松岡 康友  まつおか やすとも

2006年入社

  • 未来・先端研究部 主任研究員

学生時代の専門分野:情報技術

3Dプリンタの研究開発に取り組む、情報技術のスペシャリスト

大型の3Dプリンタを用いて、コンクリート型枠を製造する技術の開発に取り組んでいる松岡。大学では建築を学び、その後大学院で情報技術を専攻した。建築設計、情報技術、建築生産と幅広い領域で活躍している。
AI・IoTなど、情報技術が身近な存在となり、さまざまな企業での導入が拡大されている現在、16年前から建築と情報技術という二つの分野にまたがって研究を行なってきた松岡は、どのような未来を見据えて研究開発に取り組んでいるのだろうか。

研究者としての始まりは学生時代

「大学で建築を学んだ後、大学院で、IoTの領域を2年間勉強しました。建築の勉強を続けながら、大学院では情報技術、と二つの分野にまたがって勉強しました。」と話す松岡。
当時、海外では、コンピューターを駆使した設計手法が見られ始めた時期だった。松岡はそこに興味を持つも、それを教えてくれる先生が日本にはいなかったため、インターネットなどを活用し、独学で学び始めたという。誰も教えてくれる人がいない領域で挑戦する姿勢は、まさに研究者の始まりだ。

その後、建築と情報技術という二つの分野で学んできたことから、それを活かせる竹中工務店の研究職を選んだ。入社してからは、そのまま大学院の続きにあたる情報技術分野の研究に取り組んだ。建築を学んでいたこともあり、二つの分野の接点に興味を持ったという。

「例えば建築分野の研究者は世界で数万人くらいですが、情報技術の研究者は、数百万人いるんですよ。情報技術という分野はとても広く多様なんです。私は、その多様で広大な専門領域と、建築との接点を研究しています。」と語る松岡は、10年かけて、建築に関わる情報技術を片っ端から研究した。

幅広い情報技術の分野を広く浅く、全てやりたい

3Dプリンタで製作したプランター

「広く浅く、全情報システムの専門知識を身に付けることに注力し、建築で応用できるところを探し、突き詰めていくという研究スタイルを続けていました。」と松岡は話す。

「入社して最初の研究課題の名前がメタバース。今、流行っていますが、15年前に、既にメタバースを使った建築の制御システムを作っていました。完全に早すぎましたね。」と笑う。

松岡の研究はさらに広がり、VR技術、AR技術を建築に用いる研究や、米国留学でのAI技術研究など、情報技術分野の広大な範囲に及ぶ。そして現在取り組んでいるのが、3Dプリンタによる建築生産である。

「好きな先生が出していた書籍に、一家に一台3Dプリンタって書いてあったんです。
先生が言うなら買うか、ということでオランダから個人輸入で3Dプリンタ組み立てキットを購入し、必死で組み立て、なるほど3Dプリンタってこういうものかと知りました。」

建築への応用を念頭に、広く浅く、情報技術の研究を続けていった。

広く浅く興味の赴くままに続けてきた10年間の研究とこれからのビジョン

「自分の考える方向性が会社のそれとマッチしたので、自分の興味の赴くままに研究に没頭してきました。研究職は、裁量が自分にある分、継続して成果を出していくことが求められているなと感じています。」
そう語る松岡は現在、3Dプリント技術を用いた型枠製造の新規事業の立ち上げに取り組んでいる。2031年までに上場することが彼の目標だ。これまでは2、3年で次のプロジェクトへ移っていったが、今回は10年以上の大型プロジェクトになる。

「歴史は繰り返すと私は思っています。メタバースは15年前に流行っていて、3Dプリンタも10年くらい前に流行っていました。一度幻滅期を経て、そんな中でも着々と技術を積み上げている人たちがいて、その期間を経ると、だんだん世の中に価値を提供できる機会が増えていくのだと思っています。時代の変化は早いので、フレキシブルに事業も変化させていかなければならない、自分自身も変化が求められるので、今後もチャレンジしていこうと考えています」

松岡の研究スタイルに、まさに今、変革が訪れようとしている。

2022年11月に行ったインタビューを元に執筆しています。

プロフィール

松岡 康友  まつおか やすとも

  • 技術研究所
  • 未来・先端研究部
  • 主任研究員

大型の3Dプリンタを用いてコンクリート型枠を製造する技術の開発に取り組んでいる。

専門分野

  • 情報技術(IoT、人工知能、建物の制御システム)
  • 建築設計(コンピュテーショナルデザイン)
  • 建築生産(建築部材の3Dプリント製造)
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竹中技術研究所研究員クローズアップ