汚染地盤の加温式原位置浄化技術「温促バイオ®」が第48回環境賞で環境大臣賞を受賞
2021年06月25日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)と竹中土木(社長:竹中康一)、岡山大学、横浜国立大学は、汚染地盤の加温式原位置浄化技術「温促バイオ®」の開発が評価され、第48回「環境賞」(国立環境研究所・日刊工業新聞社共催、環境省後援)において環境大臣賞を受賞し、6月22日に霞山会館で行われた贈賞式にて表彰されました。
環境賞とは
環境賞は環境保全や環境の質の向上への貢献が認められる成果、または貢献が期待される成果をあげた個人、法人、団体・グループ等を表彰することにより、広く環境意識の啓発を図ることを目的とした賞です。
評価のポイント
温促バイオは、汚染地盤に対する加温式原位置浄化技術です。従来の原位置浄化技術※1と比較して、コストを同程度以下に抑えたままで、浄化期間を約50%以下に短縮でき、また、全量を掘削除去する場合と比較して、重機の使用を必要最小限とすることで、コスト、CO2排出量を約50%以下まで削減できる技術であり、かつ、実現性が高い技術である点が評価されました。
温促バイオの概要
クロロエチレン類(以下、VOC)に汚染された地盤に対し、微生物によるクロロエチレン類の分解がもっとも活性化する約25~30℃に地盤を加温する機能と、不均質な地盤へ加温浄化剤を均一に注入する制御機能を両立したバイオスティミュレーションに※2よる原位置浄化システムであり、以下の特長があります。
- (1)地盤を加温することで、土粒子に固着したVOCの脱離が促進され、微生物によるVOCの分解が容易になります。同時に微生物の活性度が向上し、VOCの分解速度が向上します。
- (2)地盤中で加温浄化剤と同じ挙動をする、現地分析可能な蛍光トレーサー※3を用いて加温浄化剤の拡散状況を見える化します。これにより、加温浄化剤を均一に行き渡らせるように浄化システムの最適な運転制御を行うことができ、浄化不良や再汚染のリスクを低下します。
今後の展開
竹中工務店・竹中土木は今後、土壌・地下水汚染が原因で土地の有効活用が停滞している土地などを中心に「温促バイオ」の適用を提案し、土地の浄化と利活用の幅を大きく広げるとともに、土壌汚染対策の分野でのCO2排出の削減に貢献します。
- ※1原位置浄化:汚染された土壌・地下水を、掘削を行わずにその場で浄化すること。
- ※2バイオスティミュレーション:浄化剤を加えて汚染サイトに生息している微生物を活性化させて浄化する技術。
- ※3蛍光トレーサー:地下水流動調査でのトレーサー剤として実績があり、環境負荷が低い物質を選定しています。