Interview 01
誰にとってもあたたかい
武田 基杏
2018年入社 住居学科 建築デザイン専攻卒施工担当がデザインを熱く語る
学部の先輩の紹介で、大学2年生から竹中工務店の設計部でアルバイトをしていました。
模型製作に携わった竣工作品を見学した際、作業所の担当者が設計者と同じ熱量でデザインについて語っていたのが印象的で、それが最良の作品づくりにつながっていることを実感しましたし、その一体感が好きで、自分もこの会社の一員になりたいと思うようになりました。
アイデンティティを生かしながら
コンペから参加していた医療施設が竣工し、現在は食品メーカーの研究棟などの設計業務に携わっています。まだまだ若手なので、先輩の働き方やデザインプロセスを観察し、それを自分の中に取り込んでいく日々です。建築学ではなく住居学を専攻していたアイデンティティが、私にはあります。そこで培った「すべてのデザインは人の生活の延長にある」という意識を忘れず、誰にとってもやさしく作り手の温もりが残るデザインを届けることが自分の使命だと捉えています。
また、大型案件ではアイデンティティの異なるメンバーとチームを組むケースがありますが、その掛け合わせによってデザインにも変化が生まれる点に、多くの人が働く企業で設計活動を行う醍醐味を感じています。
自分の家のような
入社して初めて、埼玉県の医療施設の病室デザインに携わりました。ひとつずつの病室はそれほど広くないものの、部屋数が多く、また、科ごとに求められる機能が異なります。患者さんの過ごしやすさを維持しながらも、医師や看護師が最短でベッドサイドにアクセスできる動線や、医療機器が安全に使用できる最適なレイアウトなど、専門的な要望に応えることに苦労しましたが、無事竣工し、建築主にも喜んでもらうことができました。
私がそこで目指したのは、病室だけどどこか自分の家のような安心感がある空間づくりです。建物が竣工した際、地域の方々を案内する機会があったのですが、「あったかくて、お家みたいね」と言ってもらえて、思いが伝わってよかったと感じました。
シンプルな操作で
私の目標は、シンプルな操作で大きな価値を生み出すデザインを手がけることです。たとえばそれは、廊下やエントランスの一角にベンチを一つ置くだけで、場所性を表現できたり、居心地のいい場所に変える、といったデザインです。
竹中工務店は設計施工一貫体制を敷く総合建設企業であり、設計者が施工性に配慮した計画をする一方で、施工者もデザイン面で妥協しない点が強みだと、私は感じています。また、インテリアやランドスケープ、技術研究所など、自分のやりたいデザインを具現化してくれる専門部署も数多く存在します。設計だけではなく構造や設備など、さまざまな知識を身につけながら、そういった環境を生かし、新しいデザインを生み出していきたいです。
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私の好きな竹中作品
立川綜合病院
アルバイト時代に模型製作に携わり、入社のきっかけにもなった作品です。病室の中に計画された新潟の山々と水田を切り取った大きな窓と、その下に配置されたカウンターテーブルとチェアがとても居心地が良いです。患者さんが過ごすのはカーテンで仕切られたベッドの上だけだと思っていた病院に対する私の固定観念は大きく覆されました。
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OFFの過ごし方
夏はキャンプ、冬はスキーと、自然の中で過ごすことが多いです。昨年は知床、今年はスリランカを訪問し、各地の雄大な自然からエネルギーをもらいました。光や水の揺らぎ、葉の重なり合い、雪のきらめきなど、自然の要素はどこを切り取っても美しく、それらを建築の中にも取り込めるようにしたいです。