西岡 由紀子  にしおか ゆきこ

2014年入社

  • 建設基盤技術研究部 研究主任

学生時代の専門分野:建築材料

ジョブ・ローテーションで作業所を経験したコンクリートの研究者

西岡の研究分野はコンクリートの材料開発。コンクリートに関わるさまざまな開発に携わっている。
西岡は2019年から1年4カ月、ジョブ・ローテーション(※)で東京都渋谷区「MIYASHITA PARK」の作業所で施工管理担当の職務を担っていた。研究所に復帰して間もない今、彼女が考えていることとは?

職務範囲の拡大のために実施しているジョブ・ローテーション制度(職務転換)のこと

新しく開発されたコンクリートは、実際に作業所で使えるのか?

「MIYASHITA PARK」の作業所にて

「コンクリートは作業所で使うものですので、作業所を経験してきました」
ジョブ・ローテーション先は、上長と相談して決まったという。

「コンクリートは材料特性で施工しやすさが変わるので、新しく開発したコンクリートが作業所で使えるのかという視点で見ていました。実際、作業所は日々忙しく仕事に追われていて、コンクリートに限らず新しいものを使おうとするのは大変でしたね。従来品とは扱い方や管理方法が異なる部分があるので…その苦労が身をもってわかりました」

竣工と同時に、職務終了して研究所へ復帰。
「正直に言うと…当初は行きたくないと思っていました。研究者としての活動を休みたくなかったですし、1年以上作業所に行くのは研究員としてのキャリアにマイナスになるのではという思いもありました。でも、行ってきた今だから言えますが、視野が広がります。コンクリートの研究をするうえで、施工者としての視点が持てたのは大きなプラスです。人間関係も広がります。ずっと研究所で研究をしていると話さない方ともたくさん話せますしね。大きな作業所でしたので、最後のほうは、1日1000人ぐらいの作業員さんがいました」

「MIYASHITA PARK」の作業所にて

長年の研究を深める一方、自身で起案した研究テーマも

現在研究しているコンクリートは、建設の生産性を上げるものとして期待されている。西岡は今、この長年の研究テーマをさらに深め、改良する段階を担っている。

一方で、研究テーマの起案も行っている。
「研究の中でも、研究初期が一番楽しいところですね。『これとこれを混ぜたらこうなるのではないか』という仮説と、『そうなった/ならなかった』という結果の部分。今はジョブ・ローテーションから戻ったばかりで忙しいのですが、自分で起案した研究テーマがあるので、これから再開したいです」

“飽きるまで”コンクリートを研究する

「『コンクリートってそんなに研究することあるの?』と聞かれることもありますが…あるんです」

西岡は、大学の研究室時代からコンクリートの研究を行ってきた。コンクリートに携わって10年以上。

「例えばあの柱の細さも、この水筒の厚さも、物の形状を決めているのは材料の性質なんですよね。高校生の頃、そういうのをふと思ったときがあって。材料の中でも、コンクリートは大量に使われるものです。5%でも変われば、世の中に大きなインパクトを与えます。コンクリートの研究をやっていると、そういうインパクトが身近に感じられるんです」

“飽きるまで”コンクリートの世界でやっていきたいという。

「職業病というほどでもないですが、新しい場所に行くと材質が気になって、すぐ壁を触ったり叩いたりしますね(笑)。あとは変わったひび割れがあると気になってしまいます」

西岡がコンクリートへ向ける探究心は、ずっと深い。

2020年10月に行ったインタビューを元に執筆しています。

プロフィール

西岡 由紀子  にしおか ゆきこ

  • 技術研究所
  • 建築基盤技術研究部
  • 研究主任

大学時代からコンクリートを研究。入社後もコンクリートの研究者として材料開発に携わっている。得意分野は、コンクリートの微細構造とセメント化学。

専門分野

  • コンクリート工学
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竹中技術研究所研究員クローズアップ