私はアメリカ人の両親のもとアメリカで生まれ育ちましたが、子どもの頃からテレビや雑誌を通じて日本の風景や文化に慣れ親しんできました。大学では経営学を専攻していましたが、交換留学で日本へ行くことが決まり、日本語や日本文学を学び始めました。私はこの時初めてアメリカ大陸を離れました。日本のホストファミリーや学校の友人との交流の中で、日本のおもてなし文化や物事を大切にする姿勢に触れられた非常に貴重な経験でした。
帰国後も、日本と深いつながりを持ち続けたい、日本で生活したいという思いが芽生え、日本の大学院に進学しました。
卒業してから日本の電気メーカーに就職し法人営業担当として働きましたが、英語を活かせる仕事がしたいという思いから転職活動を始め、当社に採用されました。
アメリカで生活していた幼少期
現在、私は外資系のお客様の建設プロジェクトを担当しています。私が担当するお客様の多くは日本で事業をしたことがないため、自国の建設会社との発注方法やプロジェクトの進め方の違いに驚かれます。
海外では、設計と施工を別々の会社に発注する「分離発注」が一般的なため、当社が提案する「設計施工一貫」の発注方式に不安を感じることが少なくありません。設計事務所ではなく施工会社が設計を行うことに強い不安があるのです。
そのようなとき私は、外資系のお客様から設計施工一貫で受注したプロジェクト事例を紹介したり、そのメリットを説明したりしています。設計と施工の双方の知識や経験を活かすことで、品質向上につながるだけでなく、窓口や責任を一元化するなどのメリットがあるのです。そのうえで、環境配慮や安全対策などのお客様のニーズを細かくお聞きし、それに応えるソリューションを提案することで、信頼していただくよう努めています。
フランスの展示会でネットワーキング活動
近年、DXの進展に伴いIT業態に関連する建設ニーズが増大しており、お客様から一日でも早く開業したいという強い要望を受けます。そういったスピードを重視されているお客様には、設計施工一貫方式が有効です。設計段階で材料の発注をかけたり、施工の準備をしておくことで、プロジェクト全体の工期短縮につながるのです。
国による慣習や商習慣の違いを理解していただくのは容易ではないですが、お客様の視点に立ち、不安を解消することを最優先に考え、お互いの理解を深めることに尽力しています。それだけに、お客様から、評価や感謝の言葉をいただいたときは、感慨深い思いに包まれます。
同じプロジェクトメンバーとカジュアルなミーティング
私は以前、当社が受注した商業施設へのテナント誘致を行っていました。エリアの特性や競合テナントなどのマーケット調査を行い、施設のブランド価値や集客力を高めるよう、「日本初進出」などの話題性を持つテナントを提案しました。
あるときお客様から、広い敷地に建てる商業施設に、エンターテインメント性のある飲食店や体験型施設のテナントを紹介してほしいという依頼を受けました。私は、eスポーツを体験できるレストランや、ゴルフやプールを楽しめるレストラン、VR施設やトランポリンパークなど、これから期待できる業態や他の施設との差別化を図れる様々なジャンルのテナントを提案しました。
そこで私は、お客様からの共感を得るために、実際にお客様に体験していただく機会を設けました。それぞれのテナントの魅力を体感いただいたことで、新しいエンターテインメントの形態に興味を持っていただきました。お客様に満足していただくことで、私たちは長期的なリレーションシップの構築を目指しています。
アメリカで様々な施設にお客様をアテンド
当社の400年の歴史は私の母国であるアメリカ合衆国よりも長く、私自身もそうでしたが、外資系のお客様は感銘を受けられます。長く事業活動を続けていることに、お客様は信頼と期待を寄せてくださいます。
海外のお客様にとって、日本と海外の文化や習慣の違いに加えて、当社が提供するソリューションや日本における契約など、初めての経験が多くあります。その一方で、当社にとっても、海外のお客様とのかかわりを通じて、建築に対する新たなニーズや可能性を感じることも多くあります。海外で生まれ育ち、日本で培った経験の両方を活かし、言葉では伝えにくい感覚的な部分で想いを汲み取り、双方に伝えていく役割を果たしたいと思っています。
お客様のニーズや悩みをしっかり聞き、コミュニケーションを深め、当社の総合エンジニアリング力を最大限に発揮することで、お客様の想いをかたちにしたいと考えています。
すでに日本で事業展開しているお客様だけでなく、日本進出を検討しているお客様に対しても、円滑にビジネスが遂行できるよう、日本と海外の懸け橋になりたいと思います。
同じ開発営業メンバーと情報交換、今後の提案に向けての打ち合わせ