ZEBが特別でなくなる日のために
— 普及型ZEBオフィス —
サステナブルデザイン|テイ・エス テック本社
FEATURES01
省エネ性能と快適性を両立した
コンパクトZEBオフィスのプロトタイプ
今後の標準となるZEB (ゼロ・エネルギービル)は、これまで、特殊な技術が必要とされることからコスト面に課題がありました。私たちは汎用性の高い既存の技術を用いて、極めてシンプルな設備システムで省エネ性能と快適性、経済性を両立させ、一般的なオフィス並みのコストでNearly ZEB (ニアリー・ゼロ・エネルギービル)を実現しました。誰もがZEBを選べる未来を実現したのが、埼玉県にある自動車内装品メーカー「テイ・エス テック」の本社ビルです。
FEATURES02
ZEBをもっと身近にするために
ZEBは綿密な建築計画と様々な先進技術の組み合わせにより達成されますが、この建築では「ZEBをもっと身近に」をテーマに、右の4つコンセプトに基づいた技術を採用しています。年間一次エネルギー消費の削減量は設計値で約79%。さらに運用開始後の実績値は約88%となり、実績値で建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)におけるNearly ZEB認証を取得し、2019年度省エネ大賞経済産業大臣賞を受賞しました。
エネルギー消費量削減シナリオ
・快適性と断熱性能を両立させた外装計画
外装は高性能断熱パネルとLow-E複層ガラスの横連窓により、快適性と高い断熱性能を実現しました
・空調負荷の低減と高効率機器の採用
自然採光、自然換気による照明、コンセント負荷の低減と高効率なパッケージエアコンの採用による空調システムの省エネ化を図りました
・空調・換気・照明の自動制御システムの採用
画像センサによる空調、照明の制御や外気導入制御システムの採用による省エネ化を実現しました
FEATURES03
一般ビル並みの費用で、
Nearly ZEBを実現
建設費は当社中規模オフィスビル(延床面積1,000~10,000㎡)の平均工事費を下まわり、一般オフィスビル程度の建設費でNearly ZEBを実現しました。
4つのコンセプトに基づくZEB化技術の採用により、年間一次エネルギー消費量(その他を除く)を基準ビル比で78.9%削減。建築物省エネルギー性能評価BELSにおいてNearly ZEB (BEI=0.22)の認証を取得しました。
また、CASBEE埼玉県においてSランクを取得、CASBEEウェルネスオフィス自主評価でもSランクとなり、総合環境性能及びウェルネス評価でも高ランクに位置づけられています。
トレードOFFをデザインで解決する
齋藤 弦 | 建築設計
働く方々のことを考えたデザインのつくり込みから、環境の中でどのように建築があるべきなのか、スケールの大小を往復しながら設計を行いました。ZEB達成、CO2排出削減という課題と社員の方々の快適性がトレードOFFにならないよう、照明エネルギーを削減しながら明るさ感を確保するなど、このグローバル本社に誇りを感じていただけるよう、面白さやあたたかみを形にするよう心を込めました。
お客様が自動車のシートをつくる企業であり、外観のアールは座席の丸みや人を包み込む形を表現しています。企業のアイデンティティをまちに発信し、地域の景観を変えていくプロセスに携われたことは貴重な経験でした。
普通のビルを建てる感覚でZEBを普及させる
白石晃平 | 設備設計
ZEBや省エネなど高い環境性能は「コストをかけて実現するもの」というイメージがあります。私の設備設計における一貫したポリシーは、普通のビルを建てる感覚でZEBが達成できること、普及させていくことです。サステナビリティ普及のため、このプロジェクトでは、特別な技術ではなく汎用性の高い技術を採用することでコストコントロールを行いました。
働く方々の快適性を前提に、"使い続けやすいシンプルなシステム"を基本として設計することを目指しました。結果として、コンパクトで投資もランニングもおさえて維持しやすいサステナブルデザインを実現できました。