豊かな都市住環境を支える歩行とみどりのネットワーク
ランドスケープデザイン|虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー
FEATURES01
歩行者とみどりのネットワーク
大型再開発が進む虎ノ門地区に2022年に新築した、地上54階・地下4階建てのレジデンシャルタワーのランドスケープです。
この計画が担う「豊かな都市住環境の創出」という役割を実現させるため、地域の歩行者ルートとみどりの2つのネットワークを構築しました。
・歩行者ルートのネットワーク
周辺街区のさまざまな方向からアクセス可能である敷地の特性を生かした歩行者ルートを計画しました。
地上部では、街区の東西をつなぐ貫通通路と、北側の公園から続く広場を街に開いています。2階レベルのデッキを隣接する虎ノ門ヒルズ森タワーと愛宕神社の参道にそれぞれブリッジで接続し、複数の敷地を貫く歩行者ルートネットワーク創出に寄与しています。
・みどりのネットワーク
敷地に隣接する愛宕山は、愛宕神社を擁する自然形成の山です。その植生を参照して植物の種類を選定し、植栽計画に生かしました。愛宕山から青松寺に続く歩行者ルートに沿って快適な環境を提供する、みどりのネットワークを形成しています。
FEATURES02
歩行動線に沿ってつながるみどり
敷地の周辺環境に合わせて設えた多様な性質の空間が,利用者を受け入れます。
メインの北⼊⼝と公園・広場では、舗装と植栽地がひとつながりの広さを感じ、⼤径⽊の樹冠の下に⾵に揺れる繊細な草本を加え、誰もが親しめる街の庭としました。
東⼊⼝は隣接する真福寺の既存緑地とつなげ、来訪者を迎え⼊れる空間です。隣地と既存の間知⽯擁壁に挟まれた東アプローチ沿いには、愛宕⼭の植⽣を参照して樹種選定した、細⻑い植栽帯が続きます。
⻄アプローチは、地区計画の歩⾏者通路に必要な幅員⼨法を確保しながらジグザグに樹⽊を配置し、視界に⼊る緑量を得る⼯夫をしました。
北歩道・西歩道沿いには常緑樹の並木を配し、緑陰が心地よい歩行空間を街に提供しています。敷地南側には、東⻄をつなぐ貫通通路を設けました。
FEATURES03
上昇するみどり
「上昇するみどり」というキーワードをプロジェクトの早い段階から関係者と共有し、建物8階までの庇を緑化しています。
庇上のみどりは室内からの景色をつくるだけでなく、街における建築の佇まいにも配慮して計画しました。日照条件などの生育環境から方位によって構成する植物を変え、地上部と共通した植物の種類に加えて下垂しやすい低木やつる性植物を選びました。
建物の積層するスラブは低層で扇状に開き、広場と接します。広場の植物はステップガーデンを上って建物外装へ続き、自然と視線を空へと導きます。
訪れた人は、愛宕山の地形や地域の豊かなみどりを心地よく感じることができます。