災害や熱中症発症の減少に効果が出はじめています。今後もこうした活動を地道に継続していきます。

平均台歩行による朝の健康確認
平均台歩行による朝の健康確認
ダブルフック安全帯掛け替えトレーニング
ダブルフック安全帯掛け替えトレーニング

4. 安全情報システム(AIS)

安全情報システム(AIS)で安全情報を共有しています

1983年から現在までに当社で発生した労働災害に関する情報をイントラネットに蓄積し、従業員がいつでも自由に簡単にアクセスし、検索・閲覧できるシステムを、安全情報システム(AIS)として整備しました。このシステムを活用し、従業員が工事における危険有害要因を事前に抽出し、同種災害の再発防止策の立案を積極的に行っています。

安全情報システム(AIS)
安全情報システム(AIS)

5. SOS[災害オペレーションシステム]

SOS[災害オペレーションシステム]/ AIを活用した安全先取りツール

AIが、各作業所で当日に発生する可能性が高い災害を職種別に予測して、その情報を毎日、作業所に提供しています。朝礼やRAKY(リスクアセスメント・危険予知)ミ ーティング等で、その日に最も起こりやすい災害事象を作業所全体で共有し、作業開始前のリスクアセスメントに役立てています。SOSは、当社のAIS[安全情報システム]に蓄積されてきた災害情報やCOMFIRM入力データがベースとなっています。

SOS(災害オペレーションシステム)
SOS(災害オペレーションシステム)