横浜 赤レンガ倉庫
歴史的建築物の保存と活用
- かけがえのない建物の保存と活用の両立を全面サポート
- 建物再生ノウハウの新たな蓄積
日本国内初!赤レンガ倉庫がユネスコの賞を受賞
竹中工務店が修復工事を行った「赤レンガ倉庫」(横浜市中区)が、アジア太平洋地域の文化遺産の保全・修復における民間または官民協力を推奨する※「ユネスコ文化遺産保全のためのアジア太平洋遺産賞」を日本国内で初めて受賞しました。
※ | 「ユネスコ文化遺産保全のためのアジア太平洋遺産賞」について 2000年創設。文化建築物や庭園などで、築50年以上、官民共同で保全・修復などの条件を満たすものが対象。過去の受賞作品には、2007年の麗江古城・民家修復プロジェクト(中国)や2008年のアンパワー水上市場(タイ)など。 |
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工事内容決定までの経緯
明治末期~大正初期に大蔵省の保税倉庫として、当時の建築技術の粋を集め建てられた歴史的な建物です。関東大震災による1号倉庫の半壊・修復や、第二次世界大戦後の米軍による接収・返還を経て、1989年に倉庫の使用を終えました。
その後、保存の気運の高まりを受け「赤レンガ倉庫保存改修検討委員会」が発足、1992年には土地・建物の所有が大蔵省から横浜市に移管されました。「港の賑わいと文化を創造する空間」というコンセプトのもと、「既存の建物を保存・復元し、本来の持ち味を残す」「横浜市民をはじめ多くの来場者が活用できる施設に生まれ変わらせる」という、相対する2つの条件を満たすことが求められました。
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改修工事内容
歴史的な建築物の保存と活用を両立させるために
- 創建時の図面類がほとんどない状態だったため、基礎や鉄骨の組成等を徹底的に調査。それでも「実際に壊してみないと判らない」というケースが極めて多く、作業の進行には非常に多くの手間と時間を要した。
- 既存のものをできる限り活用。窓枠、鉄扉、格子窓、三つ折り扉といった建具のみならず、基礎に使われていた割栗石や大半のコンクリートについても、状態が良かったり十分な強度を保っていたため、そのまま活用した。
- 創建当時の外観・内観をできるだけ見せるために、エレベータ・エスカレータを区画する防火壁や、保存階段を上から覆う新設部分に耐熱ガラスを用いて、現行の法律に適合させつつも歴史的建築物が身近に感じられるようにした。
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再生技術の例:外壁洗浄
落書きなどのほかにも、八十余年の歳月によるシミ汚れ(カーボン付着)や温度変化に伴う表層の剥離、米軍接収時のペンキ塗布などで外壁はかなり傷んでいた。そのため、風合いを損ねないよう、スキンケアのような洗浄を実施した。
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プロジェクト概要 |
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用途(用途変更) | 文化・商業施設 |
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既存用途 | 倉庫(大蔵省の保税倉庫) |
所在地 | 神奈川県横浜市中区 |
竣工 | 1911年頃(改修時:約築91年) |
工期 | 1994/06-1999/03(保存工事)、2000/10-2002/03(活用工事) |
建築主 | 横浜市、横浜赤レンガ |
設計 | 建築研究協会、国設計、新居千秋都市建築設計 |
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施工 | 竹中工務店JV |
敷地面積 | 19,747㎡(1号館) 7,809㎡(2号館) |
建築面積 | 1,954㎡(1号館) 3,887㎡(2号館) |
延床面積 | 5,479㎡(1号館) 10,755㎡(2号館) |
構造/規模 | 組石造(レンガ)、一部S造/地上3階 |