最新の現代技術と伝統的な木造技術の融合により、文化遺産を守り後世に伝えるお手伝いをします。
免震改修・耐震補強等「適材適所」に、現代の技術を生かしながら、伝統様式を損なうことなく建物の寿命を向上させます。
「建部大社本殿・権殿」とは?
琵琶湖の東岸に位置する建部大社は、「近江一の宮」として親しまれ日本武尊を主神とし、全国屈指の古社として知られています。
築約140年の本殿・権殿に免震改修を行ないました。重量各約3tの本殿と権殿は、軽量な建物に有効なボールベアリング支承8基で支えられたRC床版上に設置して免震化し、地震エネルギーを吸収するオイルダンパーを4基配置しています。
上部の既存建物は伝統様式の外観を守ると同時に、構造上も近代的な方法ではなく、伝統的な方法で必要な補強を施す設計がされています。
更に、ヒノキ造の既存建物がもつ数百年の寿命に見合うように、床版を含む免震層の構造体には、超高耐久(500年)コンクリートとエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用して長寿命化を図り、地震時の液状化の可能性に対しては格子状地盤改良にて対策を施しています。
基礎・免震層の施工には、既存木造建物を約2mもち上げて行なう、リフトアップ工法を採用しました。
建築主 |
建部大社 |
建築地 |
滋賀県大津市神領 |
設計 |
竹中工務店 |
構造種別 |
免震基礎構造 |
社殿 |
既存木造 |
建築面積 |
21.38㎡ |
延面積 |
6.40㎡ |
階数 |
地上1階 |
生田神社とは?
神戸 三宮駅の繁華街にある、地元では「生田さん」として親しまれる神社。
阪神・淡路大震災で拝殿他が壊滅的な被害を受けたことが記憶に新しい。
当時、地域のシンボルとして早急な復興が待たれ、当社が伝統的な木組を
生かす最新の耐震補強で復活に寄与しました。
阪神・淡路大震災により倒壊したこの神社は、鋼管コンクリート柱が採用され、スチールによる軸部の精緻な補強が施されました。
地域のシンボルへの迅速な対応が、人々の復興への気運を高める原動力となりました。
拝殿に用いる鋼管コンクリート(CFT)柱には、実用レベルでは世界一の高強度となる圧縮強度160N/mm2のコンクリートを充填し、遠心成形により工場で製作されるプレキャスト部材を用いることとしました。
伝統的神社建築において、柱に鋼管コンクリート柱を用い屋根部分の様式を重視した木造とする時、それらの部材の接合部をどのようにするかが問題となります。また、地震により倒壊した拝殿の損傷部の大部分が柱とその上の大斗であるということも考慮しなくてはなりません。
そこで、柱頂部に乗る大斗という枡形(ますがた)に、木造の趣をそのまま表現でき且つ強度の高い鋳鋼を用い、その上に木造の肘木を乗せるという詳細を用いることとしました。
建築主 |
生田神社 |
建築地 |
兵庫県神戸市 |
修理設計 |
竹中工務店 |
構造 |
混構造 |
建築面積 |
100㎡ |
延面積 |
100㎡ |
階数 |
地上1階 |
「地蔵寺本堂」とは?
地蔵寺は京都市桂にあり800年以上も歴史のある六地蔵巡りで有名な寺院です。六地蔵巡りの6つのお寺は旧街道沿いにあり、地蔵寺は旧山陰街道沿いに建っています。
今後300年間建物を使用できるように、高耐久性コンクリートを使用し、構造形式としては大地震時でも倒壊しないように免震構造を採用しています。免震構造の特徴は、地震の早く強い揺れに対し建物をゆっくり揺らすことで地震の影響を免れるという仕組みです。建物は重いほど、また、柔らかいほどゆっくり揺れます。
地蔵寺のような建物の重さが軽い木造構造には通常の積層ゴム支承は不適なため、免震材料には振り子の原理を利用した曲面すべり支承を採用しています。この免震材料を使用すると、建物が曲面上を振り子のように揺れるため、建物の重さにかかわらず建物をゆっくりと揺らすことができます。
地蔵寺では地震対策の他に強風対策として、伝統木造建物の基礎を厚さ500mmのコンクリートスラブとし建築重量を増やすことで、免震材料の静摩擦力を大きくし、強風時でも免震層が動かないようにしています。
建築主 |
地蔵寺 |
建築地 |
京都府京都市西京区 |
設計 |
(有)スペースグラフィティ |
構造 |
木造(免震基礎構造) |
建築面積 |
280.40㎡ |
延面積 |
224.54㎡ |
階数 |
地上1階 |