コンパクトなモジュール型データセンター「SEED BLOCK DC」を開発~低天井高の既存施設もサーバ室に用途変更が可能~
2013年11月5日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、既存建物を利用し、必要な時期に必要な台数のサーバを設置・増設することが可能な「モジュール型データセンター(SEED BLOCK DC)」※1を開発しました。
「モジュール型データセンター(SEED BLOCK DC)」は、サーバラック数台に対して、空調機や分電盤などデータセンターに必要な機能や免震装置もワンパッケージにした、コンパクトなデータセンターモジュールです。
昨今、立地が良い都心の既存建物を利用して、最新のデータセンターやサーバ室をコンパクトに実現したいというニーズが増加傾向にあります。今回開発した「モジュール型データセンター(SEED BLOCK DC)」は、オフィスの一部や会議室など小さな面積でも1モジュール単位で設置・増設することが可能で、お客様のリニューアルニーズに最適なデータセンターです。
- ※1特許出願中
【SEED BLOCK DCの概要】
- ①空調機とサーバラックの一体化
通常は離れた空調機械室にあるサーバ冷却用の空調機を、サーバラック列の端部に配置した一体型です。当社開発の新型ラック空調機は、冷却用の気流を横方向に旋回する方式のため、この配置が可能となりました。空調は、パネル等でキャッピング(密閉)したラックの前面及び背面の保守通路(コールドアイル及びホットアイル)の中のみを行います。 - ②天井高が低くても設置可能
空調機をサーバラック列の端部に設置したため、空調に必要なラック上下の空間(二重床やラック頂部~天井面高さ)が不要になり、天井高が2,6m以上あれば「SEED BLOCK DC」を設置することができます。 - ③高効率な省エネ空調を実現
パネルによりコールドアイル及びホットアイルをキャッピングするとともに、空調機にインバータ制御が可能な直流ファンを搭載し、高効率な省エネ空調を実現します。サーバラックに空きスペースがある場合は、ブランクパネルを活用し、さらに省エネ効率を高めます。
これらにより、パーシャルPUE※2値でトップレベルの1.1台を達成しています。 - ④サーバ等のIT機器と空調機の連動による最適制御
サーバの稼働状況に連動し、空調機の風向やファン風量をリアルタイムで変化させて各ラックの温度を最適に制御し、最小電力でIT機器の稼働環境を保持します。
- ※2パーシャルPUE:
サーバ室全体の電力/IT機器の電力の値。小数点以下がIT機器以外の電力割合を示すため、1に近いほど省エネ運用が可能。
【SEED BLOCK DCの特長】
- ①最短で約3か月で納入が可能(建物側の設備を追加・変更することが不要な場合)。
- ②「サーバラック免震システム」の採用により、地震に対する高い信頼性を確保。
- ③空調機・分電盤は個別に冗長設計が可能(フェイルセーフを考え冷却コイルの2重化、ファン台数の追加などを検討)。
- ④空調機をラック列端部に配置することにより、保守作業が容易で、連結ラック同士の内部配線も可能となりエンドユーザの作業性も向上。
- ⑤既存建物の状況に合わせ、建物側設備(冷却水・電気・通信等)にも、冗長設計・設備構築が可能。
当社では、これまで新築向けに「都心型2層フロアデータセンター」や、「郊外型クラウドデータセンター」、「コンテナ型データセンター」など、様々なデータセンターを開発・提案してきました。今回新たに建物用途の変更需要やリニューアル市場への対応力強化を目的に開発された「SEED BLOCK DC」を加え、一段と多様化したお客様のご要望に幅広く対応していきます。
【当社技術研究所にて稼働実験を実施中】
今回開発した「SEED BLOCK DC」のハーフサイズのモックアップを、竹中技術研究所(千葉県)に設置し、模擬負荷をかけて稼働させ、性能を確認しました。引き続き、主に空調性能に関するデータ収集を行い、より効率的なデータセンターの構築・運用のご提案に活かしていきます。
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