Solution
建物設備や各種センサの
ビッグデータを一元管理するビルOS
-ビルコミ®-
竹中工務店のビルOS「ビルコミ®」

令和2年に内閣府より、スマートシティの実現に向けた「サイバー空間」基盤技術に関する指針(リファレンスアーキテクチャ)が公表されました。今後、都市のデジタルデータ基盤(都市OS)が整備され、実在の都市による「フィジカル空間」とのデータ連携が増えることで、新しいサービスの創出が期待されています。

竹中工務店は、都市OSとデータ連携が容易なビルOS「ビルコミ®」を開発し、高機能なスマートビルを実現します。また、「デジタルツイン※1」によるまちづくりを積極的に推進し、スマートシティの実現を目指しています。

  • デジタルツイン  現実の世界から収集した様々なデータをデジタル空間上にコピーし、リアルタイムに再現する技術
サイバー空間とフィジカル空間によるデジタルツインで実現する新しいまちづくり

「ビルコミ®」について

「ビルコミ®」は、オープンな通信規格を採用したスマートビルのためのクラウド型のデータプラットフォーム(ビルOS)です。

建物設備システムや各種センサを通じて得られるビッグデータを効率的かつセキュアに扱うことができるため、高付加価値の建物サービスを継続的に提供することが可能です。

ビルOSは独立行政法人情報処理推進機構(IPA) デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)において、スマートビルの普及推進の為に標準化が行われており、ガイドラインが発行されています
当社のビルコミはこのガイドラインに準拠しています。

クラウド型建物データプラットフォーム「ビルコミュケーションシステム(ビルコミ®)」

「ビルコミ®」データ基盤によるスマートビル実績

当社では、2009年からスマートビルの取り組みを続けています。豊富な実績を基に、「ビルコミ®」を活用し建物ビッグデータを処理することで、見える化からAI適用までビル機能の高度化を図り、従来に無い高機能なスマートビルを実現しています。

建物データ基盤「ビルコミ®」を活用したスマートビルの取り組み

事例紹介

既存建物の改修によるネットZEBの達成(国内初)

2003年竣工の竹中工務店東関東支店では、既存オフィスを稼働しながら改修を行ない、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ネットZEB)を達成しました。

建物のエネルギー需給を年間を通じてバランスさせるため、モニタリング・管理機能を強化するとともに、需給に関する予測・統計モデルを機械学習し、建物設備の最適制御を実施しました。またIoTセンサによる在席管理を行ったほか、パーソナル空調、スマートウォッチによる活動量把握などの技術を導入し、快適性と省エネの両立を図りました。

IoT活用で省エネルギーと快適性を両立

横浜市新市庁舎では、クラウド基盤上にエネルギーの見える化や負荷予測、建物運転の最適化など、高機能なBEMS(Building Energy Management System)機能を実現しました。

また室内にIoTセンサーネットワークを作り、執務環境の快適性と職員参加型の省エネ推進活動をシステム化することで、省エネ制御と快適性の両立を目指しています。

  • 横浜市新市庁舎
  • クラウドBEMSの構成図

人とともに成長する建築「EQ House」

「EQ House」は、戸建住宅並みの広さながら1000箇所以上の建物設備・計測制御ポイントを有する「センサ建築」です。センサで計測されたデータを「ビルコミ®」に集めて処理することで、遠隔からの照明制御による光環境の演出、将来の負荷予測に基づく省エネルギー管理など、高度な建物制御を実現しています。

人感センサや環境センサ、ウェアラブルデバイスなど、様々なIoTデバイスにより、利用者の姿勢や室内環境の詳細情報を取り入れることで、利用者の好みを学習しながら、建物設備を自動制御し、将来の省人管理にも対応できる仕組み「Archiphilia™ Engine」を開発しました。

  • EQ House

「Archiphilia™ Engine」は、AIの分野において「強化学習」と呼ばれる、自身で制御を行いながら最適解を探していく手法を採用しています。

「快適性と省エネ性の両立」など建物特有の複雑な課題解決に向け、建物ビッグデータ処理にAIを活用した強化学習エンジンを採用できたのは、ICTビジネスパートナーとの業界の壁を越えたオープンイノベーションの成果です。

Archiphilia™ Engineシステム概念図

ロボットと共存する未来を実現する「コモングラウンド・リビングラボ」

コモングラウンド・リビングラボ(以下、CGLL)は、2025年に開催予定の 関西・大阪万博に向けて、未来の空間づくりを目指すために、2021年大阪に開設したデジタルツインの実験場です。CGLLには、照明・空調システムなどの設備に加え、施設内のモニタリングが可能なカメラやLiDAR※2といった多くのセンサが備えられており、スマートビルの多様なアプリケーション開発に適した環境が整備されています。

竹中工務店では、CGLLに機能拡張した「ビルコミ®」を適用し、設備制御やロボット連携といった実証実験をCGLL参加企業メンバーと開始しています。異業種とのコラボレーションを通じて現実空間をデジタル空間に再現することで、ロボットが人間と共通認識を持つことが可能となり、未来の暮らしを共創していくことを目指しています。

  • LiDAR Light Detection And Ranging 近赤外光等を使って対象物に光を照射しその反射光を光センサでとらえ距離を測定するリモートセンシング方式
機能拡張したビルコミ®のシステム・アーキテクチャ
コモングラウンド・リビングラボにおけるプラットフォーム

新サービス創出が実現できるデータ連携基盤の構築「立命館大学 大阪いばらきキャンパス H棟」

「立命館大学 大阪いばらきキャンパス」では学生、企業・自治体、地域住民など多様なアクターの活動が行き交うクリエイティブ・コンプレックスを備え、社会とともに新たな価値を創出する「ソーシャルコネクティッド・キャンパス」として建物情報やフィールド層の機器、サービスロボット、利用者の情報を定義するデジタルインフラの整備が進んでいます。

学びの多様化と並行して従来のような画一的な施設整備からの脱却が求められている中、当社では様々な共創空間の創出、多様化するキャンパス利用に応じた設備制御技術の導入によって新たな学び空間の実現と脱炭素の両立を実現しています。加えて建物情報を統括的に保存/活用する基盤であるビルOS(ビルコミ®)の実装を行い、デジタルインフラとのデータ連携や、建物情報を簡易に見える化するアプリケーションの開発を行いました。

  • 本業務は、NEDO「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/人・ロボット・システムを有機的に結合するスマートビル基盤に関する研究開発」において実施しています。
立命館大学 大阪いばらきキャンパス H棟
ビルOS(ビルコミ®)の実装と見える化アプリケーションの開発