リニューアル事例
-明治学院 礼拝堂-
学院の理念を受け継ぐ礼拝堂
明治学院は、1863年に横浜で開設されたヘボン塾を前身として、語学や神学を中心とした教育を今に受け継いでいます。1887年に校地を現在の白金へ移転して、現在は高等学校と大学5学部(国際学部を除く)及び大学院を有し約8千人の学生が学んでいます。 礼拝堂は、1916年に竣工しました。1900年代初期の米国の教会堂に良く見られるシザース・トラスによるオープン・ルーフを用いた英国ゴシック様式を基調とする煉瓦造建築です。敷地正門に近い主動線に面して建ち、学院の入学式や卒業式・各種式典、毎日の礼拝に使用しており、学院を象徴する建物です。設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズであり、自らの結婚式場に用いたエピソードでも有名です。
文化財的価値の保存修理
1994年から明治学院は礼拝堂の復原整備に向けた学術調査を実施し、修理方針を検討しました。2003年には、検討結果に基づき「古材転用」の考え方を基本理念とした保存修理工事の骨子を定め、2004年からは、現地調査や実測を通して復原整備の設計の具体化を図りました。
保存修理と機能拡充の施工内容
古材転用の考え方を理念とした今回の保存修理工事では、保存部分と新設部分の入組んだ施工が多くみられました。文化財保存を専門とする設計監理者と協議を重ね、2008年、長期間の詳細調査と検討に基づいて、保存修理と機能拡充のための保存修理工事を完了しました。
煉瓦・屋根の保存修理
外壁煉瓦は損傷状態に応じて吸水防止剤の濃度や工法を検討して部材の保護を図りました。屋根は銅板の劣化や腐食が進んでいたため、既存銅板葺きを全面更新しました。その折に屋根下地から創建時の仕様を読み取り、貴重な履歴を記録しました。
外壁煉瓦は損傷状態に応じて吸水防止剤の濃度や工法を検討して部材の保護を図りました。屋根は銅板の劣化や腐食が進んでいたため、既存銅板葺きを全面更新しました。その折に屋根下地から創建時の仕様を読み取り、貴重な履歴を記録しました。
内装・講壇の保存修理(1)
腰壁板や腰幅木、窓建具などは必要最小限の部材更新で補修しました。天井は、当初の化粧裏板天井を復原しました。パイプオルガン設置のために大きく改変されていた講壇は、新たなパイプオルガンを2階ギャラリー部に設置することに伴い、創建当時の姿に復原しました。解体された当初木材は史料として保存するため、当初の加工(既存のホゾや仕口等)には一切手を加えず、復原した講壇の構造材などで再利用をしています。
腰壁板や腰幅木、窓建具などは必要最小限の部材更新で補修しました。天井は、当初の化粧裏板天井を復原しました。パイプオルガン設置のために大きく改変されていた講壇は、新たなパイプオルガンを2階ギャラリー部に設置することに伴い、創建当時の姿に復原しました。解体された当初木材は史料として保存するため、当初の加工(既存のホゾや仕口等)には一切手を加えず、復原した講壇の構造材などで再利用をしています。
内装・講壇の保存修理(2)
煉瓦壁の内壁面は、既存の腰壁板や漆喰壁の意匠を忠実に復元するために、壁面からの突出物を押えた「鋼板補強工法」を開発し、意匠を損ねず現行法規に合致した耐震性能を確保しました。外部バットレスは、調査で基礎部の耐力不足等が分かり、外観は同じ仕様・形状としつつ、配筋など部材強度を見直しました。
煉瓦壁の内壁面は、既存の腰壁板や漆喰壁の意匠を忠実に復元するために、壁面からの突出物を押えた「鋼板補強工法」を開発し、意匠を損ねず現行法規に合致した耐震性能を確保しました。外部バットレスは、調査で基礎部の耐力不足等が分かり、外観は同じ仕様・形状としつつ、配筋など部材強度を見直しました。
建築概要
- 用途
- 礼拝堂
- 所在地
- 東京都港区
- 竣工
- 1916年3月
- 改修
- 2008年2月
- 建築主
- 明治学院
- 設計
- 文化財建造物保存技術協会
- 施工
- 竹中工務店
- 建築面積
- 481.46㎡
- 延床面積
- 553.62㎡
- 構造/規模
- 煉瓦組積造(一部RC造)/地上2階