「エーザイ筑波研究所東棟」で「居ながらできる®免震改修」を実施~研究所を稼働させながら免震化し、大地震時に研究者を守る~

2013年7月8日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:宮下正裕)は、「エーザイ筑波研究所東棟」(つくば市)において建物を使いながらの免震改修(「居ながらできる®免震改修」)を2014年2月の完成に向けて実施しています。

■免震改修でさらに安全な医薬品研究所へ

東日本大震災以降、事業継続性(BCP)を重視する研究施設や病院、オフィスなどでは、今ある建物を免震構造へと生まれ変わらせる「免震改修」に注目が集まっています。
「エーザイ筑波研究所東棟」は、1981年の建築基準法改正(いわゆる新耐震基準)後に建築されており、耐震補強が必要な建物ではありませんでした。しかしながら、お客様の意向として、大地震時に薬品や機器の転倒・落下などから研究者を守り、地震後も研究環境を維持することを狙いとして、今回免震改修工事を実施することになりました。

「居ながらできる免震改修」の概要

免震改修には、既存建物直下に免震層を構築する「基礎免震改修」と、特定の階を免震層に改修する「中間階免震改修」があります。本建物では、建物内の工事を発生させずに、お客様が建物を使用しながら工事ができる「基礎免震改修」が採用されました。
基礎免震改修では、建物基礎下に免震装置を設置するための新たな躯体を構築する必要があります。本建物の基礎は直接基礎※1なので、建物直下を掘削しながら315本に上る仮受け杭を打設して、約5.5万トンの建物を一時的に支え、免震層を新たに構築する難易度の高い工事になりました。工事の順序を下図①~⑤に示します。

  • ※1直接基礎:
    地中深く杭を打って建物を支えるのではなく、地盤で建物を直接支える方式の基礎。直接基礎には「べた基礎」と「フーチング基礎」があり、当建物は「べた基礎」の建物。
免震改修の流れ
免震改修の流れ
掘削状況

掘削状況

免震装置の設置状況

免震装置の設置状況

■「居ながらできる免震改修」の豊富で幅広い実績

当社は、2009年に今回と同様の工法を採用した国土地理院研究合同庁舎の免震改修※2をはじめ、庁舎や百貨店、歴史的建造物、教育施設での「中間階免震改修」などの幅広い「居ながらできる免震改修」の実績があります。
今後もお客様の事業継続に貢献できる最良の免震改修工法を提案していきます。

【工事概要】

建築主 エーザイ株式会社
構造・規模 鉄骨鉄筋コンクリート造 地上7階 地下1階
延べ面積 23,474m2
改修設計・施工 竹中工務店
工期(予定) 2012年3月~2014年2月

なお、本年7月10日~7月12日に東京ビッグサイトで開催されるアジア最大の医療品・化粧品・洗剤の研究開発・製造技術国際展「第26回 インターフェックス ジャパン」で本技術をパネル展示します。

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