自動倉庫向けマスダンパーを開発~地震時の荷崩れを低減し、事業継続に貢献。倉庫を稼働しながら設置可能~
2013年7月4日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、自動倉庫※1専用のマスダンパーを開発しました(特許出願済)。マスダンパーは、中小地震から大地震までラックの揺れを低減し、自動倉庫の荷崩れを抑制する小型の制震装置です。
本装置は、建物を地震や風から守る技術として実績のあるマスダンパーを、自動倉庫で適用できるようにパレットサイズまで小型化したものです。ラックへの設置が短時間で容易にできるため、既存の倉庫でも稼働にほとんど影響なく施工できます。
- ※1自動倉庫とは、荷物の積み下ろしから、保管、在庫管理などをコンピュータで制御する倉庫。
積層式のラックを設置して、荷物の移動は荷物の下のパレットごとスタッカークレーン(自動搬送機)で運ぶ。
マスダンパーの概要
■仕組み
「マスダンパー」は、パレットサイズ※2のフレーム上で水平に揺れるマス(おもり)を利用した制震装置です。地震時にラックが揺れてもマスがその場に留まろうとし、その効果でラックを揺れにくくする仕組みです。
- ※2一般的に1.1m角ですが、他のサイズにも適用可能です。
■設置方法
自動倉庫のラック上部の本来荷物を置くスペースを利用し、荷物を収納する要領でマスダンパーを配置し、専用の取付金具でラックに固定します。マスダンパーはパレットサイズの装置なので、自動倉庫のスタッカークレーン(自動搬送機)を利用して、迅速に配置できます。既存の倉庫でも稼働しながらの改修が可能です。
■特徴
- ・今回開発したマスダンパーには、高性能な産業用レールと小型オイルダンパーを採用しています。地震時の過酷な揺れに対しても高い信頼性を有しており、メンテナンスも不要です。
- ・マスダンパーの設置台数に応じて制震効果が高まるので、予算に合わせた対策が可能です。落下防止ストッパーや荷物のフィルム巻き等と併用すれば、効果はさらに高まります。お客様の倉庫の形式・規模に合わせた、最適な荷崩れ対策を提案します。
- ・既存、新築を問わず容易に設置が可能です。
【開発の背景】
東日本大震災では、自動倉庫のラックから荷物が落下し、クレーン通路を塞いだり、電気系統を破損したりしたために、倉庫機能が停止するという事態が各所で発生しました。これらの落下物を手作業で取り除き復旧させるのに、数カ月を要したケースもあり、事業継続が困難なものとなりました。
特に、医薬品倉庫においては、重要な保管物が被害を受けたのに加え、医薬品供給が滞ったことから社会へ与える影響も大きく、BCPの観点から荷崩れ対策が急務となっています。このようなニーズに応えるため、今回の開発を実施しました。
なお、本年7月10日~7月12日に東京ビッグサイトで開催されるアジア最大の医療品・化粧品・洗剤の研究開発・製造技術国際展「第26回 インターフェックス ジャパン」で本技術をパネル展示します。