森林浴のできるクリニックからメディカルケアタウンへ

ランドスケープデザイン|新柏クリニック(1期)、めぐりの庭(2期)、糖尿病みらい(3期)

FEATURES01

周囲に残存する雑木林と
つながる緑地を再生

敷地周辺の環境を調べたところ、この辺りには近世まで畑地とクヌギ等が優占する雑⽊林が広がっていることがわかりました。宅地開発が進んだ現在も、雑⽊林が残り点在しています。

新柏クリニック(透析クリニック/1期)と専⽤駐⾞場、めぐりの庭(リハビリテーションガーデン/2期)、糖尿病みらい(糖尿病外来/3期)の計画を進めるにあたり、残されている雑⽊林と連続した緑地をつくり、地域が「ひとつのみどり」で包まれたと感じられる景観づくりを⽬指し、周辺地域の植⽣を参照しながら雑⽊林の再⽣を試みました。

FEATURES02

患者のQOL(quality of life)向上に寄与する施設デザイン

医療施設のひとつとしての庭が、患者だけでなく周辺地域へも良い影響を与えていることが明らかになっています。

新柏クリニック(1期)の建替えによる環境改善が患者の陰性気分を低下させ、⽊質空間がQOLを⾼めたことを、2016年の⽇本透析医学会学術集会にて発表しました。
また、めぐりの庭(2期)では、患者を対象としたアンケート調査並びに周辺地域を⽣活圏とする⼈を対象としたWEBアンケート調査を実施し(2018年9⽉)、そこから庭の存在が街のポジティブな印象を⾼めると同時に街への帰属意識にも影響を与えていることが⽰唆されました。

FEATURES03

リサーチに基づき
⼈と⽣きものに配慮した植栽の選定

新緑や紅葉、花や実など季節ごとに⾒所ができるよう、多様な種類の植栽を導⼊しています。
これは、緑地を利⽤する昆⾍や⿃類などへの配慮にもつながります。例えば、既往の⽣き物調査資料を調べ、周辺に⽣息することがわかったキジ、ツグミ、シジュウカラ等の⿃類を誘致⽬標種に設定し、これらの種が好む環境づくりについても配植計画に取り込んでいます。

ランドスケープ計画 - 新柏の季節の移ろいを感じるみどり

FEATURES04

⾃然の移ろいを五感で感じることのできる
建築とランドスケープデザイン

新柏クリニック(1期)、めぐりの庭(2期)、糖尿病みらい(3期)は、それぞれの医療プログラムに即した建築の形態となっています。そして、それらの建築を包み込むランドスケープデザインは、屋内と屋外、敷地とまちをつなぐ役割を果たします。

彫りの深い軒や抜けのあるボリュームは、透明感のある屋内から柔らかな樹群に囲まれた体験をもたらします。樹群越しに⾼さを控えた⽔平ラインを持つ建築が透けて⾒え、まちの中にやさしく存在します。
⾃然の移ろいの中に⼈が快適に過ごせる場所をつくりました。

FEATURES05

⼯事期中から竣⼯後の
プロジェクト関係者参画イベントを企画・運営

めぐりの庭(2期)では、竣⼯時に庭への愛着と継続的な関わりのきっかけとなることを願い、竣⼯イベントとして、建築主、スタッフ、⼯事関係者とその家族による「巣箱づくりワークショップ」を開催しました。釘を使わずに組み⽴てられるオリジナルキットの巣箱を制作・設置し、誘致⽬標であるシジュウカラを呼びこみます。

続く糖尿病みらい(3期)では、草苗の植付け会を企画し、実施。かつて雑⽊林の周辺にあった原っぱで⽣育していた、オミナエシ、ワレモコウ、ミソハギ、シランといった在来種の草苗を関係者の⼿で植え、庭づくりに参画していただきました。

FEATURES06

プロジェクトの連鎖により
まち全体が庭園のように変化

新柏エリアは、新柏クリニックに加え、東葛地域の中核医療機関である名⼾ヶ⾕病院の移転開院や、社会福祉法⼈が開設した診療所など、医療施設の充実化がみられています。

2020年、3期の糖尿病みらいの竣⼯により、2013年からお客様と共に取組んできた「駅前から続く⽔とみどりのまちづくり構想:森林浴のできるメディカルケアタウン」がひとつの完成を迎えました。

個々の敷地のランドスケープが連担し、まち全体がみどりあふれる庭園のように変化を遂げています。