②設計
②設計

設計施工一貫での豊富な実績を踏まえ、患者さんにも職員にも快適で使いやすいだけでなく、投資対効果も高く、さらには近年の課題となっている安心安全な医療施設を計画設計するノウハウです。

快適な病院をつくりたい

医療施設は身体的・精神的な痛みや不調を抱えた方が多く利用します。当社はこうした苦痛や不安を和らげ医療施設に滞在する時間を少しでも快適なものとするべく、最新の技術を駆使して治療・療養環境の質を高めています。

人や環境に優しい材料を活用した空間づくり

医療施設では診療上閉鎖的な空間が必要であったり、診療活動や消毒・清掃に適した建築の仕上げ材料は無機質な印象になりがちです。運用のしやすさと適度にバランスしながら、患者さんができるだけ開放的で自然を感じられる空間で快適に治療が受けられるよう、当社は新しい建築材料を活用し、医療施設での活用を提案しています。

森林浴をしているような治療空間

当社が開発した燃エンウッド®はスギやカラマツなどの国産木材を使用した耐火集成材による柱と梁です。これによって医療施設の中にいながらあたかも自然の中にいるかのように感じられる空間づくりが可能となります。透析治療室などの患者さんが長時間過ごす広い空間にとくにおすすめです。

森林浴をしているような治療空間

鉛を使わない放射線遮蔽ボード「RadBoard®-X」

放射線診療室などでX線の遮蔽材に使われる鉛は人体にとって有害な上、製造時に排出されるCO₂が多く環境負荷が高い材料です。当社が開発した「RadBoard-X®」は、鉛を使わず天然の無機材料だけでつくられており、人にも環境にもやさしい放射線遮蔽ボードです。山形大学医学部東日本重粒子センターのCTシミュレーション室などに採用されています。

RadBoard®-X

患者さんや医療施設の特徴に応じた提案

医療施設の利用者は身体機能に何らかの問題を抱えていることが多く、また、治療室に求められる環境条件も異なります。患者さんが安全に施設を利用でき、適切な環境で医療活動が行われるように、当社はさまざまな配慮を行います。

多様な色覚に配慮したサイン計画

人間の生まれつきの色の感じ方(色覚)は多様であり、年齢や病気によって変わることがあります。
カラーユニバーサルデザイン(CUD)は、こうした色覚の多様性に対応し、より多くの人に利用しやすく配慮したデザインです。
2014年に竣工した立正佼成会附属佼成病院(東京)では、多様な色覚に配慮したサイン計画を行い、病院建築のサイン計画として国内で初めてCUD認証を取得しています。

多様な色覚に配慮したサイン計画

病院の複雑な遮音性能設計を確実に実施

医療施設では診療等に伴い音を発生する室と逆に静けさが求められる室が混在し、水平方向や上下方向に隣接・近接します。こうした複雑なレイアウトに起因する遮音性能の不足というリスクを回避するには、緻密な計算に基づく設計が求められます。
当社はBIM(Building Information Modeling)を活用して遮音品質を確保する遮音設計手法を開発しています。BIMの3次元モデルに部屋ごとの音響情報を組み込むことで、2次元の検討で起こりがちな見落としを防ぎます。さらに遮音上有利なレイアウトを提示することができます。国立循環器病研究センター(大阪)移転工事に適用しています。

遮音性能設計

職員が働きやすい病院をつくりたい

医療施設では患者さんの治療環境だけでなく、患者さんを支える医療スタッフの働く環境の快適さも重要です。働きやすくより大きな成果が上がる環境づくりにつながる建築空間を提案します。

人や環境に優しい材料を活用した空間づくり

医療施設では診療上閉鎖的な空間が必要であったり、診療活動や消毒・清掃に適した建築の仕上げ材料は無機質な印象になりがちです。運用のしやすさと適度にバランスしながら、患者さんができるだけ開放的で自然を感じられる空間で快適に治療が受けられるよう、当社は新しい建築材料を活用し、医療施設での活用を提案しています。

快適なスタッフ専用空間の創出

これまでは、スタッフの打合せや休憩のためのスペースは部門や病棟ごとに設けるのが一般的でした。しかしチーム医療が推進されている現在では、部門を越えた多職種のコミュニケーションが重要となっています。当社は複数の部門や病棟のスタッフが共有して使えるスペースを提案し、建築的な手段によりスタッフの協業と相乗効果の誘発を試みています。
立川綜合病院(新潟)ではこのようなスペースを「スタッフベース®」と呼び、病棟のすぐ裏側に三層吹き抜けで設置しました。
また、慶應義塾大学病院(東京)では、同様のスペースを「スタッフコア」として病棟と外来にいくつも設置し、医療スタッフから学生までさまざまな目的に利用されています。

立川綜合病院スタッフベース®
立川綜合病院スタッフベース®
慶應義塾大学病院スタッフコア
慶應義塾大学病院スタッフコア

すべての人に最適な温度環境を実現する手術室

手術室では、ほとんど着衣をしていない患者から、手術用ガウンを着ている術者など様々な服装の人が1つの部屋で手術に関わります。そのため、術者は暑いが患者や周囲のスタッフは寒い、といった温度環境の問題が発生しがちです。
当社は手術室の気流シミュレーションを行い、清浄度を保ちながら、患者の低体温を予防しつつ術者や周囲のスタッフにも快適な温度環境が得られる手術室の気流方式を提案しています。

手術室の気流シミュレーション

職員の皆様との新病院建設ワークショップの開催

新しい病院の設計・建設にあたっては、現状の課題や将来の病院の在り方など、幅広い視点で意見を出し合うことが重要です。当社は看護師経験を持つ専門スタッフによるお客様向けのワークショップをご提案しています。これにより病院建設に向けての課題や目的、新しい建物への要望などを共有していきます。とくに看護師のマネジメントに合わせた病棟のあり方を検討することができます。

ワークショップ

工事前に竣工後の空間を体験できるツール

図面を見るだけで医療施設のさまざまな用途の室内をイメージするのは難しいものです。当社は仮想体験ができるツールを開発しており、設計中の空間のイメージをリアルに体験できます。

お客様が操作しながら建築空間を仮想体験できる「VRuno®」

「VRuno®(ブルーノ)」は、パソコンやiPadで建築空間をリアルかつ手軽に仮想体験できるツールです。例えば病室の壁や素材感、窓から入る自然光や照明の映り込みなどをリアルに表示できます。ユーザーはアプリの3D空間内を自由に移動しながら、任意の場所で完成後のイメージを実物に近い形で把握・把握することが可能です。

VRuno®

空間イメージのリアルタイム共有

建築図面を3次元データとすることにより、設計段階でのお客様との打合せ中に確認が必要な場所をその場で3次元的に可視化できるので、関係者全員が同じ空間イメージを共有しながら確認や修正が行えます。

  • 建築データの一例(2次元表示時)
    建築データの一例(2次元表示時)
  • 建築データの3次元表示時
    建築データの3次元表示時

病院の効率性を高めたい

一度建てた医療施設は長く使用することになります。患者さんやスタッフにとっては快適で使いやすく、経営的には投資対効果の高い病院とするため、建物としての効率を最大限に高める検討を行いながら、お客様に満足していただけるように設計を進めます。

部門配置や面積配分の最適化

医療施設は病棟や外来、手術などの診療部門といった複数の機能からなり、計画・設計時にはこれらを適切に配置することがポイントになります。地域での役割や運営方針によっても何が最適かは変わってきます。お客様のご要望を伺いながら客観的な分析を行い、設計内容に反映していくとともに、円滑な合意形成に役立つ情報を提供します。

将来を見据えた部門配置の提案

建替えにあたっては全面的な建替え、部分的な増改築、既存建物の改修などの選択肢があり、経営戦略や予算を考慮した決断が迫られます。とくに既存の敷地内で増改築する場合、どの範囲が適当か、既存の施設とどう接続するかなど、状況によって最適解が異なります。今後の医療の情勢や地域での医療施設の役割を踏まえ、さまざまな可能性をスタディして最適な部門構成をご提案します。

部門配置

さまざまな利用者のためのゾーニング計画

医療施設には患者さん、医師や看護師などの医療スタッフ、見舞客などさまざまな人が出入りし、さらには多数の医療機器や物品が行き来します。これら人や物の多様で複雑な動線を適切に分離し、効率的な医療提供とスムーズは受診が可能となるように計画・設計します。

ゾーニング計画

運営方針に見合った面積配分

床面積は小さすぎると狭くて使いづらく、大きすぎると設備投資が過大となるので、経営戦略や運営方針を踏まえた適切な設定が重要です。
竹中工務店では豊富な実績を生かし、部門ごとに床面積の適正値をエビデンスに基づいてご提案します。さらに病棟の中でも病室やスタッフ諸室などのどこを充実させるかといった、より詳細な運営方針を踏まえた面積配分についても分析し最適値をご提案します。

運営方針に見合った面積配分

シミュレーションによる使い勝手の検証

設計し建設された建物が実際の運用とかけ離れてしまう事態は避けたいところです。竹中工務店では、患者さんや看護師の動きを設計段階の図面上にプロットしシミュレーションすることが可能です。これにより、業務動線を改善し諸室の数や面積の過不足を解消しながらより機能的な施設を計画します。

外来待合の過不足の検証

現状の外来患者の受診行動に基づき、新しい病院で想定される利用状況を計画中の図面にプロットして動画にします。これにより外来の待合空間や受付等の混雑状況、面積の過不足が視覚的に把握できます。さらに外来患者数や運用方針、諸室のレイアウトなどの条件を変えた場合の検証も可能です。

外来待合の過不足の検証

病棟における看護師動線の効率化

看護師の各病室やスタッフステーションへの移動の動線や頻度を可視化し、動線を最大限に効率化する病棟プランを提案します。また、患者の受け持ち方法に応じたシミュレーションにより、新病棟での看護マネジメントの見直しに関しても、ご提案が可能です。

動線の利用頻度

安心・安全な病院をつくりたい

医療事故や感染拡大の防止、災害への対応の重要性は年々高まっています。これに対し建築・設備を含む環境整備により解決できるものも多くあります。お客様の医療施設を守りスタッフや患者さんの安心・安全を確保できるよう、設計の段階から対応策を検討しご提案します。

感染症を広げない建築計画ノウハウ

COVID19の世界的流行で、医療施設での感染対策の重要性が見直されており、とくに飛沫感染や空気感染など感染経路別の対策が注目されています。その方法にはパーティションの設置のような簡易なものから空調設備の変更、動線の分離のように建築的な対応まで幅広く考えられます。感染症の性質やお客様の施設の状況、緊急度などの要因を考慮し、最も効果的な方法をご提案します。

COVID19対策

災害に強い病院の設計

実績豊富な免震をはじめ多彩な建築構造設計の技術を持っており、増改築や改修、免震の建物どうしの接続といった複雑な条件でもそれに適した提案が可能です。さらに、災害で問題となるのは電気や水道といったライフラインの断絶です。非常時でも診療活動の継続に必要な電源や水が供給できる設備計画を検討します。

災害に強い病院の設計

省エネやコスト削減に取り組みたい

建物のコストを考える場合、建設費ばかり注目しがちですが、これは建物の一生にかかるコスト(ライフサイクルコスト)を考えるとほんの一部に過ぎません。建設後のランニングコストにも着目し、その低減に配慮した設計を行います。

地球と人にやさしい病院づくりの提案

竹中工務店は、自然のシステムと人のシステムを建築空間の中で融合させ、創造するという考えの元に、「エコ ヒューマン ホスピタル®」に取り組んでいます。患者さんやご家族、病院で働くスタッフ、地域の方々にとって、「安心・安全」「地球にやさしい」「人にやさしい」エコ ヒューマン ホスピタル®を実現するために、お客様とともに、設計、施工、運用の各フェーズにおいてさまざまな技術を結集しご提案しています。

地球と人にやさしい病院づくりの提案

事例1:医療法人篤友会 坂本病院(大阪)

高齢者医療を中心とした医療療養型の病院です。棚田や小川の流れる屋上庭園、家族交流室を配置し、成長する稲に触れるなど、五感で四季折々の自然を楽しみながら家族との対話を促すことのできる仕掛けとなっています。地球環境に配慮しつつ、患者・スタッフ・患者家族にとって居心地の良い病院 「エコヒューマンホスピタル® 」 第1号です。

医療法人篤友会 坂本病院(大阪)

事例2:医療法人済衆館 済衆館病院(愛知)

病院1階の中庭からガラスに囲まれた吹き抜け空間の「ステップライトコート」を計画し、全フロアに自然の光を届け、風の通り道をつくり、アメニティの向上と人にやさしい光環境と空気環境を創出しました。また、ライトシェルフによる日射制御、電動ブラインドによる西日の制御、全館LED採用などにより、省エネルギー化を実現する設備計画を行っています。

医療法人済衆館 済衆館病院(愛知)