AI・IoTを活用した運用エネルギーの削減

設備設計|ショッピングセンター

FEATURES01

AI・IoTを活用したスマートビルの取り組み

AI・IoTを活用した
スマートビルでできること

スマートビルにAI(Artificial Intelligence、人工知能)、
IoT(Internet of Things、モノのインターネット)といった技術を組み合わせ、さらに進化したAI・IoTスマートビルが普及しつつあります。例えば、建物内に張り巡らせたIoTセンサーなどから収集した建物内外のさまざまなデータ(ビッグデータ)をもとにAIを活用しながら建物内の環境を自動制御し、建物全体の省エネ性と利用者の快適性とを両立し、向上させることが可能です。

多数のパラメータを考慮した
統合解決手段としてのAI・IoT

建物の省エネルギー、脱炭素、ウェルネスへの貢献が大きく期待されるなか、それらの高度で複雑な課題を統合して解決する技術的な余地を、人力のみに期待することは困難になっています。不特定多数を対象とした複雑なパラメータ(媒介変数)の考慮、リアルタイムな制御性、しかも快適かつ省エネルギー、これらが同時に求められる建築物で、その統合的な制御をAI・IoTの力を借りて実現しようとするのは、必然的な着想です。ここからは “AI・IoTスマートビル” としての大型ショッピングモールにおける空調制御の取り組み事例をご紹介いたします。

FEATURES02

建物を訪れる人々に合わせた空調環境をAIで実現

画像AIで服装、年代、性別を瞬時に解析、
快適な温熱環境をリアルタイムで制御

温熱環境の快適性を決定する6つの要素である室温、平均放射温度、相対湿度、平均⾵速、着⾐量、活動量、これらを総合的に最適化する「PMV空調」(※1)の実現にあたり、従来のセンサーでは、測定が困難であった着衣量や活動量、および性別を何らかの形で測定する必要がありました。そこで、画像カメラやサーモカメラで撮影したデータ(※2)をもとに、画像認識AIでこれらの要素を推定することで来客者に適した温熱環境を実現しました。

※1 PMV空調とは、⼈体の熱的快適感に影響する6つの要素(室温、平均放射温度、相対湿度、平均⾵速、着⾐量、作業量)をもとに算出される温熱快適性の指標(PMV=Predicted Mean Vote;予想平均温冷感申告)を、もっとも快適となるように総合的に制御した空調制御⽅式のことを指します。

※2 これにより、個人情報の特定や収集等は行いません。

性別、年齢のAI予測

快適だけじゃない、省エネ・省CO2もAI・IoTで両立

エリアごとの⼈数をセンシングしてエリアごとの導入外気量を適正化するほか、翌日の天気予報・イベント内容等の各種情報から来館者が多いことが予測される日は、オフピーク時(来館者の少ない時間帯や外気の温湿度が小さい時間帯)に事前に外気を多く導入することでピーク時の外気導入量を低減し、外気導入に係るエネルギーのピークシフトをしています。さらに画像認識AIにより、判定した年齢や性別構成によっては、空調ユニットの冷媒蒸発温度を高くしてエネルギー消費量を削減します。

FEATURES03

AI・IoTを設備システムに組み入れ、
快適性を損なわずさらに省エネを実現

今回ご紹介した施設では、AI・IoT技術の活用により、従来施設と比較して空調消費エネルギーを年間で26%削減しました。また来客者へのアンケート調査を実施し、冬期・中間期・夏期とも90%以上の方から「快適」「不満がない」といった回答を得ました。これにより、AI・IoT技術の活用によって快適性と省エネルギーの両立を図ることが可能であることを実証しました。