健康遊歩道
健康との関連が知られる歩幅を日常的に測り、健康への気づきを促進する歩行促進プログラムを建物の中や外構にデザインし、健康な空間づくりを支援します。
技術の概要
歩行促進プログラム「ステップ・るーらー®」
歩幅は筋肉の衰えなどから、年をとるにつれて徐々に狭くなり、60歳を過ぎると1歳毎に約1cm狭くなると言われています。加齢とともに狭くなる歩幅と健康リスクについては、様々な研究があります。例えば、65歳以上の日本人高齢者1000人以上を対象とした調査において、歩幅と認知機能の関連を調べたところ、「歩幅の狭い」人は、「歩幅の広い」人に比べ、3.39倍認知機能が低下していました。また、骨密度の低さや骨粗鬆症と歩幅の狭さや、抑うつ傾向の高齢者の歩幅の狭さなどの研究もあり、歩幅は身体的・精神的な健康のバロメータとなりそうです。
一方、竹中工務店が実施した歩幅測定のイベント体験者へのアンケート調査において、参加者の80%以上が自分の歩幅を知らない、測ったことがないと回答し、約70%が歩幅と健康との関連について知らなかったと回答していました。そこで、日常的に歩幅を測ることで、ご自身の健康への気づきを促す仕掛けとして、歩行促進プログラム「ステップ・るーらー®」を開発しました。現在はプロジェクトに実装する常設タイプとイベントで活用するポータブルタイプの2種のソリューションを提供しています。(※実装事例)
常設タイプのイメージ
ポータブルタイプのイメージ
歩幅を意識し緑地を歩いてリフレッシュ 「健康遊歩道」
調の森では、健康に寄与する歩幅の基準値に基づく間隔でラインをペイントした健康遊歩道を実装しました。大工作業で用いる差金(さしがね)をモチーフに、L字の歩道全体を差金に見立てて設計しています。身長や年齢別に健康的な歩幅とされる間隔が異なるため、4色に分けて(成人男性、成人女性、シニア、こども)ペイントしています。
室内にこもりがちなオフィスワーカーが、身体的な健康に寄与する歩幅を意識しながら、心地の良い緑地を散策することによって、心身ともにリフレッシュしてもらうことを意図しています。緑地が持つ健康増進効果を最大化する仕掛けになっています。
差金(さしがね)をモチーフにペイントされた健康遊歩道
歩行の様子
今後は、建物内外へのステップ・るーらーのデザインだけでなく、継続的に使い続ける仕組みも併せてご提案し、歩幅測定を通した健康への気づきを促進していきます。
KEY PERSON
環境・社会研究部
空間価値創造グループ
健築®コンセプトのもと、健康な建築の実現を目指し、健康なオフィス環境、健康な地域コミュニティに関するエビデンス取得、健康行動促進プログラム開発など実施しています。