COVID-19により、オフィスに対する考え方も変わってきました。多くのオフィスワーカーがリモートワークや在宅勤務を経験し、通勤時間の短縮や働き方の多様性など様々な導入メリットが得られた一方、ワーカー同士のコミュニケーション不足やオンライン会議による細かい意思疎通の取りづらさ、自宅の通信・デスク環境などのデメリットも浮かび上がり、改めてオフィスの役割や重要性に関する気付きもありました。
これからのニューノーマルな時代においては「オフィス=仕事場所」という役割だけではありません。ワーカー同士の「コミュニケーションを創出する空間」、ワーカーの生産性や創造性などの「能力を発揮できる空間」、さらには「健康で安心に過ごせる空間」といった役割が求められます。これからのオフィスに求められる役割に対し、新たな働き方を実現する計画・分析・評価、エビデンスに基づくプログラムの提案を行い、ワーク・エンゲイジメント向上を実現します。
*ワーク・エンゲイジメント
「働き手が仕事に誇りをもち、仕事にエネルギーを注ぎ、仕事から活力を得て活き活きしている状態」のことを指します。
一人一人の多様性を考慮し、
最適なワークプレイスを提供
オフィスワーカー6万人を対象としたWEB調査の結果、同じ業務を行う場合でも、ワーカーの性格タイプごとに好む席が異なることが明らかとなっています。多様なワーカーの好みを的確に捉え、最適なワークプレイスを提供することが、生産性向上の観点で重要です。パーソナリティに配慮したABWオフィス設計ソリューションをご提供いたします。
※1 Activity Based Workingの略 業務内容や気分に合わせて自由に働く場所や時間を選択する働き方
在席場所や「取り込み中」などの
執務者の状態を
リアルタイムで
マップ上に表示
ABWでは、自身のパーソナリティやその日の活動内容によって、オフィスや自宅、サードプレイス等、積極的に場所を選択し自律的に活動することが重要です。「ABW Navi™」は、オフィスの利用状況や執務者の位置情報、空間の環境情報をビルごとに可視化したり、その日の活動内容に合わせた場所のレコメンデーションを提示したりしてくれる、ニューノーマル時代の働き方に必要なセルフマネジメントに役立つ情報プラットフォームです。また、施設管理者目線でのデータの可視化により、施設運営にも役立てていただけます。
表情分析による
社会的健康の評価と可視化の試み
笑顔の数は、ストレス緩和や健康リスクの低減に寄与します。また、笑顔はコミュニケーションの中で増えたり、他者に伝搬していったり社会的健康の指標になります。空間の感情評価アプリケーション「すまいる・サーキュレーション for Space」は、空間の中の笑顔の発生場所を可視化することで建物内の健康度をはかるツールです。笑顔、喜びなどポジティブ感情と、悲しみ、驚きなどネガティブ感情を示すことで、状況に応じた感情の変化が確認できます。笑顔計測アプリケーション「すまいる・サーキュレーション for Person」は、笑顔得点を日常的に記録することで笑顔の回数を増やし、健康促進のきっかけづくりに役立ちます。
階段を上ったり、
歩幅を大きく歩いたり、
環境から健康行動を促進
環境から知らず知らずの健康行動を促進するプログラムを提供しています。健康階段「ta-tta-tta」は、階段に設置したセンサーと利用者が持つタグが連動し、「階段昇降が楽しくなる映像」を投影することで階段利用を促進するシステムです。実証実験では階段利用量が1.7倍に増加しました。いなべ市庁舎の入口に設置された歩行プログラムでは、歩幅をチェックし、プラス10cm広げる歩き方を試すことができます。歩幅を広くする歩き方を意識して、日々の健康づくりを促進します。
身体活動や笑顔、会話を誘発して
オフィスの健康経営をサポート
「五感レスポンス®・ウェルネス・システム」は、センサーで認識した人の動きに応じて、映像や、音、香り、風などが連動して人の感覚を刺激することで、楽しみながら健康を促進するシステムです。
高齢者22人を対象にした効果検証では、当システム体験前後でポジティブな気分変化を確認しました。また国内外各所で行ったアンケートでは、体験後に「身体の動き」「会話」「笑顔」が増えたと答えた人は夫々85%以上でした。現在開発中のオフィス版では、ワーカーが日々の生活を送りながら健康を促進できるシステムを提供いたします。
一人一人の温熱・光環境の
好みにあわせて環境を制御
ワーカーが働く場所を選択できることに加え、個人で調節可能な様々なタイプのパーソナル環境制御機器を導入し、個人により異なる快適性や嗜好に配慮することで働く場所の環境満足度を高めることができます。ICTを活用し、ワーカーが机に貼られたNFCタグにスマートフォンをかざすことで座席登録と同時に機器のリモコン画面を立ち上げることも可能で、スマートに環境を調整します。
見る・触れる・関わる
緑化空間創出による
建物価値向上
緑や光・自然音など自然要素を取り入れる“バイオフィリックデザイン”をオフィスに導入することで、そこで働くワーカーの生産性やウェルネスが向上することが明らかになり、世界的な関心を集めています。長年開発してきた多様な緑化技術などを駆使して、屋内や屋外に質の高い快適なバイオフィリック空間創出をご提案します。さらに植物に関わるプログラム開発により、緑をきっかけにしたコミュニケーション活性化など、さらなる活用方策についてもご提案します。
気分転換や
コミュニケーションの活性化、
発想力の向上が期待できる働き方の提案
自席以外の場所を「ソト」空間と位置づけ、多様なソト空間の中から、気分転換やコミュニケーション、仕事、飲食等に適切な場を自ら選択し活動するワーク/ライフスタイルをソトコミ®と名付けました。様々な働ける空間と、そこに設置した温湿度・風速などのセンサからリアルタイムに送られるデータをもとに、屋外の花粉飛散量や室内のCO2濃度などを可視化するとともに、ソト空間の温熱快適性を示す「ソトワーク指数®」を算出し、デジタルサイネージやスマートフォンなどに表示し、その空間へ移動するきっかけとなる情報を提供します。
安全・安心から考える施設環境の提供
コロナ禍で「新しい生活様式」が提唱され、施設のカタチが変化のきざしを見せています。感染症対策と省エネを両立する空調システム、ヒトの位置を見える化して密集のリスクを低減する技術、非接触の入退管理システムなどウイルス接触を避ける工夫など、さまざまな建築・環境設備ソリューションを用いて、感染防止を図りながら、生産性を高めるための安全・安心な環境づくりに貢献します。
急速に変化する社会・環境に対応した新たな分野に対する迅速な研究開発を行っています。また、社内外の研究者が集いオープンイノベーションを加速する場を設けています。
竹中工務店は、「人」からはじまる「健築®」と名付けた活動を2015年よりスタートしました。この中で、エビデンスをベースに「空間デザイン」すること、一人ひとりのいきいきとした生活行動を促進する「プログラム」を提供すること、そして空間デザインやプログラムがもたらした効果を科学的に「分析・評価」すること、という3つのアクションを継続的・循環的に行っています。近年、働き方改革の取り組みが活発化し、企業が目指す健康経営の在り方が問われているオフィスもその対象の一つです。そこで働き、多くの時間を過ごす「人」を主役に考え、一人ひとりにとっての健康や幸福に着目し、様々なアプローチで、ワーク・エンゲイジメントの高まる空間・社会づくりに貢献していきたいと考えています。
確かにこの席は心地よくて、いつもの
席よりも仕事が捗りますね。