グループ成長戦略の実現に向けたICT戦略について

2021年03月26日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、グループ成長戦略※の実現に向けたICT戦略を2020年に改定し、業務及び事業のデジタル化に向けた各種の施策を推進しています。

  • グループ成長戦略の詳細は当社HP「会社情報」内の「成長戦略」をご参照ください。

1.グループ成長戦略の実現に向けたICT戦略

当社はグループ成長戦略として、「グループで、グローバルに、まちづくりにかかわり、新たな価値を創る」ことを掲げ、グループ全体の事業領域を「まち」として捉え、グループ各社が緊密に連携し、「まちづくり」の構想段階から企画、計画、建設、維持運営にいたる「まち」のライフサイクルにおいてステークホルダーとの対話を深め、国内外における様々な課題に取組み、人々が安心して暮らすことができるサステナブル社会の実現を目指しています。

そのためには建設技術とサービスが融合した新しいソリューションを生み出し、まちに新たな価値を提供することが必要です。その前提として、当社は「まちづくり総合エンジニアリング企業」としての総合力を高める必要があります。経営資源の拡充、機能及び組織体制の整備、ICTをはじめ、人材・技術への投資等を計画的に進める中で、特に重要な取組みの一つをデジタル変革と捉え、2020年にICT戦略を改定しました。

ICT戦略では、事業部門とICT部門が一体となり、全ての業務をデジタル技術で効率化しながら、部門や企業の壁を超えたデジタル変革(DX)につなげ、抜本的な生産性向上とすべてのステークホルダーに対する高度な付加価値の創出を目指します。

2.主なデジタル化施策

当社はICT戦略に基づき、働き方改革や生産性の向上等の喫緊の課題へ対応する「デジタル化による業務の効率化」と、グループ成長戦略の実現と更なる事業発展を目指した「デジタル化による事業の変革」のための各種施策を推進するとともに、業務及び事業のデジタル化基盤である「デジタルプラットフォーム」の構築を進めています。

図1 ICT戦略と主なデジタル化施策
図1 ICT戦略と主なデジタル化施策

(1)「デジタル化による業務の効率化」

急速な進歩を続けるデジタル技術を効果的に採用しながら、プロジェクトや部門など様々なレベルでの業務の効率化を進めています。

・プロジェクトデータの一貫利活用

営業・設計段階から生産・FM支援サービス段階に至る一連のプロセスにおいて、BIMデータを含むプロジェクトデータの一貫した利活用が可能な仕組みの構築と業務適用を進め、データドリブンでの業務の実現を目指した取組みを実施中です。

・主要事務システムの刷新

ホストコンピュータで稼働する人事・会計などの事務系基幹システムについて、クラウドサービスも活用した新システムに刷新すべく、2022年中の完了を目指して計画的に実施中です。システム刷新により、業務処理のリアルタイム化によるスピード向上や、ペーパーレス化と多角的なデータ活用などを段階的に実現しています。同時に、「脱ハンコ」に向けた契約・請求等の取引業務の電子化にも取組んでいます。

・RPAの業務適用展開

RPA(ソフトウェア・ロボット)の適用については、各部門の業務効率化ニーズをもとに効果が見込まれる業務を抽出のうえ、開発と業務適用を計画的に実施しています。これまで、開発中を含め約100の業務についてRPAによる自動化を実現しており、今後も順次適用業務の拡大を図ります。

(2)「デジタル化による事業の変革」

事業に係るあらゆるデータの蓄積とAI等での高度利活用による業務支援・自動化を順次拡大し、建設事業全体及びまちづくりのデジタル変革を進めます。

・AI等の活用による業務支援・自動化の高度化

2017年に開発着手した構造設計業務のAIシステムをはじめとして、営業・設計・見積・工務・施工管理・FM支援サービスや人事・経理等、多岐にわたる業務でのAIを用いたデータの高度利活用に向けた取組みを推進中です。

・デジタル人材の教育・育成

デジタル変革イメージ動画のデジタルサイネージでの掲出や、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールの活用講習会を開催する等、全社的な変革意識の醸成やデータ活用に関する教育活動を実施しています。あわせてICT部門においては、データアナリストやAIエンジニア等の高度専門人材の育成・拡充に取組んでいます。

(3)デジタルプラットフォームの構築

建築事業及びまちづくりに係るデータ蓄積・活用基盤として、「デジタルプラットフォーム」のクラウド環境への構築を進めています。あわせて、ネットワークの強化やサイバーセキュリティ対策の高度化を進め、クラウド活用を基本とするデジタルインフラの整備に順次取組んでいます。

図2 デジタルプラットフォームの活用イメージ
図2 デジタルプラットフォームの活用イメージ

3.デジタル化推進体制

当社は代表取締役社長を委員長とするICT推進中央委員会にて「デジタル変革により2030年に目指す姿」を策定し、デジタル変革推進タスクフォースにより事業部門とICT部門(グループICT推進室)が一体となりデジタル化を進めています。全社のキーマンで構成するデジタル変革推進タスクフォースにてデジタル化施策の企画・検討と具体化を図り、本・支店に設置したデジタル化推進責任者との連携により全社に展開しています。

図3 デジタル化推進体制
図3 デジタル化推進体制

費用対効果を見極めながらデジタル化施策の実施展開を進めるとともに、業務適用件数の把握や経済産業省の「DX推進指標」による自己診断も実施しながら、全社のデジタル化に向けた活動を実施しています。

図4 デジタル変革により2030年に目指す姿(建築事業)
図4 デジタル変革により2030年に目指す姿(建築事業)