門田 浩史  かどた ひろし

2022年中途入社

  • 未来・先端研究部

学生時代の専門分野:無機材料工学

セメント研究に情熱を注ぐ新たな人材

門田は入社して1年半で、タイでの国際発表に参加するなど、セメントの開発領域で活躍している。
門田は前職からセメントの研究者でありカーボンニュートラルの実現に向け、CO2を排出しない特殊なセメントや材料を開発することに焦点を当てていた。
竹中工務店に何を求め転職したのか。

いいものを作れば売れる時代ではない。お客様のニーズに応えていく楽しさ

大学、大学院、さらには卒業後もセメントの研究に従事していた門田。
「前職でもCO2削減ができるセメントの研究をしていましたが、どうしてもセメント会社はセメントを売るのが仕事でして、そのセメントがどう使われてるかわからないし、例えば CO2削減ができるような特殊なセメントを作ったとしても買ってくれない。今は実際にそのセメントを実用化に向けて研究しています。本当に実用化までは難しいんですけど、それに向けて頑張って努力しているという段階です」

「作ったセメントがJIS の規定に合っていたら満足してもらえるだろうと思っていたら、現場の作業員から『これだと塗り性が悪い』『コテにひっつくぞ!』とおしえていただきました。
希望通りに作ったはずなのに、意思疎通ができておらず、物にしようとすればするほど課題が出てくるなと思います。
CO2を削減したいと思っているのはオーナーだけど、現場の作業員のニーズにも応えたいんですよね」

希望通りの開発を進めるも、新たな課題が浮き彫りになる。そんな現場の生の声が聞けるのは竹中工務店だからこそ。門田の研究に深みが増していく。

「塗り性が良かったとしても、今度は塗った後の経過観察や美観とかも竹中としては保証していかなければいけないので、そう簡単にはできないなっていう課題はあります。
一年くらいで自分の作った製品が世に出たらいいなと思っていたのですが、世の中に出せるものを作るってことはそれだけの責任を負いますので、やっぱり長い年月が掛かるんだなと思いました」
ニーズに応える厳しさを実感しつつ「これだったら使えるよ」と作業員と課題を一緒にクリアする楽しさも見出している。

タイでの国際会議とそれを可能にした竹中の研究環境

CO2を吸収する細骨材について研究している門田。コンクリートのCO2を減らす研究の中でも細骨材についての研究は世界的に見ても珍しい。入社して一年半で参加した国際発表は門田にとって、とても充実した出来事だった。

「国際発表は会社側からの後押しがあったので実現しました。オーラルプレゼンテーションの準備をしながら、日本語と英語の論文の書き方の違いにも苦戦しましたが、タイでのコネクションも築けていい経験になりました。」

研究チーム内でのコミュニケーション、そして竹中工務店の自由な研究環境が門田の研究を加速させているようだ。
「やりたいことが多ければ多いほど竹中技術研究所は向いていると思います。上から与えられてこれをやりなさいではなく、自分はこれをやりたいと思えば多くのテーマを探求できる。本当にやりたいことがある人が来れば、やりたいことすぐにできるというのが大きなメリットだと思います。またセメントでのCO2削減に取り組んでいる仲間がいるので、ちょっとこういうことやりたいんだよと言って、時間を空けてもらったりとか。そういうのはやっぱり普段の研究でのコミュニケーションに活きてきます」

CO2削減が当たり前の世界に

門田の研究では、セメントの製造に伴うCO2排出削減と、細骨材のCO2吸収効果を組み合わせることで、大規模なCO2吸収が可能である。 「温暖化っていうものが将来の子供たちや皆さん考の中では課題ではなくなるような世界を目指していけたらいいなと思っています」と話す門田。

まずは駐車場ぐらいの大きさで、平屋の建物でもいいから、CO2を減らすことができる建造物を作りたいという希望も語っていた。
「やりがいとしてはCO2の吸収は世界的に注目されている研究で、その期待に応えたいというのが一つあります。もう一つ細骨材にCO2を吸収させるっていうのは、他社でもそんなに多く研究されていない分野ですので、竹中での研究を通して、セメントにおいても日本のリーディングカンパニーになりたい」日本においてのこの研究はトップ付近に立てる素晴らしい分野だと、そのモチベーションを語った。

自分で研究したものが世にでること。そしてCO2削減に大きな熱意を持っている門田。
自分のやりたいことを竹中で実現できるという確信と期待感を胸に、実用化への研究を加速させる。

2023年10月に行ったインタビューを元に執筆しています。部署名は取材当時(2023年10月)のものです。

プロフィール

門田 浩史  かどた ひろし

  • 技術研究所
  • 未来・先端研究部
  • 研究主任

建築にしようできる新規材料の開発に取り組んでいる。

専門分野

  • 無機材料
  • 材料工学
  • セメント化学
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竹中技術研究所研究員クローズアップ