雨水貯留浸透技術 レインスケープ®

雨水貯留浸透技術 レインスケープ®

レインスケープは、雨水を溜めて地下に浸透させるだけでなく、在来種の植物を植えて汚濁物質を除去したり、溜めた雨水を敷地内で利用したりできる、自然の力を活かしたグリーンインフラ技術です。豪雨時に地上と地中の貯水部が“雨水貯留・浸透空間”としてピークカットの機能を果たすだけでなく、平常時にも地上部が魅力ある植栽空間として機能し、集客力や企業価値の向上に寄与します。

技術の概要

近年、都市部では、ゲリラ豪雨や台風による水害(内水氾濫)が頻発し、合流式下水道の雨天時越流による水質汚濁が問題になっています。これらの現象は、都市化による雨水浸透面積の減少に気候変動の影響が加わり、今後ますます深刻化します。これに対し国や自治体では、雨水の地下浸透を推奨し、下水道などへの流出抑制などの対策を推進しています。レインスケープは、平時も魅力ある緑地として機能し、雨水の貯留や地下浸透の促進により健全な水循環に寄与し、植栽空間が生物多様性保全に貢献することで、建物やエリアのサステナビリティや価値を高めます。
弊社技術研究所に設置したレインスケープでは、2019年10月25日の台風21号に伴う千葉県豪雨時に、顕著な雨水の流出抑制効果を確認することができました。

集水域全体の断面図

集水域全体の断面図

【平時】赤い部分がレインスケープ

【平時】
赤い部分がレインスケープ

【豪雨時10時頃】全面に雨が溜まり始める

【豪雨時10時頃】
全面に雨が溜まり始める

【豪雨時15時頃】レインスケープが満水になる頃には、降雨は小康状態に移行

【豪雨時15時頃】
レインスケープが満水になる頃には、降雨は小康状態に移行

【豪雨後5日後】平時の状態へと戻った様子

【豪雨後5日後】
平時の状態へと戻った様子

2019/10/25 千葉県豪雨時のレインスケープの様子

今後は街区開発に対しても提案していきます。今後は適用対象規模を拡大し、水害リスク低減効果の定量評価や、複合的な機能の不動産価値への貢献度について研究を進め、街区開発への提案を行います。

KEY PERSON

向井 一洋
技術研究所  自然・生態環境部
水環境・資源循環グループ
【専門分野】水質浄化・地盤環境
近年頻発する豪雨災害に対応し、さらに地球上に限られた資源としての雨水を敷地内で有効に活用できる技術として、レインスケープの開発に取り組んでいます。今後は、調の森 SHI-RA-BEのレインスケープにおける、実測データの収集と評価、さらにはそこで得られた知見の他地域への展開を通して、多様なまちづくりプロジェクトに飛び込んでいきたいと考えています。
向井 一洋 技術研究所 自然・生態環境部 水環境・資源循環グループ