平成23年度(第74期)決算概要 及び 次期業績見通し
2012年2月28日
株式会社竹中工務店
当連結会計年度におけるわが国経済は、東日本大震災の影響により生産活動が著しく低下した後、サプライチェーンの回復等により持ち直しの兆しが見られたものの、タイ洪水被害、欧州債務問題を背景とした世界経済の減速、円高の長期化や株価の低迷等により、不透明な状況で推移しました。
建設業界においては、公共投資、民間設備投資が震災復旧等により緩やかな回復傾向にあるものの低い水準で推移しており、円高等により生産施設の海外シフトが進み、受注競争は一段と激化し、より一層厳しい状況で推移しました。
このような状況下において、当社グループは経営理念である「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」を基軸とした品質経営と企業体質の強化を第一義とする健全経営に徹し、お客様指向の徹底、法令・社会規範の遵守、安全管理の徹底と品質力の向上、生産原価の低減等により業績の向上に努めました。しかしながら当連結会計年度においては、受注高は前連結会計年度に比して増加したものの、売上高は7.5%減の9,766億円余、営業利益は49.2%減の111億円余、経常利益は51.6%減の109億円余、当期純利益は57.5%減の22億円余となりました。
当連結会計年度における当社グループの連結業績(連結法35社+持分法20社=計55社)及び当社単体の業績は以下のとおりです。
当期決算概要
(1) 総括
連結、単体ともに減収・減益
主たる項目の実績額と対前期比の状況は下表の通り。
- ※1実績額欄は完工利益率、対前期比欄は増減ポイントを記載している。
- ※2次期繰越工事高については、対前期末比を記載している。
(2)主要項目別の概要
1. 受注高(建設):
- ・連結は対前期比で12.7%の増、単体は同13.5%の増
- ・海外建設工事の受注高(本邦含む)は、対前期比1.4%減の888億円、建設受注高(連結)に占める割合は1.4ポイント減少の10.4%(2期連続の10%台)
(単体)
依然として厳しい受注環境が続いているものの、国内建設受注高の増加(対前期比14.2%増)の影響により、受注高は、2007年以降の減少傾向に歯止めがかかり、対前期比13.5%増の7,546億円となりました。
(連結)
単体に加え、国内外主要子会社の受注高が増加し、全事業では対前期比12.7%増の9,295億円となりました。
2. 売上高:
- ・連結、単体とも減収
開発事業を含む海外事業の売上高は、対前期比で48.6%増の1,197億円、売上高(連結)に占める割合は4.7ポイント増加の12.3%(3期振りの10%台)
(単体)
前期迄、建設受注高が減少していた影響から、売上高は、対前期比8.9%減の8,111億円と3期連続の減収となりました。
(連結)
単体の売上高減少の影響が大きく、対前期比7.5%減の9,766億円となりました。
一方、海外工事(本邦含む)の完成工事高は大きく増加し、対前期比52.9%増の1,089億円となりました。売上高の1兆円割れは、連結決算の公表を始めた1998年以来、はじめてとなります。
3. 売上総利益:
- ・連結、単体ともに減益
(単体)
完成工事利益率は前期実績(6.9%)と同率となったものの、完成工事高の減少により同利益は対前期比10.4%減の544億円となりました。
開発事業においては、前期実施した株式会社TAKリアルティの吸収合併が4月1日付であり、当期は通年分が開発事業等売上高に寄与したものの、同利益は前期並みとなり、売上総利益は対前期比9.4%減の618億円となりました。
(連結)
建設事業は、単体の減益に加え、国内外主要建設子会社の完成工事利益が減少したことにより、対前期比12.6%減の639億円となりました。
さらに、開発事業においても、国内外で長引くアメリカ経済並びに国内テナント市況の低迷の影響を受け、売上総利益は対前期比11.8%減の761億円となりました。
4. 営業利益:
- ・連結、単体ともに減益
(単体)
完成工事利益の減少の影響が大きく、対前期比43.2%減の101億円となりました。
(連結)
単体の減益に加え、国内外主要建設子会社が減益となったことにより、対前期比49.2%減の111億円となりました。(売上高営業利益率は1.1%)
5. 経常利益:
- ・連結、単体ともに減益
(単体)
株価下落に伴う年金資産運用損(退職給付会計に伴う数理計算上の差異償却)などで営業外損益が大きく悪化したことにより、対前期比46.2%減の102億円となりました。
(連結)
単体にて営業外損益が前期から大きく悪化したことにより、対前期比51.6%減の109億円となりました。(売上高経常利益率は1.1%)
6. 当期純利益:
- ・連結、単体ともに減益
(単体)
経常利益の減少に加え、株価下落に伴う投資有価証券評価損の計上や法人税率引き下げに伴う繰延税金資産の取崩などにより、対前期比82.6%減の28億円となりました。
(連結)
対前期比57.5%減の22億円となりました。(売上高当期純利益率は0.2%)
次期業績見通し
次期(平成24年12月期)の業績見通しは以下の通りです。
建設業界を取り巻く環境は、東日本大震災の復興対応が本格化する一方で、民間建設投資は世界経済の減速懸念や歴史的な円高により依然として低い水準で推移し、本格的な回復にはなお時間を要すると考えられます。また、グローバル化・高度化するお客様ニーズ、不安定な資材価格、技能工の高齢化等多くの取組むべき課題が内在し、引き続き厳しい状況が続くものと予想されます。
このような状況下において、当社グループは、お客様指向の徹底とトータルコストの低減による競争力の強化と収益力の向上に努めるとともに、それらを支える人材力・マネジメント力の向上による組織力の強化を図り、一方で、開発事業においては、集約効果を活かした収益力の向上と将来の成長を支える事業基盤の強化を図る考えであります。
(1)連結業績
(2)単体(個別)業績