平成24年度(第75期)決算概要 及び 次期業績見通し

2013年3月1日
株式会社竹中工務店

当連結会計年度におけるわが国経済は、東日本大震災からの復興の進展を背景に持ち直し傾向が見られた一方で、世界的な景気の減速懸念により不透明な状況で推移しました。しかしながら、年末にかけては経済対策の効果への期待感から、景況感に下げ止まりの兆しも見られました。
建設業界においては、公共投資は震災復興関連を中心に増加しましたが、民間設備投資は一部の業種で回復基調にあるものの引き続き低い水準で推移しており、受注競争の激化や建設物価の上昇傾向もあり、経営環境は依然として厳しい状況で推移しました。
このような状況下において、当社グループは経営理念である「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」を基軸とした品質経営と企業体質の強化を第一義とする健全経営に徹し、お客様指向の徹底、法令・社会規範の遵守、安全管理面の徹底と品質力の強化、生産原価の低減等により業績の向上に努めましたが、受注高、売上高については前連結会計年度に比して増加したものの、売上総利益は減少しました。
当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高が前連結会計年度比2.2%増の9,983億円余、損益面では、建設事業において工事採算悪化により完成工事利益が減少した結果、営業損失が13億円余(前連結会計年度は111億円余の営業利益)となりました。経常利益は株価上昇により生じた年金資産及び退職給付信託の運用益、円安進行による為替差益等により125億円余(前連結会計年度比14.9%増)、当期純利益は投資有価証券売却益等により61億円余(前連結会計年度比169.2%増)となりました。

当連結会計年度における当社グループの連結業績(連結法36社+持分法20社=計56社)及び当社単体の業績は以下のとおりです。

決算概要

(1) 総括

連結は増収・増益、単体は減収・増益(但し、連結、単体ともに営業損失)

主たる項目の実績額と前期増減率の状況は下表の通り。

  • ※1実績額欄は完工利益率を記載している。
  • ※2次期繰越工事高については、前期末増減率を記載している。

(2)主要項目別の概要

1.受注高:

  1. 連結は対前期比で8.1%、単体は同2.1%の受注増
  2. 海外建設工事の受注高(本邦含む)は、対前期比72.8%増の1,536億円、建設受注高(連結)に占める割合は6.1ポイント上昇の16.5%(3期連続の10%台)

(単体)
依然として厳しい受注環境が続いているなかで、国内建設受注高が前期並み(対前期比0.2%増)である一方、海外建設受注高が増加(前期に比べ210億円増)したことなどにより、対前期比2.1%増の7,708億円となりました。

(連結)
単体に加え、海外建設現地法人の受注高が対前期比64.1%増の1,115億円となったことなどにより、全事業では対前期比8.1%増の10,044億円(3期振りの1兆円台)となりました。

2.売上高:

  1. 連結は対前期比で2.2%の増収、単体は同2.8%の減収
  2. 開発事業を含む海外事業の売上高は、対前期比14.1%増の1,366億円、売上高(連結)に占める割合は1.4ポイント上昇の13.7%(2期連続の10%台)

(単体)
昨年、建設受注高につき2007年以降の減少傾向に歯止めがかかったものの、一昨年迄の減少の影響もあり、売上高は、対前期比2.8%減の7,883億円となりました。

(連結)
単体の売上高が減少したものの、海外工事(本邦含む)の完成工事高が対前期比12.9%増の1,230億円となったことなどにより、全事業では対前期比2.2%増の9,983億円となりました。

3.売上総利益:

  1. 連結、単体ともに減益

(単体)
厳しい受注環境下で一部の大型工事において欠損工事が発生したこと、手持ち工事の採算が労務・資材価格の上昇により低下したことなどにより、完成工事利益が大幅に減少し、対前期比43.2%減の308億円(同利益率は2.8ポイント下降の4.1%)となりました。開発事業においては、不動産売却等により増益(前期に比べ21億円増)となったものの、売上総利益は対前期比34.5%減の404億円となりました。

(連結)
建設事業は、海外建設現地法人が大幅に増益(対前期比129.9%増の77.6億円)となったものの、単体の減益額が大きく、完成工事利益は前期から28.9%減の454億円(同利益率2.1ポイント下降の4.9%)となりました。開発事業においては前期比26.9%の増益であったものの、売上総利益は対前期比21.1%減の600億円となりました。

4.営業利益:

  1. 連結、単体ともに営業損失

(単体)
完成工事利益率が大幅に悪化し同利益が減少したことにより、69億円の営業損失(前期は101億円の営業利益)となりました。

(連結)
海外現地法人は増益であったものの、単体の減益額が大きく13億円の営業損失(前期は111億円の営業利益)となりました。

5.経常利益:

  1. 連結は増益、単体は減益

(単体)
株価上昇により生じた年金資産及び退職給付信託の運用益(退職給付会計に伴う数理計算上の差異償却)、円安進行による為替差益などにより営業外損益が大きく改善したものの、対前期比36.3%減の65億円となりました。

(連結)
単体にて営業外損益が前期から大きく改善したことに加え、海外現地法人の増益などにより、対前期比14.9%増の125億円となりました。

6.当期純利益:

  1. 連結、単体ともに増益

(単体)
経常利益は減少したものの、投資有価証券評価損の縮小及び投資有価証券売却益などにより、対前期比38.8%増の39億円となりました。(売上高当期純利益率は0.5%)

(連結)
対前期比169.2%増の61億円となりました。(売上高当期純利益率は0.6%)

次期業績見通し

次期(平成25年12月期)の業績見通しは以下の通りです。

わが国の建設市場は、復旧・復興関連の政府建設投資により公的需要は増加し、民間需要にも緩やかな回復基調が見られるものの、海外経済の下振れが国内景気を下押しするリスクもあり、今後も引き続き低調な水準で推移するものと予想されます。
一方で海外では、インフラ整備や製造業の海外拠点の建設需要が依然として活発であり、グローバル化する社会・お客様ニーズに対し、迅速かつ的確なソリューションの提供が求められています。
このような状況下において当社グループは、低迷する業績の回復を図るため、建設事業においては、お客様指向の徹底とトータルコストの低減により市場競争力と収益力の強化を図り、開発事業においては、将来の成長を支える資産価値の向上と収益力の強化に取組む考えであります。

(1)連結業績

(2)単体(個別)業績