いよいよ大阪・関西万博の開幕が迫ってきました。4回に渡ってお伝えしてきましたEXPO`70のコラムも最終回になりました。今回の動画の冒頭はスイス館、通信館、東芝IHI館、電力館、水中レストラン等の夜景です。「夜景」と聞いて意外な印象を持たれる方も多いかと思いますが、今回の大阪・関西万博でも実際の営業時間は午前9時から午後10時までなので夜間営業も長く、大屋根リングを始めとする各パビリオンの照明演出も見どころと言えます。
夜景に続くのは「城代から近世までの造園技術の粋を集めた」とされる日本庭園の様子、次には大きな布地を流したような屋根形状の繊維館が紹介されます。
そしてワイヤーケーブルで補強されたテント構造の自動車館の建設施工ではダイナミックな空間創造の過程が映し出されます。


その後、三菱未来館、重厚な鉄鋼館、木材を利用したHPシェルによるキリスト教館へと続き、パビリオンの最後を飾るのはソ連館です。宇宙ゾーンでのソユーズ、ボストープ、ルナ、など、数々の宇宙船や人工衛星の展示は1970年当時の時代感を伝えています。また、今回の映像の大きな見所と言えば、やはり、そのソ連館の施工でしょう。天井高80m、かつスパン60mの巨大空間を含む鉄骨架構や高さ109.5mの高さに輝く鎌とハンマーのエンブレム(高さ6m、重さ4t)の施工は迫真に迫ります。


そしてエピローグ、阿波踊りを練り歩く各国からの来場者と進みます。(ちなみに今回の大阪・関西万博でも5月2日(金)、3日(土)の2日間、EXPOアリーナで徳島の阿波踊りが披露されるようです。)
では、ご覧下さい。(当時の施工状況などには手を加えずカットせず、そのまま掲載しています。)
いかがでしたでしょうか。パビリオンの多様さも印象深いですが、ここで少し、話題を変えてそれを実現した建設技術者・技能者にも思いを馳せたいと思います。例えば安全管理。全ての作業に優先すべき安全管理に関して東芝IHI館作業所での写真が見つかりました。それは7月のある一日、関係者が一同に介した安全標語表彰の様子です。優秀賞受賞者名を呼ぶ所長と思われる方の肉声が聞こえてくるようなシーンです。


107作品の応募があったようですが、最優秀の一等には『安全は規律正しい職場から』:松尾橋梁 戸田栄さんの作品がが選ばれ、7月の盛夏、皆で安全を確保しようとする意気込みが伝わってくるようです。
終わりに
4回に渡るEXPO‘70のコラムを最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。
大阪・関西万博に向け、この55年でEXPO70の何が残され、繋がり、何が変わったのでしょうか。その出発点はここまで紹介してきたEXPO‘70をどう解釈するか、だと思います。
ここでは東芝IHI館の設計者であり、EXPO’70を創り上げた一人と言える黒川紀章氏がその著作「メタボリズムの発想」(1972年 白馬出版社)での語りを一つの原点、出発点として引用させて頂きます。
『万国博の文明的意味
・・・(中略)・・・ しかし、私自身、こんどの万博で日本はたいへんな財産を得たと思っている。いままでの万博は技術の祭典だった。つまり技術の歴史と万博の歴史はだいたい重なっていた。それがモントリオール博からすでに変身が始まった。こんどの日本の万博で日本人のやれたことがあるとすれば、技術の問題と人間の情念、人間の義理人情の世界、人間の知恵、精神力がどんなふうにからみ合ったかだと思う。
技術の系と、人間の精神的な系、それがからみ合った新しい世界、情報化社会ができあがるかどうかの、一つの大きなテストケースになっていると思っている。』
動画の最後、太陽の塔が会期後も人類の進歩と調和を見つめるように静かに佇むシーンで幕を閉じていることが強烈な余韻となっています。