地上114mに免震層を配置した「三田ベルジュビル」竣工~建物全体の揺れを効率よく低減し安全・安心を確保~

2012年5月10日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:竹中統一)が設計・施工を担当した「三田ベルジュビル」が、5月31日に竣工します。本ビルは最高高さ163.95mの超高層建物で、地下階を駐車場、低層1~2階を店舗、4~24階を鉄骨造(S造)のオフィス、25~33階を鉄筋コンクリート造(RC造)の共同住宅として構成した重層型複合施設です。地上114mに位置する機能の切替部分(25階床下)に配置した免震層で地震エネルギーの大部分を吸収させることで、建物全体の揺れを効率よく低減することを可能としました。なお、オフィスの上部に住宅を配置した断面構成は、港区の※住宅付置努力義務を果たすことを目的としています。

ビル外観写真1

ビル外観写真2

免震層写真

免震層には建物を支える23基の免震ゴムの他に、3種類のオイルダンパーを12基設置し、オイルダンパーの一部には当社新開発の「ジャッキ機能付きオイルダンパー」を採用しました。

建物外観上の大きな特徴である縦横格子状ルーバーは日射制御を主な目的とし、環境に配慮したデザインとしました。4階から上部のオフィス階の柱はこのルーバーに合わせて3.6mごとに、外周に細い柱を均質に配置しました。低層部では、エントランス空間の広がりと、地下駐車場での効率を考慮して、10.8mごとに柱を配置し、3階から2階にかけて3本の柱を1本に束ねる構成としました。

施工に際しては、敷地の道路に面する部分が非常に狭く、工事車両導線に制約があるため、1階から地上階と地下階を同時に建設する「逆打ち工法」を採用し、工期を短縮しました。

構造概要図

  1. 住宅付置努力義務とは:
    開発事業者は、延べ面積が3,000m2以上の建築物に係る開発事業を行おうとする場合は、延べ面積に対して、10パーセントの割合に相当する面積を良質な住宅・生活に便利な施設として位置するよう努めなければならない。

■外観デザイン特徴

本ビルは地域のランドマークというコンセプトのもとで外観デザインを計画し、高層部分(住宅部分)に特徴的な階段状のシルエットを持たせることで、遠方から見ても一目で「三田ベルジュビル」であると分かるようになっています。この建物形態による高層部分の重心の偏りの影響を緩和するために、中間階に免震層を配置した制振構造を採用しました。

■用途特徴

オフィス部分は天井高さを3mとし、自然換気設備とエアバリアシステムを採用することで、外部のルーバーと共に快適なオフィス環境を形成しました。更に、各階の窓に面したリフレッシュコーナーと喫煙室を完備し、多目的トイレも各階に配備するなど、共用部を充実させたオフィスビルとなっています。住宅部分にはオフィス用とは異なる専用のエレベーターを設置することで、プライバシーを保護しました。低層部の店舗は、広場とエントランスホールの吹抜を囲むように配置し、視認性の高い店舗エリアとして集客に配慮しました。

■建物概要

建物名称 三田ベルジュ
建築地 東京都港区芝5丁目36-7
建築主 株式会社ベルジュ
綜合企画 メソッド株式会社
設計監理/施工 株式会社竹中工務店
建物規模 地下4階、地上33階、塔屋2階
構造種別 S造(柱CFT造)、RC造、一部SRC造 中間階に免震層を配置した制振構造
建物用途 事務所、共同住宅、店舗
建築面積 2,657.81m2
延床面積 55,811.83m2
工事期間 2009年10月13日~2012年5月31日