③建設
③建設

医療環境の変化に迅速柔軟に対応でき、難しい建築条件であっても診療活動への影響が少ない施工計画を立案し、安全と環境に配慮しながら品質の高い工事を行うためのノウハウです。

医療環境の変化に柔軟に対応したい

病院の建替計画では、政策制度の変更や医療技術などの将来の変化に対応できる柔軟性や拡張性を踏まえた上で、構造や設備、適切な工法をご提案するとともに、お客様のパートナーとして建物の資産価値を高めるサポートを行います。

将来の機能変化に対応しやすい構工法の提案

病院にとって機能の変更は避けられないものですが、建物の構造によって制約を受けることがあります。新たな病院の計画では、将来の機能変更が容易となる構造形式や工法などを提案します。

プランの自由度が高まる構造・設備

医療施設の諸室のレイアウトを検討したり、将来の機能変更に伴って改修したりする際に、柱や梁といった構造物や水道などの設備配管は制約条件となりがちです。
柱や梁が少ない構造とすることにより、諸室のレイアウトの自由度が高まり、看護に有利な見通しの良い空間がつくれるだけでなく、改修時の選択肢も増えます。
またフラットスラブという梁のない構造など、水道や空調設備の配管の制約が少なく、メンテナンスや将来の更新もより容易になる構造形式も提案しております。

プランの自由度が高まる構造・設備

将来の変更が容易なモジュール構造

Cell Processing Center(CPC)とは、近年急速にニーズが高まっている再生医療の産業化を推進する施設で、医療施設への導入も進んでいます。
当社が提案する「次世代CPCコンセプトモデル」は、建物をモジュール単位で構成しており、大部屋化や複数室の連携などお客様のニーズに合わせて柔軟に施設を変更できます。
また、扉の開閉や人の移動による気流の影響による製品等の汚染リスクを低減するバイオクリーン環境を構築しています。さらに施設の変更や維持管理・補修が容易であるため、施設の稼働率を向上でき、施設の長期利用が可能となりトータルでコストを抑えることができます。

次世代CPCコンセプトモデル

診療への影響が少ない耐震改修工法

安全が求められる病院で耐震化は必須ですが、既存建物の耐震改修ではいかに診療を止めずに施工できるかが課題です。
当社が開発した『エストンブロック工法®』は、人力で運搬できるコンクリートブロックを搬入し、積み上げるだけの工法であり、狭小スペースでも施工が可能です。また低騒音・低振動で、粉塵がほとんど発生しないため、診療への影響を最小限にできます。
東邦大学医療センター大森病院(東京)の改修で実績を挙げています。

耐震改修工法

病院建物の資産価値を高める修繕・維持保全計画

病院建物は医療機関の大切な資産であるとともに、社会的資産として都市を構成する重要な役割を担っています。安全かつ快適に、いつまでも美しく使用して頂くために、当社は日頃からの適切な病院の維持保全をサポートしています。

建物のライフサイクルを通じたサポート

当社は建設にあたり、企画提案・設計・施工のすべての段階で「最良の品質」を提供する努力を続けています。そして、建物をお届けした後も、新しい施設基準への適応や医療技術の変化に応じた病院建物の機能の向上・更新の提案を行うなど、病院のライフサイクルを通して、お客様の保有資産価値の向上を総合的にサポートしています。

建物のライフサイクル

最新の施設基準に適応するための改修

医療施設の機能分化などに伴い新たに創設される施設制度には、面積や廊下幅などの施設基準を定めるものもあり、これに柔軟に対応できることが経営安定のポイントとなります。
茨戸病院(北海道)では、介護療養病棟を新しく創設された介護医療院に転換するため、当社の病院建築専門スタッフが様々な課題をお客様と一緒に解決しながら改修工事を行いました。
既存病室の広さに制約がある中で、お客様とオリジナルのパーティションを開発することで施設要件と面積基準をクリアしました。
また、稼働中の病棟での改修工事であったため、病室を2室ずつ改修していく工事計画を立て、病床稼働率や患者さまへの影響を最小限に抑え工事を進めました。

最新の施設基準に適応するための改修

災害に強い病院を建てたい

医療施設では、地震などの災害発生時に患者さんの安全確保はもちろん、診療機能を停止させないことが重要です。既存建物に対しては適切な耐震診断や耐震補強の方法を、建物の新築に際しては免震構造をはじめ最適な構造方式をご提案します。

竹中の耐震診断・耐震補強フロー

医療施設の耐震診断は、まず予備診断で診断レベルを決定し、本診断で躯体から設備に至るまで当社オリジナルの解析技術による詳細な診断を行います。

竹中の耐震診断・耐震補強フロー

災害の可視化

地震時の手術室をVRで体感

VRヘッドセットを用いた仮想現実モデルで、「耐震構造」と「免震構造」の手術室内の揺れの違いを体感することができます

  • 耐震構造(動画)
  • 免震構造(動画)

業界トップの免震実績と豊富な免震技術

日本には世界で最多の免震建物があり、その中でも当社は国内最多のプロジェクト実績があります。地震時の安全を確保するために、豊富な免震技術により、ニーズに応じた適切な対策を講じます。

吊り下げ式 手術室エリア免震システム

大規模な地震災害では、天井や仕上げ材の損傷や医療機器の転倒などによる機能的な損害が医療提供の継続に大きな支障を与えた事例が報告されています。当社は天井内蔵型の免震装置を介して手術エリア(手術室・器材室)を一体的に吊り下げ、床・壁・天井すべてを免震化する「手術エリア免震システム」を開発しました。これにより、地震時でも手術エリアの揺れを最小限に抑え、医療機器等の転倒・破損を防ぐことができます。地震時の安全性を向上し、地震直後の早急な手術を再開を目的とする技術です。

診療活動を続けながら建替えたい

医療施設の建替えは、現有敷地内での建替、隣地を取得しての建替、隣地へ移転など、敷地の取得状況に大きく左右されます。当社は豊富な実績をもとに、個々の条件に応じて最適な病院の建替計画を提案し、その実現に向けて様々な課題を解決していきます。

難しい制約をクリアしながら現地で建替え

とくに現地建替えでは、既存の建物が敷地いっぱいに建っていることも多く、建替え用地をいかに確保しどのような順序で施工するのが良いか、高度なノウハウが求められます。もちろん診療活動を極力止めずに建替えられることが期待されます。当社はこうした諸条件をさまざまな角度から検討し、建替えの最適解を見つけ出して新病院の建設を実現します。

事例:岡山済生会総合病院

岡山済生会総合病院は、1938年の開院以降、相次ぐ増改築によって規模を拡大してきましたが、老朽、老朽、狭隘、機能の分散による使い勝手の悪さが深刻になり、全面改築が検討されるに至りました。
左が1990年頃の写真です。余裕のない敷地で、診療活動を続けながら効率のよい病院をつくるため、公道の廃止、複雑で高度な分割施工などの手法を用いて、困難な改築を実現しました。右が完成後の写真です。1998年に岡⼭済⽣会の「顔」とも⾔える、588床の新病院へと、ニューアルが完成しました。アースカラーの優しい⾊彩の病院は、岡⼭駅近くの新しいランドマークとなりました。

岡山済生会総合病院

診療や周辺地域への影響を最小限とする工事計画

病院の建設中は騒音や振動の低減のほか、工事に伴う敷地内での人や物の安全確保のための動線変更への対応といった課題があります。地域性や工事を行う敷地の条件を踏まえて、診療活動および周辺地域への影響に配慮した施工計画を立案して安全に工事を進めていきます。

騒音・振動の事前シミュレーション

建設工事で発生する騒音や振動、大型車両の出入り等が、患者さん、医療スタッフ、周辺地域の住民にとって負担にならないよう、当社は事前に綿密な計画を検討します。建設の各工程で発生する騒音・振動は事前にシミュレーションし、診療や周辺地域に影響の少ない重機の採用や配置、条例に定められた規制値をクリアした独自の管理値で管理しながら建設工事を進めていきます。また、病院敷地内外の人や車の状況を調査し、安全で安心な施工を行います。

騒音・振動の事前シミュレーション

要望事項を確実に実現して欲しい

新病院建設にあたっては、各部門の関係者へのヒアリングに基づいてご要望を共有・整理して進めていきます。当社は合意形成をスムーズに行うための様々なツールを用意しています。

可視化によるスムーズな合意形成

従来は紙の図面や資料のほか実物大のモックアップによって出来上がりのイメージを共有していましたが、それに加えiPadやVR機器などを用いることで病院スタッフの皆さまにより手軽にリアルなイメージを確認しながら合意形成を図って頂くことが出来ます。

建築プロセスにおけるBMIの活用

設計はもちろん、工事計画や数量積算、施工管理まで、建設プロセスにおけるさまざまな局面でBMI(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用を進めています。
3次元の建物デジタルモデルを作成し、2次元の図面だけでは把握しにくい課題などを見える化し、スムーズな合意形成のもと工事を進めます。

建築プロセスにおけるBMIの活用の全体像

お客様が操作しながら建築空間を仮想体験できる「VRuno®」

「VRuno®(ブルーノ)」は、パソコンやiPadで建築空間をリアルかつ手軽に仮想体験できるツールです。例えば病室の壁や素材感、窓から入る自然光や照明の映り込みなどをリアルに表示できます。ユーザーはアプリの3D空間内を自由に移動しながら、任意の場所で完成後のイメージを実物に近い形で把握・把握することが可能です。

VRuno®

デジタルモックアップによる3Dでの擬似体験

病室などの主要な部屋の広さや仕上がりを事前に確認する方法として、従来から簡易なモックアップやモデルルームといった方法がありますが、新開発のヘッドセットを用いたVRツールにより、とくに空間の明るさ感など実際の見え方に近い状況をより簡易に体験でき病室の仕上げや手術室の機器の取り付け位置など、実際の使い勝手の検証に最適なツールです。

デジタルモックアップによる3Dでの擬似体験