2015年入社
学生時代の専門分野:情報工学(自然言語処理、因果関係推論)
幼少期から建築士の父のパソコンを使い、データを眺めたりいじったりするのが好きだった国本は、早くからデータ分析に親しんできた。「将来もそういう仕事に就くのだろうな」と迷うことなく情報工学科に進学し、大学では自然言語処理や因果関係推論を学び、データの力で物事を理解し、結びつきを見出すことに強く惹かれていった。
そうした学びを通じて、やがてデータ分析の可能性を深く探求するようになる。
「プライベートでは、最近の数年は自分のパソコンの電源を切ったことがないです。常に何か計算をしていたり、ソフトが動いていたり、パソコンはまるで僕の心臓のように一緒に動いている感じです」
パソコンとデータに没頭していた姿は、国本の未来を決定づけたように見えるが、その背景には建築という新たな挑戦への思いが密かに育まれていた。国本が選んだ道で見出したものとは、何だったのか。
国本は竹中工務店に情報系採用人材として入社し、1年間の新入社員研修期間に建設現場や調達本部を経験。やがて情報エンジニアリング本部で人流に関わる業務に従事し、その経験が、「人流シミュレーション技術の研究開発」という現在の研究テーマへとつながった。
「実は社内から技術研究所への異動は、比較的例が少ないんです」
情報エンジニアリング本部で人流技術に携わる中で研究所レベルの取り組みが必要であると確信した国本は、技術研究所への異動を希望。竹中工務店が人流技術の研究開発を推進する中、本人の高い意欲も相まって合意し、異動が実現した。
この強い行動力と情熱が、国本の揺るぎない探究心を物語っている。
「博士課程の学位取得のために社会人ドクターとしても勉強を続けています。大学院と研究所での活動が、互いに良い影響を与えあっていると感じます」
国本の目は、これからの研究と、その成果がもたらす未来に向けられている。技術研究所という環境は、国本にとって理想的な挑戦の場だ。
国本の研究テーマは「人流シミュレーション技術の研究開発」と「都市データ分析(アーバンテック®)」に加えて、災害データ分析や医療施設運用支援AI、設備制御AIなど、多岐にわたるテーマにも取り組んでいる。
「研究って、自由な発想で始めるのは楽しいけれど、途中で苦しむこともありますね」と国本は語る。
「一般的な情報学の研究では、できたものが実際に役に立つ喜びがある一方、社会に対して、目に見える形で実装されることは少ない。建築・都市分野での応用研究は、実際に使われている様子を目にできることが大きなやりがいです」
データとともに生きる国本の研究スタイルには、現実とつながり、役立つ技術を追求する姿勢が強く表れている。国本は、単なるデータ処理ではなく、現実の問題を解決し、社会に影響を与える手段として研究を進化させている。
国本の研究は、理論にとどまらず、現場での実践を通して、社会の変化に関与している。
「子供が生まれてから、仕事と家庭、趣味のバランスが変わってきました。今は3:6:1くらいで、家庭が大半を占めています。」と笑顔で語るが、国本にとって情報分析は、仕事とプライベートの境を超えた存在だ。
「オンオフの切り替えは難しいものの、自分のスキルが社会に求められていることに喜びを感じています。それで生活ができていることは天職だと感じます。データを扱うこと自体が楽しくて、犬の散歩でも毎日データを取っています」国本の無邪気な探究心と、データへの愛着は、物腰の柔らかな受け答えからも伝わってくる。
「情報を調べ、自分の意思決定をすることが、自分の生き方そのものです。自分で調べ、考えた結論を行動に移すことは、僕の大切な部分です」
国本はデータの力を通じて、未来を切り開く存在であり続けるだろう。その姿勢は、日常の中でも常に前向きで、探求心を持ち続けている。
国本が目指すのは、データを駆使して築く、誰もが恩恵を受けられる未来だ。
2024年9月に行ったインタビューを元に執筆しています。部門名は取材当時(2024年9月)のものです。
国本 陸斗 くにもと りくと
人流シミュレーション技術の研究開発・医療AI・都市データ分析(アーバンテック®)・災害データ分析・設備制御AI、その他AI関係のコンサルティングやプログラミング支援などに取り組んでいる。
専門分野 |
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特許 |
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講演 |
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