2017年入社
学生時代の専門分野:建築構造
「正解が一つではないけれど、何がいいか悪いかが納得しやすく、論理的に『答え』を導き出すのがおもしろいと思って…」
小林がRC構造の世界へ飛び込んだのは、こんな理由からだ。
入社4年目の現在、技術研究所で主に梁や接合部などのRC構造部材の地震時の安全性に関する研究を行っている。
そんな彼女が意欲的に取り組んでいるのが、鋼繊維補強コンクリートの活用と、3Dプリンターを活用したモルタル部材の開発である。
好奇心旺盛で、専門であるRC構造だけでなく、構造に関するさまざまな課題にもひるまず挑戦する人物として期待されている。
「大学の研究室では解析が中心で、どちらかというと学術的な探求でしたが、入社してからは実験が多くなり、実践的になりました。研究開発したものが実際の建物に使われていくのはすごく楽しいし、おもしろいですね」
その一つが、鋼繊維補強コンクリートの活用である。
鋼繊維補強コンクリートとは、ホチキスの芯のような非常に細い鋼線をコンクリート全体に混ぜ込むことで引張強度や耐衝撃性などの向上を図るというもの。
「鋼繊維補強コンクリートを活用した構造部材を提案し、実際の建物に使えるように地震時の安全性を確認する実験を実施しています。どろどろのコンクリートの中に鋼繊維が入ると、絡まって使いにくい面もあるので、作業所や設計部の協力を得て、『こういう部分が難しい』『もっとこうなったらうれしい』などの意見を聞く。そういったフィードバックを受けて改善策を考えるのがおもしろいんです」
物事をポジティブにとらえ、何でも楽しみに変えてしまう小林。
「多少は手間がかかっても、それをやることで建物の性能が向上して地震時の安全性が高まる、全体の工程がスムーズになる、社会的にも作業員不足という課題がある中で省人化を実現する、そういった提案ができればと思っています」
「作業所とか設計部とか、他の部門との打ち合わせは、すごく勉強になります。『実際はそうやってやるんだな』『そういうことを考えなきゃいけないのか』って分かるのでおもしろい。彼らは図面上で見るだけで、実際に建物を建てるときにここが大変だとか、ここはラクだとかが瞬時に分かる。私たち研究員は試験をするといっても試験体は実物大ではなく、縮小サイズですし、切り出した部分しか造らないので、なるほどと思います」
また、人との関わりによる気づき、視野の広がりはこんなことからも。
「研究所には森づくりや養蜂、野菜づくりに取り組んでいる方もいて、実際に話を聞くと、本当に視点が全然違う。ここには、いろんな視点をもって研究している人がいてすごくおもしろい。自分の研究の話をしても、普段自分が見ているのとは別の角度から意見がもらえたり、そんな考え方もあるのかと気づかせてもらえたりすることが多々あります」
「就活中から感じていたことですが、この会社の人たちはとにかくよく話を聞いてくれて、意見を尊重してくれます。私が何か変なことを言っても、絶対に否定しないで『おもしろいね』と話を広げてくれる。みんなで考えてくれる。そんな社風が特徴かなと思います」
研究テーマの選定においても、やってみたいものがあれば、自分から手を挙げることができ、意欲的な研究者には願ってもない環境があるという。
「でも、逆に難しいんですよね、自分で考えるってことは。主体的にできるのは好ましいことですが、いざ実践となると…(笑)」
小林は近い将来、実施予定のジョブ・ローテーション(※)にも期待を寄せている。
「構造設計のほうに行きたいと思っています。人脈を広げることももちろんですが、研究所だけでやっていると、独り善がりというか、実際と違うところがあったりするかと思うので、設計者としての視点を養って視野を広げ、ニーズも拾って戻ってきたい。あと、それまでに何か自分でモノにできた技術があれば持っていって、実際に展開していけたらいいなと思っています」
小林のチャレンジはまだまだ続く。
職務範囲の拡大のために実施しているジョブ・ローテーション制度(職務転換)のこと
2020年10月に行ったインタビューを元に執筆しています。
小林 楓子 こばやし ふうこ
学生時代からRC構造の研究に携わり、入社後は、RC構造部材の地震時の安全性に関する研究に従事。最近では、鋼繊維補強コンクリート部材の開発、3Dプリンターを活用したモルタル部材の開発にも意欲的に取り組んでいる。
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