データセンターをエリア単位で免震化する「サーバラック免震システム」を開発~装置の厚さが従来の床免震システムの3分の1、天井高に制限のある既存建物への導入も可能~
2013年10月21日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、巨大地震に対してサーバラックをエリア単位で免震化できる「サーバラック免震システム」を開発しました。従来の免震床システムより高い耐震性能を有しながら、3分の1程度の厚さであるため、階高に制限のある既存建物への導入も可能です。
本システムは、「免震装置」とそれらを繋ぐ「連結材」から構成されています。従来の免震床システムに比べてコンパクトで設計自由度が高いため、一般的なラック免震装置がサーバラック単体もしくは列単位で免震化するのに対し、サーバラック複数列に渡る広範囲な免震システムの構築が可能です。既に本システムを1件適用しており、導入に当たっては建物ならびに地盤の特性を考慮し、最大限の免震効果を発揮できるように設計しました。今後の適用についても同様に、プロジェクト個々の条件に最適な設計を行った免震システムを導入していきます。
■「サーバラック免震システム」の特長
- ①大地震時でも性能を発揮
様々な地震波を用いて、建物の構造や地盤などの特性を考慮した解析シミュレーションを行い、最適な免震システムを構成することができるため、巨大地震や長周期地震動にも高い免震効果を発揮します。万が一、装置の最大変形量に達した場合でも備え付けのストッパーが機能し、装置の脱落や、サーバラックの転倒を防止します。
- ②10cmという装置の薄さを実現
従来の免震床システムと同等以上の性能を有しながら、厚さは免震床の3分の1程度の10cmというシステムを実現しました。そのため、階高に制限のある既存建物への導入にも最適です。 - ③事業者のニーズにあわせて大小さまざまなサイズでの構築が可能
50cm×50cmの小型の「免震装置」と設置条件に応じて製作する「連結材」を組み合わせて使うことで、サーバラック単体もしくは列単位、さらには複数列といった広い範囲まで、データセンター事業者のニーズに合った最適な「サーバラック免震システム」の構築が可能です。アルミ製の軽量部材によって構成するため、既存建物への導入の場合でも、人力で運べて短時間で設置することができます。 - ④メンテナンスフリー
大地震の後でもコイルばねによる復元機能が働くため、ほとんど残留変形※が生じず、特別なメンテナンスを必要としないため、続けて起きる大きな余震にも変わらない免震性能を発揮します。
- ※地震後に免震システムに生じる元の位置からのズレ
■システム導入までの流れ
設置に際しては、確実な免震効果を得られるように、導入する建物特性を把握した上で、設置場所の地盤条件を考慮した複数の地震波を用いて建物の応答解析を行います。
地震応答解析により得られたデータから、本システムを導入するフロアの揺れを抽出し、この揺れに対してシステムの設計を行います。結果に応じて「免震装置」製作社のTHK株式会社(社長:寺町彰博)と共同で装置構成部材の選定を行い、適切な組合せとすることで、要求性能を満足した免震システムを構築します。
■性能検証実機試験
「サーバラック免震システム」上にサーバラック実機を搭載し、震度6クラス相当の地震波を用いて振動試験を実施しました。振動台上で最大500gal超の入力加速度が、本システム上では最大120gal前後に抑えられ、最大で約80%の応答低減効果を確認しています。
■「免震システム」諸元
積載可能重量 | 0.5ton/m2程度~3ton/m2 |
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対応免震化範囲 | 最小範囲:1m2~ 最大範囲:制限無し |
対象搭載物 | サーバラック、重要設備機器など搭載物の形状に関わらず設置可能 |