まちにみどりを、人に笑顔を増やすこと

赤岩麻里子|ランドスケープデザイン (園芸学・庭園設計 園芸学科:イギリス)

1995

まちをもっと緑にしたくて留学しました。

  • ・幼少のころから好きだった動植物とのふれあいや手を使ったものづくり、外国語を使ったコミュニケーションを活かせる場を模索し、イギリスでガーデンデザインと園芸学を学びました。
  • ・卒業後は、ロンドンのガーデンデザイン事務所に勤務しました。日常生活で緑や生き物と深く関る文化の中で、人と自然の摩擦を減らし、両者をつなぐ仕事であることを実感しました。
  • ・帰国後はデザイン事務所に勤務し、小さな住宅の庭の存在が、まちの景色や取り巻く人の生活に変化を与えることに気付きました。そして、まちをもっと緑にしたいという思いを強くし、都市スケールのランドスケープに関わることができる竹中工務店に入社しました。

2005

入社
設計本部配属

2005 - 2009

神宮前M-SQUARE
パークコート神宮前

初めて耳にする言葉の理解と組織での仕事に慣れるのに必死でした。

  • ・入社後は、プロジェクト規模の大きさ、初めて触れる建築の専門用語、職種や関係者の多さやそのチームワークに圧倒され、追いつくことに必死でした。
  • ・神宮前M-SQUAREとパークコート神宮前は、都会に残され放置された屋敷林を再生するプロジェクトです。多くのステークホルダーを巻き込みながら、緑の価値を上げることが建物の価値向上につながることを学びました。敷地内調査で見つかった希少な植物や小動物などを保全する取り組みを行い、生物多様性を保全する新たなチャレンジをしました。

敷地の中を貫通する通路はかつて下屋敷の馬車道

2010 - 2013

資生堂銀座ビル

2012

長男出産

第一子を出産。育児休暇を経てプロジェクトに復帰しました。

  • ・大きなプロジェクトを担当し、仕事の流れや社内でのコミュニケーションが潤滑になることで気持ちにも余裕が生まれ、視野が広がりました。
  • ・資生堂銀座ビルでは、周辺の生き物や自然環境に視点を移し、地域の緑をデザインすることを強く意識する機会となりました。
  • ・社員教育の場となるように設計した屋上庭園では、社員が植え付け作業に参加できる機会を企画し、引き渡し後の維持管理監修にも関わりました。オフィスビルにおける新しい緑との関わり方を模索する機会になりました。
  • ・出産、育児休暇を経て同じプロジェクトに復帰し、大きく異なる生活環境と変わらず進み続けるプロジェクトの歯車をどう組み合わせて成立させるか、試行錯誤の毎日でした。「今一番大切なことは何か」を常に意識して過ごしていました。

並木通りに面した資生堂銀座ビル

屋上は社員といきもののための空間

2014 - 2016

女神の森セントラルガーデン

2015

長女出産

会社の子育てサポートを積極的に活用し、第二子出産や育児と仕事を両立しました。

  • ・第二子妊娠中に担当した女神の森セントラルガーデンは、社外の建築設計者とも協業し、植物をカラーパレットに見立てた新しい手法を試みました。
  • ・豊かな小淵沢の自然環境と施設を利用する人々をつなぎ、相互の影響を和らげながら良い関係をつくり出すランドスケープを意識する機会となりました。
  • ・妊娠中の体調を優先しながら、現地へ出向いて業務を行うことができました。
  • ・出産予定の数カ月前に体調を崩した時は、早めの産休を急遽頂きました。数日という短期間で同僚が仕事を引き継いでくれ、普段からの情報共有の大切さを実感しました。
  • ・職場復帰後は、同プロジェクトの植栽維持管理監修の機会をいただき、お客様と緑の価値を共有し、お客様自らが適切にメンテナンスを続けるきっかけづくりを行いました。
  • ・育児に配慮したリモートワークの試験施行に参加しました。また、女性特有の体調不良時の休息や育児目的、着替えなどのために新たに設置された「こまちルーム」 を活用しました。

切り開いた林縁を丁寧に整え小淵沢の植物で彩った女神の森セントラルガーデン

2016 - 2022

虎ノ門ヒルズ
レジデンシャルタワー

長期にわたる大型プロジェクトに参画、お客様との関係性構築や様々な意思決定の中で自信が持てました。

  • ・虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワーでは、歩行者動線の利便性を改善、生物多様性向上に貢献しながら建物外装を積極的に緑化し、建物と緑が融合したプロジェクトとなりました。
  • ・計画初期から竣工まで担当し、お客様との長いお付き合いの中で信頼関係を築くことができました。後半はさまざまな意思決定を任される立場となり、忙しい中でも緊張感のある充実した時間でした。
  • ・役付き職となり、後進の存在を意識して自らの経験の引き出しから自信をもってアドバイスを行うことが増えました。
  • ・時おり、関与したプロジェクトサイトを散歩しながら子どもに植物の名前を教えることがあります。親の仕事が社会とつながっていることを知り嬉しそうな顔を見ると、この仕事をしていて良かったと感じます。

愛宕山のみどりと虎ノ門の街のみどりを立体的につないだ虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー

2020 - 2023

代々木参宮橋テラス

多角的なアプローチで、まちに開かれた笑顔をもたらすデザインを目指しました。

  • ・子供の進学に合わせ、子育てへのサポートを求め、実家の近くに転居しました。
  • ・チームリーダーとして部下を持つ立場となり、メンバーと共にプロジェクトを担当することが増えました。専門分野である植栽をはじめ、各フェーズの要所でアドバイスをしながら、業務に当たっています。
  • ・グループではメンバー同士でお互いの取り組みを共有し、互いに協力し合うことでより多くのプロジェクトに関わる機会を設け、若手の教育につながる工夫をしています。
  • ・代々木参宮橋テラスでは、コンピュテーショナルデザインや環境デザインなど社内のエキスパートと協業し、植栽の存在感を存分に活かす提案をしました。
  • ・まちに開かれた植栽帯を指して「どんな花が咲くのか、次はどのような景色になるのか楽しみにしている」と、近隣住民の方に笑顔でお話し頂きました。まちづくりのお手伝いへの小さな一歩が踏み出せたと感じることができました。
  • ・在宅勤務や育児フレックス制度を積極的に利用し、仕事のスケジューリングを行っています。時には家族に協力してもらって業務を優先することもあり、臨機応変に対応しています。
  • ・出産後に職場復帰し、活躍する女性社員が増えています。会社の様々な制度を活用して多様な働き方を実践し、その輪を広げていきたいです。

まちの日常風景となる外装と住民の生活空間の一部である中庭に取り入れた狭小ながら存在感のあるみどり